中央省庁
「国家資格試験インターネット受付システム」を
ガバメントクラウドに移行してモダン化を実現
「国家資格試験インターネット
受付システム」を
バメントクラウドに移行して
モダン化を実現
2段階リリース方式を採用したプロジェクトで
約4カ月半での短期間かつ確実なサービスインを実現
2段階リリース方式を採用したプロジェクトで約4か月半での短期間かつ確実なサービスインを実現
プロジェクト概要
中央省庁のお客様では、2016年8月よりWeb 画面から各試験の申し込みと願書提出を可能とする「国家資格試験インターネット受付システム」を提供しています。
しかし、民間のクラウド事業者が提供するIaaS(Infrastructure as a Service)上で運用してきた同システムで使用していたOS(Red Hat® Enterprise Linux® 7)は、2024年にサポート終了を控えていました。
そこで本プロジェクトでは、デジタル庁が打ち出した「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」に沿う形で、システムをガバメントクラウド上で再構築(Rebuild)することを決定しました。
課題
お客様は2024年12月の国家資格試験実施に向けて、新システムのサービスインを7月末に設定しました。この案件を同年3月に受託した富士ソフトは、サービスインまでの約4カ月半の時間を最大限に生かすべくプロジェクトの基本計画を立案しました。
現行IaaS環境における運用を同年5月末に停止することを予定していたため、事前にしっかり現行設計書と現行環境の整合性や、現行システムの操作方法などの確認を完了しておくことに留意しました。
プロジェクト推進のポイント
デジタル庁による「ガバメントクラウド概要解説(全編)」に示されたガバメントクラウドの移行形態に基づいて分類すると、今回のプロジェクトは「Rebuild(アプリケーション再構築移行)」です。すなわち単なるクラウド移行だけではなく、システムのモダン化が求められました。
前述したタイトなスケジュールに対応しつつ、この要件を満たした新システムの確実なサービスインを実現するため、お客様と協議したうえで富士ソフトは2段階による開発およびリリースに臨みました。
第1段階では、2024年7月末のサービスインで必須となる機能を優先的に開発することで、短期間での確実なリリースを目指しました。国家資格試験の申し込み(出願)に際して必要とされる機能が主な対象です。
続く10月末までの第2段階では、国家資格試験の受験時に必要となる受験票や写真などのダウンロード系の機能をリリースしました。
システム概要
新たな「国家資格試験インターネット受付システム」は、ガバメントクラウドに移行するとともに、クラウドネイティブの特徴を生かしたシステムのモダン化を実施しています。
ガバメントクラウドを利用する際の大きなメリットとして、デジタル庁より展開されている、管理機能がすでに実装されたテンプレートを活用できるという点があります。
特に今回のような短期プロジェクトでの効果は非常に大きく、実際にテンプレートを多様な場面で適用することで、工期の短縮やセキュリティ品質の担保といった要件を効率よく満たすことができました。
システムのモダン化の観点では、アマゾン ウェブ サービス(以下「AWS」という)上で提供されている各種マネージドサービスを積極的に取り入れることで、アプリケーションやミドルウェアの脆弱性の発見・監視・対応を含めた運用負荷を軽減しています。
加えてAWSのコンテナ技術(アプリケーション実行に必要な環境をパッケージ化した仮想化基盤)を活用することで、OSの管理を不要にするとともに、負荷状況の変化に応じたロードバランシング(負荷分散)やオートスケーリング(リソースの自動拡張)も可能としました。
導入効果
-
1. システムのモダン化
AWSのマネージドサービスを活用することで、今後のミドルウェアのEOS(サポート終了)対応を不要としました。
また、デジタル庁が推奨する「Figma」(ブラウザ上で共同編集できるデザインプラットフォーム)を活用し、デザインシステムのコンセプトに基づいたユーザーインターフェース設計を実施したことも、重要なポイントです。
初期のデザインを決める段階から完成形に近いイメージをFigmaで作成することで、相互の認識のズレを防ぐことができました。
さらにFigmaで作成したデザインは、「AWS Amplify Studio」(Webおよびモバイルアプリを構築するためのビジュアル開発環境)を介してReact(ユーザーインターフェース開発に用いられるJavaScriptライブラリ)コードを自動生成することが可能で、そのまま開発資産として生かすことができます。
-
2. ランニングコストの削減
AWSのマネージドサービスを全面的に活用することで、インフラの運用管理に費やすコストを、お客様が設定した目標レベルまで低減することができました。
今後の取り組みとしてマイクロサービス化が実現した暁には、各サービスの独立性がさらに高まり、仕様変更や機能拡張などのご要望にもより柔軟に対応可能となります。
-
3. 可用性の向上
コンテナ化されたアプリケーションは、AWSの高い可用性と耐障害性を備えた論理的なデータセンターであるアベイラビリティゾーン(以下「AZ」という)を複数連携させることで冗長化されており、自動的なロードバランシングを行いつつ、高度な可用性と業務継続性を確保します。
同様にAWSのリレーショナルデータベース(RDB)サービスであるAmazon Auroraを用いたデータ基盤も複数のAZで構成されており、万一メインのAZに障害が発生した際には、他方のAZ上のデータベースに対して自動的にプライマリへの昇格を行うことで、業務への影響を最小限に抑えます。
Red Hat、Red Hat Enterprise Linuxは、米国およびその他の国において登録されたRed Hat, Inc.の商標です。
Linux® は、米国およびその他の国における Linus Torvalds 氏の登録商標です。
JavaScriptは、Oracle Corporation およびその子会社、関連会社の米国およびその他の国における登録商標です。
当ウェブサイトに表示・記載されている当社または各社の会社名・サービス名・商品名等は、当社または各社の商号、商標または登録商標です。