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新型コロナウイルス対策でわかった、全社員8,000人へテレワークを推奨できることの重要性

富士ソフトでは、2020年2月17日に社長より全社員に対して社内の緊急事態宣言が発信されました。時差出勤に加え、可能な限り在宅勤務を実施する指示とともに懇親会を含む社内イベントを中止または延期、社内会議は在宅からの参加やTV会議利用等で実施、集合する場合はマスクの利用並びに人数を減らしての実施、外出や移動を可能な限り避ける等の対策が提示されました。また、多くの人が集まる当社主催の集合形式イベントも中止または延期となりました。

これにより、テレワークを実施する社員が多くいますが、いろいろな課題が見えてくるとともに、そのメリットも合わせて感じることができました。社内でどのような対応を実施しているのか、そしてテレワークに備える重要性についてご紹介します。

通知後、即座に対応を実施

当社が主催する多くの人が集まるイベントが中止または延期する方針となったことで、翌週にユーザー会を開催予定だった事業部では即座に開催中止の対応を開始しました。社内の緊急事態宣言が通知されたのは金曜日の夕方でしたが、お客様への連絡は少しでも早い方が良いと思い、すぐに連絡。開催を楽しみにしていただいていたお客様もいらっしゃいましたので念のため月曜日にフォローしたところ、「早く言ってくれて良かった」「安心した」という声が。スピード感のある対応が重要だと感じました。

出勤については、所属長から社員に対し、翌週からの行動についてすぐに共有のカレンダーツールに入力するよう指示が出されました。実際、社員の勤務状況は在宅勤務と時差出勤が入り交じっている状態でした。

今回速やかに対応できた理由として、会社からの通知に対し、部署単位で次々と取り組みを進めたことが挙げられます。自分たちでただちに行動する、という感覚が備わっているのです。

奏功した普段からの環境整備

在宅勤務を実施するように指示があっても、自宅で仕事ができる環境がないと影響が出てしまいます。しかし、これまでにも富士ソフトでは積極的にテレワークを実施してきました。富士ソフトはITの企業であるため、社員が自宅にもネットワークを用意していることが多く、インフラの面では大きな問題はありません。

富士ソフトでは全社員にモバイル端末が貸与されており、営業担当者や外出の多い社員はノートPCでモバイルワークを日常的に行っていますし、介護や小さい子どもの存在などの理由で、日頃から在宅勤務をしている社員が多数おり、自宅でも対応できる環境を整えているため「環境格差」については心配ない状態でした。

セキュリティ面では、SplashtopやVDIなどで安全に会社の端末に接続できるため、会社と同じ環境で作業できます。これらの要素から、1日や2日程度の在宅勤務の指示では、戸惑うことはない状況だと思い、あまり不安を感じていませんでした。

また情報の共有方法としてTeamsなどのチャットやコラボレーションツールを使い、遠隔会議はSkypeとmoreNOTEを使って実施しました。こういったツールを普段から使いなれておくことで、在宅勤務をする際にもとくに違和感なく他のメンバーとのコミュニケーションをとることができます。

moreNOTEを利用して電話会議している様子

富士ソフトには、在宅勤務やテレワークについて「その人が最も合理的に仕事ができる環境を選びなさい」という方針があります。もし自宅にいることで通勤時間が短くなって、生産性が上がるのであればその方が良いですし、人によっては会社に来ることで生産性が上がる場合もあるので、それぞれの社員に合わせるという考え方です。

実施してわかった課題と改善点

普段の在宅勤務と違う点は、「家にいないといけない」という状況が長期間にわたって発生したことです。例えば、3日以上続くと、「誰が何をやっているかがだんだんわからなくなった」と感じている社員もいると聞きます。日頃あまり顔を合わせないメンバーの場合は、普段から進捗管理で状況が見える化されているためあまり影響はありません。ただ、よく顔を合わせるメンバーはノンバーバルコミュニケーションで成り立っていることがわかりました。見える化ができていない状況で離れてしまうと、成果の管理も難しいものです。

在宅勤務している様子

設備面では、ネットワークの準備だけでは不十分でした。会社ではノートパソコンを外部ディスプレイに接続してマルチディスプレイとして使っている場面がありますが、自宅には用意していない人が多いでしょう。このような場合、ノートパソコンの画面だけでは生産性が落ちてしまいます。

対策が難しいと感じたのが、ひとりになれる部屋がない、デスクがない、など自宅が仕事をする環境に適していない場合です。とくに他の家族が同時に在宅勤務をしている場合は、個別の部屋がないと自分のペースで仕事ができず、落ち着きの無さを感じるという声も聞こえます。

「合理的に仕事をできる環境を選ぶ」という観点でこれまで取り組んできましたが、「在宅勤務でいかに生産性をあげるか」という前提で対策を実施しないと、今後のオリンピックなどでは対応できないと考えられるでしょう。

また、機器や環境面だけでなく、リモートワークが長期間にわたると、情報がスムーズに連携されず一部の社員だけが情報を知っている、という「情報格差」に似たものが発生する場合もあります。コミュニケーションのあり方や情報の共有の仕方も大きく問われています。

まとめ

実は「本当に富士ソフトでは全社員がテレワークを実施できるか?」という質問を何度か受けていますが、答えは「YES」です。今回、いくつかの問題点も明らかになってきましたが、基本的にはなんらかの事情で出社せざるを得ない社員以外はテレワークを数日にわたって行うことができます。環境、制度と併せてペーパーレス化なども含めたモバイル環境の整備を総合的に時間をかけて進めてきたからです。

今後も、まもなくオリンピックが開催されるだけでなく、パンデミックが発生する可能性もあるため、「会社に行けない!」という状況は発生しうると考えています。今からでも少しずつ備えていくことは、BCP対策として非常に重要だと思います。

富士ソフトの在宅勤務関連サービスはこちら

富士ソフトのBCP対策サイト
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この記事の執筆者

深津 容乃Hirono Fukatsu

ITコンサル室
課長 / エキスパート

働き方改革 仮想化