株式会社 タカギ(AWS導入支援)

会員サイトのインフラ基盤をAWSで刷新
高セキュリティ維持が負荷なく実現して
新たなビジネスのスピーディーな展開も可能に

移行前の課題

  • 自社運営する会員サイトのセキュリティ維持に伴う負荷が増大
  • セキュリティ維持とサービス選択の負担増がスピーディーなビジネス展開の足かせに

移行後の効果

  • 高度なセキュリティ維持が負荷なく実現でき、安心・安全な利用環境を会員に提供
  • 最適サービスの提案で理想の環境を手間なく構築
  • セキュリティ関連業務のアウトソーシングで部署リソースをビジネス開発に集中
  • 内製化のご支援で新ビジネスがスピーディーにリリースでき、事業の成長が加速
  • CO2削減に向けた別基盤のAWS移行も検討開始
お客様企業概要

水の価値を高め続ける業界のリーダー

タッチレスをはじめ数々の蛇口一体型浄水器を提供

1961年に北九州市で創業したタカギ様は、水に付加価値を与える事業を中心に展開している企業です。日本で初めて開発した「蛇口一体型浄水器」と「園芸散水用品」のシェアは、現在もトップ。業界のリーディングカンパニーとして、顧客ニーズに応える商品を提供し続け、市場を牽引しています。

2022年度に実施した顧客満足度調査では、89%という高い数字を獲得。この要因になっている一つが、「充実したアフターサービス」です。同社では、商品を購入した顧客情報や、設置年数や修理履歴といった設備情報を自社で一元管理し、浄水器部無償交換・保証期間延長サービス・メンテナンスパックなど、他社にない魅力的なアフターサービスの提供に活用しています。

同社では、こうして築き上げた事業基盤を活かしながら、さらなる成長を目指しています。そのために、新工場建設、業務効率化につながるシステム改修、マーケティング・営業戦略の新規立案、経営の見える化といった施策を推進。加えて、「全社員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人の暮らしに快適と潤いを与え社会の発展に貢献する」という経営理念に基づき、CSRやSDGsにも積極的に取り組んでいます。


システム移行の背景

高セキュリティを維持する会員サイトを通じて、顧客との良好な関係性を構築

株式会社 タカギ マーケティング本部 マーケティング部 顧客ロイヤリティ推進課 課長 山元 亮 氏

「充実したアフターサービス」という強みを顧客に浸透させるため、同社では会員制メディアeコマースサイト「マイページ」をクラウド上に構築し、運用しています。

「マイページは180万人に及ぶ顧客との接点となり、長期に及ぶ関係性を築いてLTV(顧客生涯価値)向上に貢献しています」と語る山元亮氏は、顧客ロイヤリティ向上を目的に、ウェブサイトやアプリケーションなどを介した新サービス開発とカスタマークラブ運営を手がける、顧客ロイヤリティ推進課の課長です。


株式会社 タカギ IT推進部 ITインフラ課 運用・PC管理チーム チームリーダー 篠原 洋平 氏

お客様の情報を取り扱うため、マイページ運用においてはセキュリティ対策を最重要課題に掲げています。
「日々のセキュリティ監視によって、早期のリスク対策を実施しています」と、構築したセキュリティ体制の特長を話すのは、システム関連の環境構築と運用に携わるITインフラ課でチームリーダーを務める篠原洋平氏。「事前にインシデントを抑止することで、さらなる成長を見据えた新しいビジネスも、スピード感をもって展開できる環境を実現しています」。


移行に向けての課題

負荷なく高度なセキュリティを維持する環境を構築したい

株式会社 タカギ マーケティング本部 マーケティング部デジタルマーケティング課 課長 門脇 美和子 氏

マイページの運用にあたり、時代とともに難しさを増してきたのが、高セキュリティの担保です。「常にセキュリティの脆弱性を把握して対応していたところ、追従するための負荷が次第に高まってきたのです。そこで、できるだけ負荷を抑えたうえでの高度なセキュリティ維持を目指しました」と、篠原氏。

「高度なセキュリティ維持が負担なく実現できれば、新ビジネスもスピーディーにリリースでき、事業の成長も加速できます。こうした理想的な環境が低コストで実現できないか、2021年5月より検討を開始しました」と話すのは当時、山元氏と同じチームに所属していた門脇氏です。現在は新設されたデジタルマーケティング課の課長として、蛇口一体型浄水器を新規導入した顧客のサブスクリプション契約を促す施策立案に携わっています。

課題解決に向けて同社では、SaaSの導入をはじめ、新たなクラウドサービスの利用など、様々なプランを検討。信頼するマーケティング関連の各種アプリケーション開発を依頼している企業にも相談したところ、紹介されたのが、富士ソフトでした。

ご要望に対する富士ソフトの取り組み

AWSのベストプラクティスであるAWS Well-Architectedを最大限活用

同社のご要望を伺い、富士ソフトで今回のプロジェクトを統括した江嶋直樹は、「パブリックなウェブサイトをハイレベルなセキュリティに対応させ、スムーズに運用できるソリューションをピックアップ。その中で最もコスト優位性が高かったAWSの採用を決定し、提案の検討を進めました」と言います。

高セキュリティ環境を負荷なく維持するために開発リーダーの山口卓哉が選択したのは、脆弱性診断を自動で行うAmazon Inspectorとウェブアプリケーションを攻撃から保護するAWS WAFという2つのセキュリティサービスを組み合わせるというものでした。

「さらにもう一つポイントにあげられるのは、AWS WAFの設定・運用に関して、AWSがベストプラクティスとして推奨するAWS Well-Architected Frameworkに則った形での実施を提案したことです」(山口)。

タカギ様は当時、利用するクラウドサービスが提供するWAFの運用に際して、独自のルールを導入した例外処理を実行していました。しかしながら、その処理はAWS Well-Architected Frameworkで対応できると判断。より安全性を高めたいと考えた場合も、テスト運用で詳細を把握することで的確に対応できます。「AWS Well-Architected Frameworkを採用して進めることができれば、設定に追加作業が発生しないため、AWS環境が短期間で構築できる最適な提案になる」と、山口は考えたのです。

ワンストップソリューションも富士ソフトならではの強みとして強調

早期移行を実現する有効な手法としては、リフト&シフトも提案しました。これは2段階でクラウドネイティブを実現するというもの。第1段階のリフトでは、基本的に既存環境をそのままAWSへ移行させて運用を開始。安定稼働が実現したら、第2段階の取り組みとしてAWSに最適化するためのシフト化を実施します。

こうした数々の施策に加えて、営業担当の藤田哲朗が富士ソフトならではの強みとして強調したのが、ワンストップソリューションの提供です。「AWSに加え、その上で稼働するアプリケーションまでを含めたトータルな設計・開発・運用に対応できることで、より良いご支援ができることを提案させていただきました」。

AWS・富士ソフト選定の理由

調査してわかった富士ソフトの実績が大きな安心材料に

AWSの利用に関しては、異論はなかったと篠原氏。「AWSが世の中で最もメジャーなクラウドサービスであり、提供サービスも先進のものばかりであることは認識していました。加えて、他のクラウドサービスと比較して、低コストであることにも魅力を感じました」と、篠原氏は言います。

今回の案件がスタートする以前、富士ソフトとの取引はありませんでした。しかしながら、信頼しているアプリケーション開発会社の推薦であり、2社の連携で数多くのソリューションを提供してきた実績があること。さらに企業調査の結果、AWSパートナーの最上位である『AWSプレミアティアサービスパートナー』であることや、AWSのインフラ構築から運用保守までの実績が豊富であることなどがわかり、大きな安心材料に。「その企業がワンストップソリューションを提供してくれることで、理想の環境が早期に実現できることが期待できました」と、篠原氏は提案時に感じた想いを話してくださいました。

セキュリティ対応にとどまらない魅力に注目してパートナーに選定

富士ソフトの提案で山元氏が魅力を感じたのは、セキュリティ関連業務の協業化です。「これにより、タカギ独自のセキュリティ概念にとらわれず、最新の脆弱性情報を富士ソフトから入手し、ともに対策を投じることができること、かつ部署のリソースを新ビジネスに集中できることは、今後の事業展開に向けて大きな力になると感じました」。また、リフト&シフトにより、マイページの各種アプリケーションをそのままの操作性で移行できることは、「ユーザーファーストを掲げる私たちにとって、とても嬉しいことでした」(山元氏)。

門脇氏が評価したのは、提案時における姿勢でした。「山元や私のような事業部の人間は、システムの知識や知見は持ち合わせていません。そのことをしっかりと理解し、ITの専門用語を使わずに内容をかみ砕いてわかりやすく、理解できるまで何度も説明してくれました。このとき、開発パートナーとして一緒にチームを組んで進んでいけると確信しました」。

山元氏と門脇氏が同社の上層部に提案する書類を作成するときも、富士ソフトは誰もが知識レベルに関係なく内容を理解して魅力がわかるように制作をサポート。こうした提案と取り組みにより、開発パートナーに選んでいただくことができました。

移行プロセスと移行後の効果

問題なく順調に進んだ移行プロセスを支えたものとは

移行に関しては、ほぼ計画通りに進行しました。この要因として篠原氏があげたのは、「要件定義段階から構成や運用も含めて、課題管理が進められたことです」。要件定義に関して富士ソフトでは、SIerとして蓄積したノウハウに基づいて必要な機能や要求を明確に把握するためのフォーマットを確立しています。この活用により、短い時間で内容を正確に把握することができました。さらに定義内容の充実に取り組めたのは、篠原氏をはじめとするIT推進部の方々から寄せられた詳細なご指摘やご提案です。その内容をフィードバックすることで、細部まで具体化できたのです。

そしてもう一つ、順調な移行を実現する要因になったのが、IT推進部で作成された役割分担表です。この内容にヌケ・モレがなかったことから、プロジェクトに関連するすべての組織が各工程で的確に行動でき、開発全体がスムーズに進行できました。

高度なセキュリティ維持により、新たなビジネス戦略もスタート

こうして2023年3月21日、AWSに移行したシステムで、マイページが本格運用を開始しました。「切り替えもスムーズで、その後も問題なく稼働しています」と、門脇氏。発生した脆弱性に対しては、富士ソフトが保守サポートの一環として対応。危険性の排除に向けて、AWS Well-Architected Frameworkの効力も十分に確認できました。「これにより、お客様に安心・安全な環境を提供できています。さらに、次を見越した的確な提案によって一歩進んだセキュリティ対応が実施できており、富士ソフトには心底から感謝しています」(山元氏)。

この状況を受けて、新しいビジネス戦略もスタートしました。スマートフォン向けの「マイページアプリ」がリリースされたのです。スマートフォンアプリの開発は、幾度となく検討されたものの、着手の許可は下りませんでした。その開発にGOサインが出たのは、AWS移行で高度なセキュリティ維持が実現できたからです。マイページアプリにより、サイトへのアクセス流入は桁違い増えたものの、依然として安全で安定した運用が実現しています。

システム構成図

AWS移行の成果を受けて

CO2削減量が可視化できる『TCO可視化サービス』に注目

同社では2024年6月、本社工場の移転を計画しています。これに伴って問題になったのが、オンプレミスで運用している情報系共通基盤の移転先です。今回のマイページ移行により、AWSのセキュリティと安定性が確認でき、知見も獲得できたことから、同社では一部の情報系共通基盤についてもAWSへの移行を検討しています。

検討を進めるにあたり、AWSクラウドエコノミクスを活用した「TCO可視化サービス」を知った篠原氏は、富士ソフトに相談し、実施しました。「TCO可視化サービス」に注目したのは、オンプレミス環境からAWSへ移行することで削減できるITインフラコストはもちろん、CO2の削減想定量まで見える化できることです。特にCO2が6年間で200t/㎡削減が見込まれると数値化されており、当社が推進するSDGsへの貢献度も明確になることから、AWSへの移行を検討する1つの材料となりました」。

提示された数値をもとに同社では、情報系共通基盤のAWS移行に向けた議論が活発に交わされています。

今後の展望

AWSに最適な環境を実現するシフト化を推進

マイページに関しては、安定稼働が実現したことから、AWSへの最適化を目指したシフト化に着手していきます。まずは、コンテナ化やマイクロサービスの実施によって、よりスピーディーな開発環境を整備。CI/CDツールの導入による自動化などにより、業務の効率化も図っていきます。また、スペックの傾向やデータ活用のトレンドもわかってきたことから、データの最適配置なども行い、コスト最適化も進めていきます。「事業部では、実施したい施策が山積み状態です。そのスムーズな実施で、私たちの新たな成長を支援してほしいと思っています」と、門脇氏。

篠原氏が期待するのは、的確な提案です。AWSでは、次々に新しいサービスが登場することから、どのサービスを選び、どのように組み合わせれば要望が実現できるのか。「AWSの最適な活用方法はもちろん、より幅広いトータルな視点からの提案に期待しています」。

情報系共通基盤の移行に関しては、PoCの結果も評価できるものだったことから、2024年の移行に向けた検討が進んでいます。

アプリケーション開発にも取り組み、様々な要望に対応できる体制を確立

そしてもう一つ、大きな取り組みが始まろうとしています。同社では、2030年までに現在の顧客数180万人を500万人に伸ばすことを中期経営計画の目標に掲げています。この目標を達成するために計画されているのが、新たなリレーションシップ構築に貢献するアプリケーションの開発です。「このプロジェクトにぜひ、富士ソフトにも参画してもらいたいと考えています」(山元氏)。

アプリケーション開発に取り組むことができれば、富士ソフトは同社の業務理解が進み、有意義な知見が獲得できます。これにより、インフラとアプリケーションの両方を捉えたトータルな視点から、今まで以上に事業部が目指すスピーディーな新規ビジネス展開も、IT部門が推進する内製化も強力に支援することができます。富士ソフトでは、この絶好のチャンスを確実に活かし、同社から寄せられる様々な要望に対して的確に応えられるよう、江嶋を中心としてより充実した体制づくりを目標に、対応を進めています。

今回取材に応じてくださった方

株式会社 タカギ

マーケティング本部 マーケティング部
顧客ロイヤリティ推進課 課長
山元 亮 氏 (左から2番目)

マーケティング本部 マーケティング部
デジタルマーケティング課 課長
門脇 美和子 氏 (左から3番目)

IT推進部 ITインフラ課
運用・PC管理チーム チームリーダー
篠原 洋平 氏 (左)

富士ソフト株式会社

エリア事業本部 九州支社
第1システム部 部長
江嶋 直樹 (右から3番目)

エリア事業本部九州支社
第1システム部 第1技術グループ リーダー
山口 卓哉 (右から2番目)

エリア事業本部 九州支社
九州営業部 第2営業グループ リーダー
藤田 哲朗 (右)

導入サービス

株式会社 タカギ

株式会社 タカギ

  • 所在地:
    本社/福岡県北九州市小倉南区石田南2-4-1
    北九州オフィス/北九州市小倉北区京町3-1-1 セントシティ9階
  • 代表者:
    代表取締役社長 髙城いづみ
  • 事業内容:
    家庭用園芸用品、家庭用浄水器、省エネ商品の開発、製造、販売・プラスチック射出成形加工・金型事業
  • 従業員数:
    男性699名、女性750名 計1449名
  • オフィシャルサイト:
    https://www.takagi.co.jp/

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