企業において申請や承認の業務は日常的に発生しますが、紙の書類やメールでのやりとりでは進捗が見えにくく、承認遅延や申請漏れが生じやすい状況があります。特にテレワークが普及した現在、オフィスにいなければ申請書を回覧できないといった課題を抱える企業も少なくありません。こうした課題を解決する手段として注目されているのが、グループウェアのワークフロー機能です。グループウェアに備わるワークフロー機能を活用すれば、申請・承認業務を電子化し、業務の効率化やペーパーレス化を実現できます。
本記事では、グループウェアのワークフロー機能の基本的な仕組みや他機能との連携による相乗効果、さらに自社に合ったグループウェアを選定するためのポイントについて詳しく解説します。
Writer Profile
藤原 賢太
富士ソフト株式会社
ソリューションビジネスユニット
ソリューション事業本部 営業統括部
ソリューション営業部 第4営業グループ リーダー
2019年 富士ソフト入社。AWS関連ソリューションの営業やDX商材の全社横断営業を経て、現在はペーパーレス化やレガシーシステム脱却といった業務プロセス改善に関するソリューションの営業を行っている。
グループウェアのワークフロー機能とは、企業内で発生する申請・承認業務を電子化し、システム上で一元管理できる機能を指します。従来は紙の書類を上長や関係部署に回覧して承認印を集めていた業務を、デジタル化して効率的に処理することが可能です。
この機能により、申請者は画面上で必要事項を入力して申請を行い、承認者は自身のデバイスから内容を確認して承認または差戻しを行えます。承認ルートの設定や進捗状況の可視化も容易になるため、業務の透明性と効率性が大きく向上します。
ワークフロー機能の基本的な仕組みは、申請フォームの作成、承認ルートの設定、申請と承認の実行、進捗管理という流れで構成されています。まず管理者が申請書のフォーマットをシステム上で作成し、誰がどの順番で承認するかというルートを設定します。
申請者が必要項目を入力して送信すると、設定された承認ルートに従って自動的に承認者へ通知が届きます。承認者は通知を受け取り次第、内容を確認して承認・差戻し・却下などの判断を行います。すべての承認が完了すると、申請者や関係者に完了通知が送られ、一連の業務が終了します。
このように、ワークフロー機能はあらかじめ定義された業務プロセスに沿って、申請情報を順次処理していく仕組みとなっています。
グループウェアのワークフロー機能で扱える申請業務は多岐にわたります。代表的なものとしては、経費精算、稟議申請、休暇申請、出張申請、備品の購入申請、契約書承認などが挙げられます。
経費精算では、交通費や接待費などの領収書を添付して申請し、上長や経理部門の承認を経て精算処理を行います。稟議申請では、新規取引先との契約や設備投資など、企業の意思決定に関わる事項を複数の承認者を経由して決裁します。
休暇申請や出張申請は頻繁に発生する業務であり、ワークフロー機能を使えば迅速に処理できます。備品の購入申請や契約書承認なども、承認ルートが明確化されることで、処理の遅延や漏れを防ぐことができます。
グループウェアのワークフロー機能と専用ワークフローシステムには、いくつかの違いがあります。専用ワークフローシステムは、複雑な承認ルートや条件分岐、他システムとの高度な連携機能を備えており、大規模かつ複雑な業務プロセスに対応できる点が特徴です。
一方、グループウェアのワークフロー機能は、スケジュール管理やメール、チャットなど他の業務支援機能と統合されている点が強みとなります。一つのプラットフォーム上で複数の業務を完結できるため、ユーザーの利便性が高く、導入や運用のコストも抑えやすい傾向があります。
一方、稟議書といった複雑な承認ルートを実現するような場合は、ワークフロー機能では細かな設定まではできない可能性があります。
企業の規模や業務の複雑さに応じて、専用システムとグループウェアのどちらが適しているかを判断することが重要です。比較的シンプルな承認プロセスが中心であれば、グループウェアのワークフロー機能で十分に対応できる場合が多いと言えます。
グループウェアの強みは、ワークフロー機能が単独で存在するのではなく、スケジュール管理やタスク管理、チャット、ファイル共有など他の機能と連携できる点にあります。これらの機能を組み合わせることで、業務効率がさらに向上します。
ここでは、ワークフロー機能と他機能との連携によって得られる相乗効果について解説します。
ワークフロー機能とスケジュール管理機能を連携させることで、承認者の予定を考慮した効率的な申請が可能になります。申請を行う際に承認者のスケジュールを確認し、不在時を避けて申請するといった配慮ができます。
また、承認が必要な期限をスケジュールに自動登録することで、承認漏れを防ぐことも可能です。承認期限が近づくとリマインダーが通知されるため、承認者は優先順位をつけて業務を進めやすくなります。
申請が承認された後の次のアクションをスケジュールに自動反映させることもできます。たとえば休暇申請が承認されたら自動的にカレンダーに休暇予定が登録されるといった連携により、情報の二重入力を防げます。
ワークフロー機能とタスク管理機能を連携させることで、承認業務をタスクとして管理できます。承認依頼が届くと自動的にタスクリストに追加され、承認が完了するとタスクが完了済みになるという仕組みです。
複数の承認案件を抱える管理職にとって、タスクとして一元管理できることは業務の優先順位付けや進捗管理に大きく役立ちます。未処理の承認案件を見落とすリスクも減らせます。
また、承認後に必要となるフォローアップ業務を自動的にタスクとして登録することも可能です。たとえば経費精算が承認されたら経理部門に支払処理のタスクが自動生成されるといった連携により、業務の継続性が保たれます。
ワークフロー機能とチャットやメッセージ機能を連携させることで、申請内容に関する迅速なコミュニケーションが可能になります。承認者が申請内容について質問がある場合、チャットで即座に申請者へ問い合わせができます。
従来のメールでのやりとりに比べて、チャットはリアルタイム性が高く、やりとりの履歴も申請に紐付けて保存できるため、情報の追跡が容易です。また、関係者全員をチャットグループに招待することで、情報共有の効率も向上します。
承認や差戻しの通知をチャットで受け取ることもでき、メールの見落としを防げます。このように、ワークフローとコミュニケーション機能の連携は、業務のスピードアップと正確性の向上に貢献します。
ワークフロー機能とファイル共有機能を連携させることで、申請に必要な添付書類の管理が効率化されます。申請時に関連ファイルを添付し、承認者がそのファイルを参照しながら判断できる仕組みです。
承認された申請とその添付ファイルは自動的に適切なフォルダへ保存され、後から検索や参照が容易になります。契約書や見積書など重要な書類を申請と紐付けて管理できるため、情報のトレーサビリティが向上します。
また、複数の部門で同じファイルを参照する必要がある場合も、ファイル共有機能との連携により最新版を常に共有できます。バージョン管理機能があれば、申請時点のファイルを確実に保管しながら、後の更新履歴も追跡可能です。
グループウェアのワークフロー機能を選定する際には、自社の業務内容や組織体制に合った機能を備えているかを慎重に検討する必要があります。導入後に「使いにくい」「必要な機能がない」といった問題が発生しないよう、事前に確認すべきポイントを押さえておくことが重要です。
ここでは、グループウェアのワークフロー機能を選ぶ際に注目すべきポイントについて解説します。
まず最も重要なのは、自社の申請・承認業務の流れに合わせてワークフロー機能をカスタマイズできるかという点です。企業によって承認ルートや必要な項目は異なるため、柔軟に設定変更できる機能が求められます。
申請フォームを自由に作成できるか、承認ルートを条件分岐できるか、代理承認や並列承認に対応しているかなど、具体的な業務要件と照らし合わせて確認します。既存の業務フローを大きく変更せずに導入できるグループウェアであれば、現場の抵抗感も少なく、スムーズな移行が期待できます。
また、将来的な組織変更や業務プロセスの見直しにも対応できる拡張性があるかも重要な観点です。管理者が簡単に設定変更できる画面が用意されているかなど、運用面での使いやすさも評価しましょう。
グループウェアのワークフロー機能を選ぶ際には、既存の業務システムとの連携性も重要な判断基準となります。人事システムや会計システムなど、他のシステムとデータを連携できれば、二重入力の手間が省け、データの一貫性も保たれます。
たとえば経費精算の申請が承認されたら、自動的に会計システムへデータが送信されて仕訳処理が行われるといった連携があれば、業務全体の効率が大きく向上します。
また、外部のクラウドサービスとの連携も視野に入れることで、より幅広い業務効率化が可能になります。連携実績や導入事例を参考にしながら、自社の業務環境に適した連携機能を備えたグループウェアを選定することが望ましいです。
ワークフロー機能を実際に利用する現場の担当者にとって、操作性の良さは非常に重要な要素です。どれだけ高機能であっても、使い方が複雑で分かりにくければ、現場での定着は難しくなります。
直感的に操作できる画面デザイン、分かりやすいナビゲーション、モバイルデバイスからの操作性など、ユーザビリティを重視した選定が求められます。トライアル期間を活用して、実際に現場の担当者に使ってもらい、意見を収集することも有効です。
また、管理者にとっての設定画面の使いやすさも確認しましょう。承認ルートや申請フォームの設定変更を頻繁に行う可能性がある場合、専門知識がなくても設定できる画面が用意されているかが重要になります。
申請・承認業務では機密性の高い情報を扱うことが多いため、セキュリティ対策が十分に施されているかを確認する必要があります。通信の暗号化、データの保管場所、アクセスログの記録、権限管理機能などをチェックしましょう。
特に役職や部門ごとに閲覧・編集権限を細かく設定できる機能があれば、情報漏洩のリスクを低減できます。二段階認証やシングルサインオンなど、認証方式の選択肢が豊富であることも望ましいです。
また、バックアップ体制や障害発生時の復旧対応、サポート体制なども重要な評価ポイントです。万が一のトラブル時にも業務が継続できる体制が整っているかを確認しましょう。
グループウェアの導入には初期費用やランニングコストが発生するため、予算に見合った製品を選ぶことが必要です。ライセンス体系はユーザー数に応じた従量課金型や、機能に応じたプラン選択型などがあります。
自社の規模や利用人数、必要な機能を考慮して、最もコストパフォーマンスの高いプランを選定しましょう。将来的なユーザー数の増加にも柔軟に対応できるかも確認しておくことが望ましいです。
また、導入時の設定支援やトレーニング、運用開始後のサポート費用なども含めた総コストで比較することが重要です。安価な製品でもサポートが不十分だと、結果的に運用コストが高くなる可能性があります。
テレワークや外出先での業務に対応するためには、モバイルデバイスからの利用が快適にできるかが重要です。スマートフォンやタブレット専用のアプリが用意されているか、レスポンシブデザインで画面が最適化されるかを確認しましょう。
また、クラウド型かオンプレミス型かという提供形態も比較ポイントです。クラウド型は初期投資が少なく、バージョンアップが自動的に行われる利点があります。一方、オンプレミス型は自社でサーバーを管理できるため、セキュリティ要件が厳しい企業に適しています。
自社のIT環境や運用ポリシーに合わせて、最適な提供形態を選択することが求められます。将来的な拡張性や保守性も考慮に入れた選定が望ましいです。
グループウェアのワークフロー機能は、申請・承認業務を電子化し、業務効率化やペーパーレス化、テレワーク対応を実現する有効な手段です。進捗の可視化や承認の迅速化、ミスや遅延の防止といったメリットにより、企業全体の生産性向上に貢献します。
また、スケジュール管理やタスク管理、チャットなど他のグループウェア機能と連携することで、さらに大きな相乗効果が期待できます。自社の業務内容や組織体制に合わせて、機能の充実度、操作性、セキュリティ、コストなど多角的な観点から比較検討することが重要です。
段階的な導入と継続的な改善を通じて、ワークフロー機能を最大限に活用し、自社に最適な業務環境を構築していきましょう。
富士ソフトでは様々なグループウェアを取り扱っており、導入や利活用のご相談を承っております。また、グループウェアと連携する高機能なワークフロー製品として、AgileWorksの提案を行っております。
お客様における複雑なワークフローの課題に対し、AgileWorksの専門部隊がお客様の希望にマッチする最適なシステムをご提案いたします。ぜひご相談ください。
AgileWorksとは、複雑な業務フローを構築できる株式会社エイトレッドが提供するワークフローシステムです。紙のような直感的な操作が可能な申請フォームをノンプログラミングで作成でき、人事システムとの連携や未来組織の事前メンテナンス機能も備えています。マルチデバイスに対応しており、社内手続きのペーパーレス化やリモートワークの推進、様々なシステムとの連携による業務効率化を実現します。
※「AgileWorks」は、株式会社 エイトレッドの登録商標または商標です。