最新動向から学ぶクラウドセキュリティCSPMの基礎と市場成長の現状

日々増加するサイバー攻撃の脅威に危機感を感じ、特にクラウド環境の設定ミスが重大な脆弱性につながると頭を抱えることは多いのではないでしょうか。本記事では、CSPM(Cloud Security Posture Management)の基本と、2025年時点での世界・日本市場の最新動向をわかりやすく解説します。設定の自動監視やリスク軽減の手法、市場成長の背景を知ることで、限られた人材と時間でも効果的にクラウドセキュリティを強化するヒントをお伝えします。CSPMへの理解を深め、サイバー攻撃の脅威に備えましょう。
- CSPM(Cloud Security Posture Management)は、クラウド環境のセキュリティ管理を強化するためのツールやソリューションです。
- CSPMはリアルタイムでクラウド環境を監視し、自動でリスクを特定、アラート警告を行います。
- セキュリティの一貫性を保持しつつ、効率的にセキュリティインシデントを防ぐことが可能になっています。また、マルチクラウド環境における一元管理もサポートしています。
-
Tech Tips編集部富士ソフト「Tech Tips」編集部です。トレンドのIT用語をわかりやすく解説しています。
CSPMとは何か?―基礎的な理解と必要性

CSPM(Cloud Security Posture Management)は、クラウド環境のセキュリティ管理を強化するためのツールやソリューションです。多くの企業がクラウドを活用する中で、設定ミスや非準拠などのリスクが増大しています。こうした課題に対処するために、CSPMはリアルタイムで環境を監視し、自動でリスクを特定、修正します。また、コンプライアンス対応やセキュリティガバナンスの強化も図れます。これにより企業はリソースをより効果的に配分し、セキュリティ運用を最適化できます。
CSPM(Cloud Security Posture Management)の定義と役割
CSPMはクラウド環境の安全性を確保するためのソリューションで、主に設定ミスの検出や脆弱性の修正を担当します。クラウドサービス全体の状態を可視化し、ポリシーに違反した設定を自動的に特定します。企業はセキュリティの一貫性を保持しつつ、効率的にセキュリティインシデントを防ぐことが可能になっています。また、マルチクラウド環境における一元管理もサポートしています。
なぜCSPMが今注目されているのか(設定ミスのリスクとセキュリティ強化の必要性)
クラウドサービスの急速な普及に伴い、設定ミスによるデータ漏えいが増加しています。CSPMはこれを防ぐために、継続的な監視とリスクアセスメントを行い、迅速な修正策を提供します。また、企業はGDPR(一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)へのコンプライアンス対応が必要となり、これらを自動化するCSPMは大きな支持を得ています。GDPRは欧州連合における個人データ保護のための法律であり、企業活動において厳格なデータ管理が求められます。CCPAはアメリカのカリフォルニア州における消費者プライバシー保護法で、消費者のデータ収集や使用についての透明性を企業に要求しています。
これらの規制に対応するためのCSPMの利用は、クラウドセキュリティの標準としてますます重要視されています。CSPMを活用することは、コンプライアンスの確保とセキュリティ強化に直結します。人手不足に悩むセキュリティ部門でも、効率的にこれらの課題に対応できるのがCSPMの大きな特長です。このような背景から、CSPMへの導入は今後一層進むことが予想されます。
CSPMの国内市場動向―現状と将来予測

CSPM市場は、企業におけるクラウドの活用が増加する中で重要性が高まっています。日本においても、セキュリティのニーズが高まり、その市場規模は急速に拡大しています。市場調査では、複数の要因により今後も成長が続くとされています。特に、AIの活用や自動化といった技術進化が市場を牽引しています。さらに、国内企業がセキュリティ基準を強化する動きもあり、これが導入増加の一因となっています。
2025年度の市場規模と成長性(2020年度との比較)
2020年度には、日本のCSPM市場は、小規模ながらも着実な成長を見せていました。この時期の市場規模は、クラウド導入の初期段階に相当し、需要が徐々に拡大している状況でした。2025年度には、クラウドセキュリティの重要性がより認識され、市場規模は大幅に拡大する見込みです。特に、リモートワークの普及やデジタルトランスフォーメーションが成長を後押ししています。セキュリティ人材不足も重なり、効率的なセキュリティ管理が求められ、高い市場成長が見込まれています。
グローバルなCSPM市場の拡大状況

CSPMのグローバル市場は、近年急速に拡大しています。企業がクラウド上でのセキュリティを強化する必要性が高まっており、CSPMの導入が進んでいます。特に、企業の情報セキュリティ部門は、設定ミスからのリスクを軽減し、自動化された監視を行うためにCSPMを利用する傾向にあります。これにより、市場は拡大を続け、多くの企業が最新のセキュリティトレンドを追求することが求められています。
2024–2025年の市場規模と2030~2034年にかけての予測
2024年から2025年にかけて、CSPM市場はさらなる成長を見せると予測されています。この成長は、企業がクラウドセキュリティを向上させたいという需要の増加によるものです。2030年から2034年にかけても、引き続き市場が拡大し続けると見込まれており、特に高度なセキュリティ対策を必要とする業種において導入が加速する可能性があります。これにより、企業の情報セキュリティ部門は、常に新しい脅威に対応するための準備が求められます。
地域別市場シェアと成長傾向(北米、アジア太平洋など)
CSPM市場の地域別では、北米はリーダーシップを維持しています。この背景には、大企業が多く存在し、クラウドサービスの利用率が高いという特徴があります。一方、アジア太平洋地域でも成長が顕著です。日本を含むこの地域では、サイバー攻撃の標的にされることが増え、それに伴ってCSPMの市場も拡大しています。こうした地域ごとの傾向により、企業のセキュリティ部門は、地理的特性に応じた対策を講じる必要があります。
CSPMに関連するセキュリティニーズと導入課題

CSPMは、クラウド環境でのセキュリティリスクを低減するために重要です。企業は、コンプライアンスの維持、リソースの自動化、環境の可視化など、さまざまなニーズに応じてCSPMを採用します。こうした取り組みにより、設定ミスによるセキュリティホールを未然に防ぐことが可能です。しかし、導入には複数の課題も存在します。スキル不足やツール間の相互運用性を確保することが求められるため、十分な準備が必要です。効果的なCSPMの導入は、企業のセキュリティ体制を大きく強化する重要なステップです。
主な導入目的(コンプライアンス、自動化、可視化など)
CSPMは、主にコンプライアンス遵守、自動化、可視化を目的に導入されています。コンプライアンスは、企業が法規制・業界基準を遵守する上で必須であり、CSPMを活用することでその証拠を自動的に記録・管理できます。リソースの自動化により、手動の作業を減らし、人為的エラーを防げる利点もあります。さらに、クラウド環境全体の可視化を高めることで、潜在的な問題を早期に発見し、対策を講じることができます。特にマルチクラウドなどの環境では、一元管理による可視化が役立ちます。
導入時の課題(統合の複雑性、スキル不足、ツール間の相互運用性など)
CSPM導入には、統合の複雑性やスキル不足、ツール間の相互運用性といった課題があります。まず、クラウド環境が複雑であるほど、既存システムとの統合は難しくなります。また、適切なスキルを持った人材が不足していると導入が円滑に進まない可能性があるため、社内トレーニングや外部専門家の支援が必要です。さらに、CSPMが他のセキュリティツールとシームレスに連携するためには、相互運用性が重要となります。
これからCSPMを導入する組織が知るべきポイント

CSPMの導入を考えている組織にとって、いくつかの重要なポイントがあります。まずは、組織のクラウド環境全体を正確に評価し、どのようにセキュリティポリシーを適用するのか計画する必要があります。また、自動化によるセキュリティ監視の効率化が目指されるため、その戦略も設定が不可欠です。これらにより、設定ミスによるリスクを低減し、運用コストも抑えることが可能です。
導入検討のステップ(評価から自動化戦略の構築まで)
CSPM導入に向けたステップをクリアに理解することが大切です。最初に組織のクラウド環境を評価し、セキュリティニーズを洗い出します。そして、クラウド構成のベストプラクティスを確認し、それに基づいてセキュリティポリシーを設定します。次に、自動化戦略を構築する段階では、インシデントの迅速な対応が図れるように、適切な自動化ツールを選定します。
導入後に期待される効果(インシデント削減、監査準備の効率化など)
CSPMを導入すると、クラウド環境のインシデントを大幅に削減することが期待されます。特に設定ミスを防ぐことで、セキュリティの強化が図れます。さらに、セキュリティ監査の準備もスムーズになり、コンプライアンス遵守も容易になるでしょう。また、人的リソースが限られている場合でも、効率的な運用が維持できる点も導入の大きなメリットです。
CSPMとその他のツールとの違い

CSPMは、クラウド環境の設定ミスやコンプライアンス違反を継続的に検出し、アラートを上げることが主要な役割です。インフラ全体のセキュリティ立ち位置を可視化し、設定の安全性を強化する点が特徴です。CSPMは構成の観点からリスクへの対応を支援し、ヒューマンエラーによる漏れを減らす役割を担います。特に、IaaSやPaaS主体の組織では導入メリットが高いです。CWPPやCASB、SSPMなど他のツールと組み合わせて総合的なクラウドセキュリティ戦略を構築することが求められます。
CSPMとCWPPとの違い
CSPMはクラウドの構成(設定)リスクやコンプライアンス違反を監視し、是正提案を行います。一方、CWPP(Cloud Workload Protection Platform)は実際に稼働するワークロード(コンテナや仮想マシン)に対して、脆弱性スキャンやマルウェア対策、ランタイム保護などの直接的な防護を担当する点が異なります。CSPMは設定改善を促す支援、CWPPは攻撃に対して能動的に防御する役割を担っています。
CWPPはエージェントベースの保護が多く、稼働中の負荷軽減や侵害防止が目的です。例えば、リアルタイムでアプリケーション振る舞いを監視し、異常を検知するなどの機能を提供します。対してCSPMは構成の健全性の維持に特化しています。
CSPMとSSPMとの違い
SSPM(SaaS Security Posture Management)は、主にSaaSアプリケーションの設定やAPIアクセスなどを対象にリアルタイム監視とリスク検知を行います。CSPMはクラウドインフラ全体(IaaS/PaaS)を対象とするのに対し、SSPMはSaaS固有の設定やアクセス制御の可視化・リスク低減に特化している点が大きな違いです。SSPMはクラウドサービス上のアプリケーション設定に焦点を当てており、SaaS利用者が直面する設定ミスの防止や権限過剰の発見に優れています。
SaaS専用の管理層を対象にするため、業務で使われるクラウドアプリの安全性確保にSSPMが必要なケースでは、CSPMと併用することで設定面も含めた一貫した保護が期待できます。
CSPMとCASBとの違い
CASB(Cloud Access Security Broker)は、ユーザーとクラウドサービス間に配置され、アクセスの制御やデータ流出防止、シャドーITの検出などを担います。一方、CSPMはクラウドインフラの構成設定に重点を置き、アクセス制御よりも設定の整合性とルール準拠性を維持する役割があります。このように、CASBは「誰がどう使っているか」を守り、CSPMは「クラウドが安全に設定されているか」を守るという棲み分けが可能です。CASBはデータ暗号化やユーザー活動の監視を通じてポリシー実行を行うため、CSPMとは補完関係にあり、両者を組み合わせることでアクセス制御と構成管理の両面からセキュリティを強化できます。
CASBを詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
CASBとは?クラウド時代のセキュリティ対策の重要性と導入ポイント
最新動向と将来展望に関するまとめ

CSPMの世界市場は、高い成長が見込まれており、2033年まで年平均成長率(CAGR)は約10%とされています。その主な成長要因は、マルチクラウド環境への対応やAI/機械学習による脅威検知の強化、リアルタイムのコンプライアンス管理など、新技術の統合への需要の高まりです。
また、グローバルなサイバーセキュリティ投資全体では、クラウドセキュリティ関連、特にCSPM領域への関心が高いと言われています。加えて、依然続くセキュリティ人材の不足により、サービス活用や運用アウトソーシングへの依存が進んでいます。
企業の情報セキュリティ部門担当者にとっては、CSPMを導入することで、マルチクラウド環境における不整合や設定ミスを迅速に検出・是正できる利点があります。AI統合や可視性の向上など最新の進化点にも注目しつつ、人的リソースが限られる中では外部支援を活用する戦略が、今後ますます重要になりそうです。
富士ソフトのCSPMソリューション「FujiFastener(フジファスナー)」

FujiFastener(フジファスナー)は、セキュリティ人材が不足する企業に代わり、AWS・Google Cloud・Azure 環境を24時間365日監視するマネージドセキュリティサービス(MSS)です。アラートの確認、初期対応、調査といった運用業務を、高度なセキュリティエンジニアとAIの組み合わせで代行します。お客様は対処が必要な場合のみ対応し、運用負荷が大きく軽減されます。
さらに、クラウド事業者が提供するネイティブなセキュリティ機能(例:AWS Security Hub、CloudTrail、Azure Defender for Cloud、Google Security Command Centerなど)を活用し、コストパフォーマンスに優れた体制を実現しています。加えて、最新のセキュリティルールへの自動対応や、お客様の状況に応じた柔軟な導入にも対応可能です。お気軽にご相談ください。
※記載の会社名、製品名は各社の商標または登録商標です。

