Twitter
Facebook
Hatena
なぜ、いま「働き方改革」なのか?

日本の人口は、今後2065年までの50年間で約3割減少し8,808万人になると推定されています。さらにその50年後の2115年には参考値ですが5,056万人の見込みです。(「日本の将来推計人口(平成29年推計)」より)ちょっと驚きの数字ですよね。
労働力人口は、女性や高齢者の参加により現時点では増加していますので、サービス業や建設等以外では人手不足の実感は薄いかもしれません。ですが、2年後の2020年には減少に転じる見込みのため(「平成28年版厚生労働白書」)、それほど遠くない時期に必ずやってくる労働力不足はどの企業にとっても経営課題です。
政府は「誰もが生きがいをもって、その能力を最大限発揮できる社会=一億総活躍社会」を創り、付加価値生産性の向上と労働参加率の向上を図ることで日本の経済成長のネックとなるこの状況を乗り越えようとしています。
「働き方改革」とはこういった社会を創るために日本の働き方を変えていく施策であり、企業にとっては課された新たなルールであるとともに、経営課題を解決するための取り組みなのです。

「いつでも、どこでも」働ける環境とシステム部門のジレンマ

今回は、労働力の確保と、多様な人材活躍・多様な働き方を実現するために有効な「いつでも、どこでも」働ける環境について話します。
パソコンを使う業務であれば多くの場合は、従業員が在宅でも仕事を続けられるようにテレワーク環境を導入することは有効でしょう。
テレワークは、1970年代にアメリカ西海岸でエネルギー問題や大気汚染対策ために始まったといわれています。現在では、世界中で5人に1人が頻繁に実施しているといわれ、特別変わった働き方ではありません(総務省テレワーク情報サイト「テレワークの海外普及動向」より)。

しかし日本では、セキュリティの問題や業務評価の難しさから、導入する企業は多くありません。社有のパソコンは1台たりとも社外に持ち出せないようにしている企業も多いようです。
システム担当者にとっては、世の中のテレワーク推進の時流はわかるが、社有のパソコンを自由に持ち出していつでも情報を社外で扱える環境にするなんて、既存システムの全否定であり、方針の180度転換どころか三次元的な変革、ですよね。

そのテレワーク、利用されていますか?

では、テレワークを導入するにはどのような方法があるでしょうか。
テレワークを導入する場合、設計ポリシーには以下3つのタイプがあります。

①企業内のシステムはそのままで、外部からアクセスできる接続口を新たにつくるテレワークアドオン型
②企業内のすべてのシステムをクラウド上に構築しなおすクラウドファースト型
③メールやスケジュールなど一部のシステムだけをクラウドに移行するハイブリッド型

さらに、社内システムへの接続方法については、仮想デスクトップ、リモートデスクトップ、シンクライアント、ゼロクライアント、閉域モバイル網など様々な組み合わせがありますから、設計ポリシーとセキュリティポリシーを立てた上で選択されるとよいでしょう。

しかし多大な投資をしてテレワーク環境を整えたけれど、業務で使っていた肝心のシステムを利用しようとしたら社外からは接続できない、といった問題が発生する場合があります。さらに、紙での決裁業務があり社内でしか対応できないから出社するしかない、または職場に「やはり仕事は顔を合わせてするものだ」という仕事観が漂っていてテレワークを利用できない、利用しても肩身が狭いといったケースも聞かれます。従業員が「いつでも、どこでも」働けるようなテレワークの仕組みにするには、システム環境整備だけでは解決できない問題があることを念頭に、あらゆる観点から準備が必要です。

社員が使いたいテレワークの仕組みとは?

富士ソフトは30年前からテレワークを導入しており、社員は誰でも(一部の業務を除く)申請すれば利用できるのですが、身近なものになるまでには接続機器についてだけでなく、ルールや制度、利用促進の仕掛なども様々な試行錯誤が繰り返されました。
利用促進の施策の一つに「会議のペーパーレス化」があります。会議資料をクラウドで資料を共有することで、会議は必ずしも一カ所に集まる必要がないという社内文化をつくりました。全国どこからでも参加を可能としたことで、普段の業務からテレワークに対するハードルを心理的にも下げたといえるでしょう。そうなるとどこでも仕事ができることの利便性から、さらに次のステップとして、スマホやタブレットでも仕事ができるような仕組みを自社で開発したり、電話をクラウドPBX化して社外でも内線電話利用ができるようにしたりしました。場所に依存しない働き方へとシフトし、「いつでも、どこでも、だれでも」利用できる仕組みとして定着していったのです。

参考:富士ソフトの働き方改革 ~ゆとりとやりがいの実現に向けて

何のための働き方改革? ~ITでこそ実現できること

働き方を変えるにはIT技術やツールといった環境を導入することは不可欠です。その際に改革の本質を見失わないように、最適なツールの選択や従業員の気持ちがついていける導入の方法をあわせてご検討いただくことをおすすめします。

富士ソフトは、最新のIT技術をご紹介するだけでなく、これまでの経験で得た知見を活かした、経営観点、システム部門観点、ユーザ/現場観点などトータルな課題把握のコンサルティングから、その解決策としてのITのご提案・導入まで一貫したご支援をしています。働き方改革の導入をご検討の際にはぜひご相談ください。

富士ソフトの働き方改革について、詳しくはこちら
働き方改革ソリューション

 

 

この記事の執筆者

深津 容乃Hirono Fukatsu

ITコンサル室
課長 / エキスパート

働き方改革 仮想化