新しい技術を学び続けることを武器に、データの利活用でお客様のビジネス成長を支援する

膨大なデータを蓄積・分析するだけでなく、ビジネスの成長に寄与する形で利活用するソリューションが強く求められるようになりました。データの利活用において重要になるのが、社内やパートナー企業との迅速な情報連携です。富士ソフトでは、業界に先駆けてAIデータクラウド「Snowflake」に着目し、お客様のデータ・AI基盤の導入サポートを通じて、企業のデータ利活用をご支援してきました。本記事では、「Snowflake」の導入支援に詳しい梁 俊希に話を聞き、その取り組み状況や現在進行形で挑戦していることなどを語ってもらいました。
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梁 俊希ネットソリューション事業本部 ネットインテグレーション事業部
主任/エキスパート2018年、富士ソフト株式会社へ入社。Webアプリケーション開発の大型プロジェクトを複数経験し、その後数年に渡ってAWS開発を担当。データ基盤スペシャリストとしてさまざまな企業のデータ分析・利活用を促進するためのAI・データプラットフォームの導入支援に従事。「SnowPro Advanced: Architect」など多数のクラウド資格を保持。
新技術のキャッチアップを2つのプロジェクトで学んだ
──これまでの経歴を教えてください。

2018年、新卒で当社に入社しました。もともと文系の学部出身でITとは無縁の世界にいましたが、日々新しいことを学びながら刺激のある仕事をしたい、さまざまな業界に関わって広く社会に役立つ仕事がしたいと思い、IT業界に身を投じることにしました。
入社後はスマホアプリやウェブアプリ開発の部門に配属され、幅広い業界のシステム開発に携わらせていただきました。入社当時は、アプリケーション開発のみを専業としておりましたが、クラウド技術の発展や世の中の潮流の変化にあわせて、AWS(Amazon Web Service)を活用した開発に注力するようになり、2024年からはSnowflakeを中心としたデータ利活用分野のプロジェクトに軸足を置いて活動しております。
──記憶に残っているプロジェクトがあれば教えてください。
音楽イベント向けのチケット売買のアプリケーション開発と、中小企業向けのクラウドストレージサービス開発のプロジェクトがとくに記憶に残っていますね。
社会人3年目にアサインされたチケット売買のアプリケーション開発では、管理者向けのWebサイト構築に加え、AWSサービスの技術調査から実現までを一任され、当時の自分にとっては大きな挑戦でした。アプリを利用する大量のユーザーに対して、プッシュ通知やメール配信を行う機能を担当していたのですが、調査を進める中で、もともと採用予定のサービスでは性能要件を満たせないことが判明しました。AWS社のソリューションアーキテクトの方とも協議をしながら、フィジビリティ検証を行い、無事機能を実現させることに成功しました。
クラウドストレージサービス開発は、PoCから参画したプロジェクトで、中小企業のお客様向けの契約周りの機能や、対向システムとの連携機能をAWSサーバレスアーキテクチャで実現するプロジェクトでした。今でこそサーバレス開発のノウハウは溜まってきていますが、当時は開発知見が少ない中で、各種AWSサービスとIDaaS製品の技術調査をしながら、プロトタイプ開発を行っていきました。サービスインの時期も決まっている中で、新しい技術をイチから調べながら、実用に足る構成を短期間でつくり上げていくことには、やりがいを感じながらも大変苦労したことをよく覚えています。
PoC開発に留まらず、商用システムの構築・サービスインまで携わり、その後3年以上お客様窓口として保守運用を担当いたしました。運用業務をする中で、25種を超えるさまざまなAWSサービスに触れてきた経験が、今の業務にも活かされていると感じています。
進化するデータクラウド基盤「Snowflake」
──現在、注力されている「Snowflake」はどんな製品ですか。
「Snowflake」とは、アメリカのSnowflake社が提供するデータクラウド基盤で、ビジネス成長にあわせて柔軟に拡張可能なSaaS製品です。グローバルで11,000社、国内では800社が導入しています。「Snowflake」は複雑性を排除し、シンプルで誰もが容易に活用できることを第一に、各種サービスを提供しています。
注目すべき特徴としては、フルマネージドサービスである点が挙げられます。基本的なインフラストラクチャのメンテナンス業務はSnowflake社が対応し、メンテナンスによるダウンタイムを気にすることなく、常に最新状態で安心して利用し続けることができます。またデータ格納時にマイクロパーティションという検索に最適化された形式に組み替えられ、難しいチューニング作業を行うことなく、大規模データへの高速なデータアクセスが可能になります。必要な機能がすべて内包されたシングルプラットフォームであることから、他のデータ基盤と比較して、素早く立ち上げができるため、利用者は本来やるべき業務により集中することができるようになります。

また、単なるデータウェアハウス(DWH)ではなく、セキュアデータシェアリングという機能を活用して、企業内・企業間でのシームレスなデータ共有ができます。昨今話題となっている生成AIの活用までを、一手に引き受けることができる点も大きな特徴です。多くの企業様と相対する中で、データ共有において課題をお持ちの方としばしばお会いするのですが、「Snowflake」を利用することで、わずか数ステップの簡単な手順でデータを迅速かつセキュアに共有することが可能になります。またデータのみならず、作成したアプリケーションを共有することも可能です。情報共有のスピードと精度が求められる昨今の事業環境において、ビジネスの成長を後押しするプラットフォームとして注目度が高まっています。
──かなり壮大なSaaS製品プラットフォームのように感じます。
確かに「Snowflake」は大規模データ共有に長けたプラットフォームですが、ビッグデータを扱う事業者でなければ見合わないかというと、そうでもありません。たとえば、地方の町役場の窓口対応の最適化を目的として、実証実験のプロジェクトを対応させていただいたことがあります。役場内にAIカメラを設置して、来庁者の性別・年齢などの属性情報やトラッキングデータを収集し、BIツールで可視化することで、曜日・時間帯ごとの人員配置の最適化を図りました。使った分だけの従量課金制のサービスで、立ち上げも容易なことから、こうした比較的小規模な組織においても十分活用できます。
最新情報/技術を学ぶことが仕事の転機となる
──現在取り組んでいることについても詳しく教えてください。

お客様のデータ利活用導入の敷居を少しでも低減させるべく、「データ基盤ソムリエサービス」と「簡単導入パック」という自社サービスを展開しております。
データ基盤ソムリエサービスは、導入にあたって「何から始めたらいいのかわからない」、「どのサービスを採用すればいいのか悩んでいる」といったお悩みを解消するためのコンサルティングサービスです。データ基盤1つとってもさまざまな製品が市場に出回っており、自社にとって最適なソリューションを選ぶことは簡単ではありません。当社は、お客様が大切にしたい評価軸やシステム構成などを伺った上で、お客様の基盤選定をご支援します。その際には特定のプロダクトに依存することなく、公平な視点でお客様に最適なクラウド基盤のご提案をしています。
簡単導入パックは、「費用対効果を確認したい」といった課題感に応えるサービスで、何か1つユースケースを決めて活用してみましょうというものです。たとえば基盤の初期構築を行った上で、各種システムから選択したデータを連携するところから、BIツールにつないでデータの可視化を行うところまでを小規模に実現するなど、お客様が効果測定したい内容にあわせて環境整備を実施させていただいております。「お金をかけて大層なものをつくったけれど活用しきれない」という状態にならないために、まずは小規模導入してPDCAを回しながら、費用対効果の確認や社内の合意を得やすい環境をつくることが可能です。
──それらは新しい挑戦だったと思いますが、何が大変でしたか。
「データ基盤ソムリエサービス」を最初に提供するときが大変でした。お客様が求めている要件整理から技術調査、比較、最終報告を1カ月程度の短期間で終える必要があったのです。コスト、ガバナンス、実現性、BCPなど、さまざまな比較軸の中からお客様が重視するものを掘り下げたレポーティングが求められました。
前例がない取り組みでもあったので、お客様の成果物イメージと乖離しないようコミュニケーション頻度を多くして、伴走型で進めていきました。しかし市場には多くの製品が出回っており、技術の進歩も目覚ましく、一人での情報収集には限界があります。そこで当社内で各分野の有識者に協力していただきながら、アライアンス各社とも密に連携をとることで、最新の情報を取り入れた、より質の高いソリューションを提供できるように努めてきました。会社としての総合力を活かして、お客様に満足いただけるサービスを提供できたこと、この挑戦を通して自分自身も成長できたことは、私にとって大きな転機だったと感じています。
──情報のキャッチアップはエンジニアの課題ですが、どんな工夫をしていますか。
私は知識を深掘るのが好きな性格だということもあり、日頃から常に情報収集はしています。PCや机に向かって勉強するだけではなく、移動時間は動画メディアを見たり、実際にイベントに足を運んだりもしています。その道の詳しい人に話を聞くことも大事でしょう。社内だけでなく、社外のエンジニアとの交流を通して、知見・スキルを磨くことも有効です。私の場合は「Snowflake」の技術コミュニティに参加して、最新の技術情報の収集や情報交換をしています。

あらゆる課題/悩みに、専門家ならではのサービスで応えたい
──当社の強みは何だと思いますか。
先ほどご紹介した通り、会社としての総合力の高さですね。当社には一万人を超える技術者がおり、分野ごとに専門知識を持った部所が存在し、その部所の垣根を越えてそれぞれの専門家と連携できる環境が整っています。また独立系のSIerとして、クラウドベンダーをはじめとした各社とのアライアンスも充実しています。こうした総合力の高さによって、良いシナジーを生み出しながら、お客様の課題解決をご支援できるのが当社の魅力だと感じています。
現在推進させていただいている「Snowflake」においても、昨年実績として数十名単位での資格取得者を輩出しており、今年は100名の専門家を育成することを目標にしています。組織全体で技術者育成に力を入れて取り組んでいることも、当社の強みと言えるのではないでしょうか。
──これからどのような方にサービスを提供していきますか。
多くのお客様と相対する中で、特定の個人にデータ分析業務が属人化していたり、作業者単位で品質や結果にばらつきがあったり、複雑なプロセスによってそもそもデータ活用をはじめるまでに時間がかる、そんな課題をよく耳にします。当社のサービスが、そういった方々の課題解決のお役に立てればといつも考えています。たとえば「DXやデータ活用に興味があるけれど、何から始めればいいのかわからない」というレベル感の方でも、まずはぜひご相談いただければと思います。

自らの情報発信と、お客様のビジネスの成長に向けて
──仕事で大切にしていることは何ですか。
お客様視点で物事を考え、コミュニケーションを密にとって、ニーズを掘り起こすことを大切にしています。技術者として、ベストプラクティスの追求は日々行っていますが、それがお客様のご要望にフィットするものでなくてはいけません。丁寧にご説明を繰り返すことで、きちんと納得していただきながら、プロジェクトを進めていくことが何より大切であると考えています。
──最後に、今後の展望を聞かせてください。
データ利活用の促進や自動化によって、お客様のビジネスの成長や日々の業務効率化に、もっと貢献できるようになりたいです。そのためには、自分たちが提供するソリューションの質を高め、最新技術をキャッチアップしながら、自らも情報発信を積極的に行っていくことが大事だと考えています。社内外への発信を通して、もっと業界自体を盛り上げたり、世の中に役立つ新しいサービスを考えたりしながら、日々新しいことに挑戦していきたいです。

※記載の会社名、製品名は各社の商標または登録商標です。