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vSAN6.7 最新情報

2019年12月25日
蒋 祺彦 (しょう きげん)(富士ソフト株式会社)

2014年のリリース移行、幾度かのバージョンアップを経て利便性が向上しているHCI(Hyper-Converged Infrastructure)ソリューションであるVMware vSAN。ここでは最新のバージョン6.7から追加された機能をおさらいします。

VMware vSAN の変遷

最新情報を見ていく前に、vSANの進化の過程を見ていきましょう。最初のvSANとなるバージョン5.5は、2014年3月にリリースされました。今から見るとバージョン5.5は、vSANの基本的な機能を実装したものでした。しかし、基本的な機能でありながら、ポリシーベースのマネージメントやハイパーバイザー層でのストレージ仮想化機能の提供はとても革新的であり、当時から注目を浴びていました。

それから1年経過した2015年3月に、バージョン6.0がリリースされます。その後2015年8月にバージョン6.1、2016年2月にバージョン6.2、2016年11月にバージョン6.5、2017年4月にバージョン6.6、そして2018年4月にバージョン6.7がリリースされました。2014年3月にリリースされて以来、約5年間で6回のバージョンアップを経て、大小合わせて40以上の機能が追加されました。

vSANバージョン6.7の概要

ここからバージョン6.7の概要を見ていきましょう。このバージョンアップでは従来と比較し、以下の3つを実現しようとしています。

    • ・直感的な操作を可能に
        グローバルインフラストラクチャによる意思決定の強化
    • ・一貫したアプリケーションエクスペリエンス
        予測可能で安全なアプリケーション性能を体感
    • ・強化されたサポートエクスペリエンス
        スマートでプロアクティブなサポートにより混乱を排除

上記の実現に向けて、バージョン6.7は様々な機能が追加されました。

〇GA
 4Kn ドライブのサポート
 vSphere および vSAN の FIPS 140-2 検証
 HTML インターフェイス
 vCenter Server 内の vRealize Operations
 Windows Server フェイルオーバー クラスタのサポート
 ストレッチ クラスタのインテリジェントなサイトの継続性
 ストレッチ クラスタの監視トラフィックの分離
 サイト間でのストレッチ クラスタの効率的な再同期
 冗長な vSAN ネットワークを使用した場合の高速フェイルオーバー
 再同期トラフィックの動的管理を実現する適応性のある再同期
 レプリカ コンポーネントの統合率
 シェアード ナッシング アプリケーションのためのホストの固定化
 診断パーティション(コアダンプ)サポートの強化
 vSAN デステージングの最適化
 健全性チェックの追加と強化
 vSAN サポートの洞察
 スワップ オブジェクトのシン プロビジョニングとポリシー継承の強化

〇Update 1
 クイックスタートの追加
 ガイド付きクラスタの作成と拡張
 VUM による HBA ファームウェアのアップデート
 メンテナンス モードの拡張
 履歴容量および使用可能な容量のレポート
 ストレージの効率化のための TRIM/UNMAP
 監視トラフィックの分離のための混合 MTU
 健全性チェックの強化
 ユニキャスト ネットワーク パフォーマンス テスト
 vCenter Server 内の vRealize Operations の強化
 製品内サポート診断

〇Update 3
 vSAN のパフォーマンスの向上
 容量監視の強化
 再同期監視の強化
 メンテナンスモードで操作している場合のデータ移行の事前チェック
 容量管理が厳しいシナリオでのセキュリティの強化
 プロアクティブなリバランスの強化
 ポリシーが変更された場合の容量処理の効率化
 ディスクフォーマット変換の事前チェック
 パラレル再同期
 ネイティブ vSAN VMDK 上のWindows Server Failover Clusters(WSFC)
 vSphere Client での Support Insight の有効化
 vSphere Update Manager(VUM)ベースラインの設定
 vSAN データストアからのVMDKのアップロードおよびダウンロード
 vCenter Server と ESXiの上位互換性
 新しいパフォーマンス メトリックおよびトラブルシューティング ユーティリティ
 vSAN iSCSI サービスの機能強化
 クラウド ネイティブ ストレージ

vSANバージョン6.7の特徴的な新機能

それでは、vSANバージョン6.7の新機能から特徴的な以下の5点について、機能を見ていきましょう。
・HTML 5 完全互換
・クイックスタートの追加
・Windows Server フェイルオーバー クラスタのサポート(6.7GA)
・容量監視の強化
・再同期監視の強化

〇HTML 5 完全互換

HTML5 ベースの vSphere Client

HTML5 ベースの vSphere Client には、Flex ベースの vSphere Web Client とともに vCenter Server が同梱されています。vSphere Client と vSphere Web Client は、インターフェイス用語、トポロジ、ワークフローの多くが共通しています。新しい vSphere Client を使用することも、vSphere Web Client を引き続き使用することもできます。

〇クイックスタートの追加

vSphere Clientのクイックスタート機能

vSAN 6.7U1より、vSphere Clientにクイックスタート機能が追加されています。この機能により、簡単なウィザードに従って設定を行うだけで、vSANの構築ができるようになりました。導入検討中のユーザにとっては、かなり嬉しいアップデートではないでしょうか。

〇Windows Server フェイルオーバー クラスタのサポート(6.7GA)

vSAN 6.7のフェイルオーバー クラスタのサポートの概要図

vSAN 6.7 では、vSAN iSCSI ターゲットの上に Windows Failover Clustering (WSFC) ターゲットを構築することにより、WSFC をサポートしています。vSAN iSCSI ターゲット サービスは、共有ディスクの SCSI-3 の永続的な予約と、WSFC の透過的フェイルオーバーをサポートします。WSFC は、物理サーバまたは仮想マシンのいずれかで実行できます。

〇容量監視の強化

改善された容量監視ダッシュボード

容量監視ダッシュボードが再設計されて、全体的な使用率、詳細な内訳、および簡素化された容量アラートの表示が改善されました。容量関連の健全性チェックが見やすくなって、一貫性が保たれるようになりました。詳細な容量使用率は、サイト、フォルト ドメイン、およびホスト/ディスク グループ単位で取得できます。

〇再同期監視の強化

オブジェクトの再同期監視の強化

[オブジェクトの再同期] ダッシュボードには、再同期完了回数の精度を高めて、リバランスやポリシー コンプライアンスといった、さまざまなタイプの再同期アクティビティを詳細に表示するための新しいロジックが導入されています。

vSAN6.7では、ダッシュボードの改善等の表層的な機能の進化に加え、性能の向上を目的としたアップグレードがなされたことにより、内面的な機能も充実しました。
より使いやすく、高性能になったvSANを、是非お試しください。

富士ソフト株式会社 ソリューション事業本部 インフラ事業部 VMソリューション部 第1技術グループ 主任 蒋 祺彦 (しょう きげん)(vExpert)

富士ソフト株式会社
ソリューション事業本部
インフラ事業部 VMソリューション部 第1技術グループ 主任

蒋 祺彦 (しょう きげん)(vExpert)

中国出身。日本の文化に惹かれ2001年来日。2009年富士ソフトへ入社し、今ではVMwareソリューションに関する提案から設計導入まで幅広く従事している。入社当初よりVMwareの仮想化技術を担当し、実際に自身が導入したVMwareソリューションによりお客様のICTが変化するのを目の当たりにし、VMwareの仮想化技術に感銘を受ける。VMwareを含め新しいICTテクノロジーの習得に精進し、テクノロジーの活用とお客様ICTの貢献に努めている。

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