課題解決の現場
2026年2月6日

企業の中国進出をトータルサポート!―AWS中国リージョンの構築から運用まで

グローバル経済が発展する中で、日本企業が中国市場に進出するのは重要な戦略の1つです。しかし、中国特有のネットワーク規制やクラウド環境は、多くの企業にとって大きな参入障壁となっています。独自のインフラ、厳格なサイバーセキュリティ法、複雑な申請プロセスが、企業の挑戦を困難にしています。富士ソフトは、こうした難しい課題を独自のコンサルティングサービスで解決し、企業の中国進出を支援しています。本記事では、中国クラウド事業を当初より担ってきた山角 正範に、その挑戦と解決策を伺います。

登場する主な課題
  • 中国特有のネットワーク規制
  • クラウドサービス利用の複雑な申請プロセス
  • データ越境に関する法的制約
  • セキュリティ要件の厳格さ
改善効果
  • スムーズな中国市場進出
  • 法的リスクの軽減
  • 効率的なクラウド環境構築
  • 現地化戦略の確立
登場社員のプロフィール
  • 山角 正範
    営業本部 グローバルビジネス部 チャイナビジネス推進室
    部長

    2002年、富士ソフト入社。カーナビ/複合機等の製品開発現場に携わる。2012年から中国に海外赴任となり、富士ソフトの中国法人で現地取りまとめ役を担当。その後、富士ソフト本体の中国ビジネス推進の部長も兼任し、中国ビジネスの推進担当としてビジネス企画・提案を中心に活動している。

日本企業に立ちはだかる高い壁-中国クラウド市場の実情

中国では、政府による厳格な規制や国内データ保管義務、複雑な申請手続き、外資系企業への参入制限など、技術・法律・文化のすべてにおいて高い壁が存在し、日本企業が事業を行うには難易度の高い環境です。とくに、中国のサイバーセキュリティ法はデータ管理や個人情報保護、インターネットコンテンツに関して極めて厳しく、わずかな違反でもサービス停止や罰則の対象となるリスクを伴います。

中国市場には、①国内で作られたデータを海外に持ち出せない「データローカライゼーション」、②多くの書類と専門知識が必要な「ICPライセンス申請」、③電子決済などで外国企業の参入が制限される「外資規制」、④そして中国独自の法律上の規制など、さまざまな障壁があります。これらは単なる技術の問題ではなく、中国の政治や文化に深く関わるもので、企業は法知識や現地事情への理解、柔軟な対応が必要となります。

中国現地チームと連携した包括的なサポート

当社は、中国市場での複雑なクラウド環境に対応するため、導入から運用まで一貫して支援する体制を整えています。
まず、中国におけるクラウドサービスの導入・構築・運用ですが、当社はAWS(Amazon Web Services)中国リージョンでの実績を多数保有し、現地法人化した富士ソフト中国(富士軟件科技(山東)有限公司)と連携し、アカウント申請代行、構成設計、アプリ検証、サーバー構築から、24時間/365日の運用サポートまでをカバーしています。これにより、日本でのサービス提供と同等のレベルで、中国クラウドを活用できる体制を実現しています。 この体制によって、申請手続きや技術構築・運用など、日本企業がつまずきやすい点を引き受けることが可能になりました。

次に、中国特有の制度や法律、インフラの制約(例えばネットワークの通りにくさ、ポート開放の制限、ICP登録の手続き)に対して、現地での知識と経験を活かし、適切なやり方を理解・実行できるようサポートしています。「ポートが開かない」「AWSでドメインが取得できない」といった具体的な障壁は、実際に使ってみないとわからないことが多いのです。
こうした現地ルールをクリアするために、当社は中国現地スタッフを配置し、アカウント申請やICP登録の代行・支援をパッケージ化しています。この支援は単なる技術提供にとどまらず、法律・制度・運用の実務まで踏み込んだものです。またクラウド・コンサルティングとして、サイバーセキュリティ法や個人情報保護法にもとづく法律面の相談にも対応し、「データを安全に扱う方法」や「国外へのデータ移行の可否」についてもサポートしています。単にクラウドを使える状態にするだけではなく、安全に運用する仕組みを設計できることが、中国市場に進出する企業にとって大きな安心材料になっているのだと思います。

中国をはじめグローバルでAWSのような環境を作っていきたいという場合、海外拠点でエンジニアを抱えている会社は少なく、当社の現地法人なら、お客様からご依頼を受けたとき、自分たちの責任で作りこんで運用することができます。また、中国から海外へ進出したいと考えている企業も多く、Alibaba CloudからAWSへの移行を希望するケースも増えています。当社は設計から移行までのサポートを行い、既存のシステムを生かしつつ、お客様の要望に沿った最適化を行えます。「技術・制度・運用」を三位一体で捉え、現地法人による実務支援と、お客様の要望を反映した設計の両立ができる点が、当社の強みと言えるでしょう。

多角的に中国市場進出を支える支援体制

このように、中国市場で企業が安全かつ効率的にクラウドを活用できるよう、まずは構築・法律への対応・運用・コンサルティング・現地向けサービスでサポート体制を整えました。加えて、AWSやAlibaba Cloudへの移行支援、ICPライセンス申請代行、現地エンジニアによる運用・保守、多言語対応、システム最適化など、幅広いサポートメニューを持っています。

特に運用・保守面では、常時約150名の現地エンジニアが対応し、多言語による円滑なコミュニケーションや、中国特有の技術課題への即時対応も提供できます。また、現地の状況に合わせたシステム最適化や、PoC(Proof of Concept)の支援、グローバル展開を見据えたクラウド戦略の立案など、コンサルティングサービスにも力を入れています。中国ユーザー向けのアプリやサービス構築、スタートアップや現地企業との協業支援なども構築してきました。
現地の複雑な環境に即した総合的なクラウドサポートを提供することで、これからも日本企業の中国市場進出を強力に支援していきたいと考えています。

中国進出企業を支えた富士ソフトのクラウド活用事例

当社の中国クラウド事業における成功事例のパターンをご紹介します。

1つは、中国の拠点に既存のAWSシステムを使う場合で、現地にIT担当者がいないというパターンです。サイバーセキュリティ法への対応や、安定したアクセスの確保が大きな課題になります。また中国国内でシステムを稼働させつつ、グローバルで統一されたIT環境を整えることも求められます。当社では、中国法人と連携し、まずAWSを基盤としたクラウド環境を構築。現地の法律に対応しながら、日本側からリモートで管理できる仕組みを整えました。さらにセキュリティ対策や、継続的なサポートを提供することで、IT担当者が現地に不在でも、日本からの主導でシステム導入・運用を進められるソリューションを実現しました。

次は、PoCに向けて初期開発コストと期間を抑えたいという課題の場合です。まずは中国特有の要件整理と、技術的な課題の洗い出しを行いました。富士ソフト中国は、AWS中国リージョンでアカウントを取得し、日本側の設計書をもとに約1カ月で検証環境を構築。PoCでは、日本版との機能差分を確認するとともに、地図データなど中国専用の要件については現地ベンダーと連携しながら対応しました。これにより、サイバーセキュリティ法を守りつつ、追加開発を最小限に抑え、スピーディに中国市場へ展開できる体制を整えることができました。

中国市場の開拓と奮闘の先にあった人とつながる温かさ

中国では当社は無名に近く、最初はとにかく自分から動いて、企業に足を運んで、「ITで困っていることがあれば何でも言ってください」と一人ひとり関係づくりをしていきました。そもそも私はエンジニア出身で、営業は全くの初心者なので、お客様へのアプローチの仕方も全然わからなかったんです。実は、このようなやり方は、ほとんど他社の方に教えてもらいました。「こういうときはこうしたほうがいいよ」と、本当に親切に教えてくれます。異国の地では、他社の方々とも関係が近くて、助けられたことが何度もありました。そういう温かさに救われてきた部分は大きいですね。そしてその分、知り合いが驚くほど増えました。もう15年になりますが、さまざまなつながりが広がって、気づけばたくさんの人間関係ができ、今では自分の財産になっています。
それと中国では役職の壁が低く、他社の社長と普通に話すこともあって、そういうフラットさ、距離感の近さに助けられることも多くて、そこはすごく気持ちいい文化だなと思います。

私は仕事をする上で、「公正で平等」ということをつねに考えています。社内、社外、現地の方とのお付き合いもそうです。ただ私の言う「平等」は、無条件に全員が同じなのではなく、頑張った人が頑張った分だけ報われるという意味の平等です。
海外での仕事は、文化の違いの中で信頼関係を築く貴重な経験の場となります。だからこそ、当社のメンバーにもチャンスがあればぜひ経験してほしいですね。私が多くの人に助けてもらったように、私も、努力する人や、海外挑戦をする企業を支援することで恩返しができればいいなと思っています。

※記載の会社名、製品名は各社の商標または登録商標です。