企業のDX化が加速する中、紙中心の申請・承認業務の非効率性が課題となっています。テレワークの普及により、従来の紙ベースの業務フローでは対応が困難となり、多くの企業がペーパーレス化に取り組んでいます。しかし、電子承認システムの選び方や進め方に悩む担当者は少なくありません。
本記事では、ペーパーレス化の全体像から電子承認システムの選定基準、導入手順まで、実践的なノウハウを詳しく解説します。
Writer Profile
藤原 賢太
富士ソフト株式会社
ソリューションビジネスユニット
ソリューション事業本部 営業統括部
ソリューション営業部 第4営業グループ リーダー
2019年 富士ソフト入社。AWS関連ソリューションの営業やDX商材の全社横断営業を経て、現在はペーパーレス化やレガシーシステム脱却といった業務プロセス改善に関するソリューションの営業を行っている。
企業におけるペーパーレス化は、単なるコスト削減以上の価値をもたらします。電子承認システムの導入により、業務プロセス全体の改革が可能になります。
紙ベースの申請・承認プロセスでは、書類の作成から承認完了まで数日から数週間を要することが一般的です。電子承認システムを導入することで、これらのプロセスを大幅に短縮できます。
承認者が外出中でも、モバイル端末から即座に承認処理を行えるため、業務の停滞を防止できます。また、承認状況がリアルタイムで可視化されるため、申請者は進捗を把握しやすくなります。
ペーパーレス化により、紙代・印刷代・郵送費などの直接コストが削減されます。さらに、書類の保管スペースや管理人件費も削減できるため、中長期的な運営コストの改善が期待できます。
印刷用紙の使用量削減により、環境負荷の軽減にも貢献します。多くの企業でESG経営が重視される中、ペーパーレス化は環境配慮の具体的な取り組みとして評価されています。
電子データは適切なアクセス制御により、紙書類よりも高いセキュリティレベルを確保できます。証跡管理機能により、誰がいつ何を承認したかの記録が自動的に保存されるため、内部統制の強化にもつながります。
さらに、二要素認証などのセキュリティ機能を備えたシステムであれば、外部からの不正アクセスや情報漏えいリスクを大幅に低減できます。
電子承認システムには様々な機能があり、企業の業務要件に合わせた選定が重要です。主要機能を理解し、自社に必要な要素を見極める必要があります。
ワークフローシステムの中核となる機能は、申請書の作成から承認完了までの一連のプロセスを電子化することです。承認フローは企業の組織構造に合わせて柔軟に設定できる必要があります。
申請書のテンプレート機能により、標準的な書式を統一し、入力ミスを防止できます。また、条件分岐機能により、金額や内容に応じて異なる承認ルートを自動選択することも可能です。電子承認システムの基本的な機能としては、以下のようなものがあります。
既存の基幹システムとの連携能力は、電子承認システム選定において重要な要素です。人事システム、会計システム、ERPシステムなどとのデータ連携により、重複入力を削減し、データの整合性を保てます。
カスタマイズ性も選定時の重要なポイントです。企業独自の業務フローや承認ルールに対応できるシステムを選択することで、既存業務への影響を最小限に抑えられます。下記は主要な連携システムとメリットの例です。
| 連携システム | 連携メリット |
|---|---|
| 人事システム | 組織変更の自動反映 |
| 会計システム | 承認済み申請の自動計上 |
| 文書管理システム | 承認済み書類の自動保管 |
企業の機密情報を扱う電子承認システムには、高度なセキュリティ機能が求められます。アクセス制御、データ暗号化、ログ管理などの基本的なセキュリティ対策に加え、電子帳簿保存法への対応も必要です。
JIIMA認証を取得したシステムを選択することで、電子帳簿保存法の要件を満たした運用が可能になります。また、クラウド型システムの場合は、データセンターのセキュリティレベルも確認する必要があります。
初期導入費用だけでなく、月額利用料、カスタマイズ費用、保守費用を含めた総保有コストで評価することが重要です。クラウド型とオンプレミス型では、コストが大きく異なります。
操作性も重要な選定基準です。直感的に操作できるインターフェースを持つシステムは、利用者の習得時間を短縮し、現場への定着を促進します。無料トライアル期間を活用し、実際の業務での使用感を確認することをお勧めします。
ペーパーレス化を成功させるには、段階的なアプローチが効果的です。一度に全ての業務を電子化するのではなく、優先順位を付けて着実に進めることが重要です。
まず、現在の紙ベース業務の全体像を把握します。申請書の種類、処理件数、承認フロー、処理時間などを詳細に調査し、ペーパーレス化の対象範囲を明確にします。
業務量が多く、承認フローが複雑な申請業務から優先的に電子化することで、早期に効果を実感できます。また、法的要件や保管期間も考慮し、電子化の可否を判断する必要があります。現状分析と目標設定の際には、以下のように進めるとよいでしょう。
小規模な部門や特定の業務から導入を開始し、システムの動作確認と業務フローの検証を行います。この段階で発見された課題を解決してから、本格的な展開を行うことで、リスクを最小限に抑えられます。
パイロット期間中は、利用者からのフィードバックを積極的に収集し、操作性やシステムの改善点を特定します。また、想定していない業務上の課題が発生する可能性もあるため、柔軟な対応が求められます。
パイロット導入で得られた知見を基に、全社展開を実施します。部門ごとの展開により、システムサポートの負荷を分散し、円滑な移行を実現できます。
利用者向けの研修プログラムを充実させ、操作方法だけでなく、新しい業務フローについても理解を促進することが重要です。また、運用開始後も継続的にサポートを提供し、定着化を図ります。
電子承認システムの導入を成功させるには、技術的な要素だけでなく、組織的な取り組みが重要です。現場の理解と協力を得ながら、計画的に進める必要があります。
ペーパーレス化は業務プロセスの大きな変更を伴うため、現場の理解と協力が不可欠です。変更の必要性とメリットを明確に説明し、利用者の不安を取り除くことが重要です。
変更に対する抵抗を最小限に抑えるため、現場の意見を積極的に取り入れ、システム設計に反映することが効果的です。また、キーパーソンを早期に巻き込み、現場での推進役として活用することも有効です。
電子承認システムの運用においては、明確なルールとガイドラインが必要です。承認権限の範囲、申請書の記載方法、システム障害時の対応手順などを文書化し、全社に周知します。
特に、従来の紙ベース業務との並行運用期間中は、混乱を避けるため、どちらのプロセスを使用するかを明確に定める必要があります。また、法的な証跡管理の要件も踏まえ、適切な運用ルールを策定します。
導入後は定期的に効果測定を行い、目標達成度を評価します。処理時間の短縮、コスト削減、利用者満足度などの指標により、定量的な効果を把握することが重要です。
また、業務の変化や組織変更に対応するため、システムの機能拡張や運用ルールの見直しを継続的に行います。
利用者からのフィードバックを定期的に収集し、システムの改善に活用することで、長期的な成功を実現できます。効果測定と改善に臨む際は、以下のように進めることが大切です。
ペーパーレス化と電子承認システムの導入は、企業の業務効率化とコスト削減を実現する重要な取り組みです。適切なシステム選定と段階的な導入により、リスクを最小限に抑えながら効果を最大化できます。
成功のためには、現状分析に基づく計画的なアプローチと、現場の理解と協力の獲得にあります。技術的な要素だけでなく、組織的な変化管理にも十分な配慮が必要です。継続的な効果測定と改善により、ペーパーレス化の恩恵を長期的に享受し、企業の競争力向上に寄与することが期待できます。
富士ソフトは、お客様におけるペーパーレス化などの業務効率化を実現する電子承認システムとして、AgileWorks の導入や利活用の提案を行っております。
お客様における複雑なワークフローの課題に対し、AgileWorksの専門部隊がお客様の希望にマッチする最適なシステムをご提案いたします。ぜひご相談ください。
AgileWorksとは、複雑な業務フローを構築できる株式会社エイトレッドが提供するワークフローシステムです。紙のような直感的な操作が可能な申請フォームをノンプログラミングで作成でき、人事システムとの連携や未来組織の事前メンテナンス機能も備えています。マルチデバイスに対応しており、社内手続きのペーパーレス化やリモートワークの推進、様々なシステムとの連携による業務効率化を実現します。
※「AgileWorks」は、株式会社 エイトレッドの登録商標または商標です。