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コラム

COLUMN.11ERP連携で業務効率化するには?成功のポイントと事例を紹介

ERP連携で業務効率化するには?成功のポイントと事例を紹介

企業の成長と競争力強化において、ERP連携による業務効率化は避けられない課題となっています。多くの企業では、会計システム、生産管理システム、在庫管理システムなどの基幹システムが個別に運用されており、データの重複入力や手作業による転記作業が発生しています。しかし、適切なERP連携により、リアルタイムでの情報共有、作業時間の短縮、ヒューマンエラーの削減などの効果が期待できます。
本記事では、ERP連携の基本的な仕組みから具体的な導入手順まで、業務効率化を成功させるためのポイントを詳しく解説します。情報システム担当者や業務改善を検討している方には、ぜひ本記事を参考にしてください。

Writer Profile

阿部良平

富士ソフト株式会社
ソリューション事業本部 営業統括部
ソリューション営業部 第4営業グループ

2014年 富士ソフト株式会社入社。お客様付きのアカウント営業として活動したのち、2024年よりintra-martのソリューション営業担当としてお客様へご提案を実施。

ERP連携とは?知っておくべき基礎知識

ERP連携は、企業の基幹業務システム同士を統合し、業務の効率化や生産性向上を支援するシステムのことです。従来の個別システム運用では実現できない、包括的な業務管理が可能になります。

ERP連携の仕組みとデータフロー

ERP連携では、各業務システムで発生するデータが自動的に連携先システムに反映されます。例えば、受注データが自動的に生産管理システムと在庫管理システムに連携され、製造指示や在庫引き当てが同時に実行されます。
データ連携の方法には、API連携、データベース直接連携などがあります。リアルタイム連携では即座にデータが反映され、バッチ連携では定期的にまとめてデータ処理を行います。

業務効率化の具体的なメリット

ERP連携による業務効率化の効果は、定量的に測定できる形で現れます。人的ミスの削減効果も顕著で、転記ミスや計算間違いなどのヒューマンエラーを大幅に減少させることができます。これにより、修正作業に要する時間とコストの削減も実現できます。
情報の可視化により、経営判断に必要なデータをリアルタイムで取得できるようになります。在庫状況、売上動向、生産進捗などの情報が統合されたダッシュボードで確認することができます。

ERP連携で実現できる自動化領域

ERP連携により自動化できる業務領域は多岐にわたります。受注から出荷までの一連の流れを自動化することで、業務スピードの向上と品質の安定化を図れます。主な自動化領域を整理すると、次のようになります。

業務領域 自動化内容
受発注業務 受注データの自動取り込み・発注処理
在庫管理 在庫レベル自動監視・発注点管理
会計処理 売上・仕入データ自動計上
生産管理 製造指示書自動生成・進捗管理

システム別のERP連携パターン

ERP連携は、企業が運用する各種システムの特性に応じて、異なるアプローチが必要になります。それぞれのシステムが持つデータ形式や更新頻度を考慮した連携方法の選択が重要です。

基幹システムとの連携

基幹システム連携では、データの整合性とリアルタイム性のバランスを取ることが重要です。会計システム、販売管理システム、購買管理システムなどの連携において、マスターデータの統一が前提となります。
システム間でのデータ形式の統一により、変換処理のオーバーヘッドを最小限に抑えることができます。商品コード、取引先コード、部門コードなどの基本情報を標準化する必要があります。
連携頻度は業務要件に応じて調整します。財務データは月次更新で十分な場合もあれば、在庫データは時間単位でのリアルタイム連携が必要な場合もあります。

生産管理システムとの連携

生産管理システムとのERP連携により、製造現場の可視化と最適化が実現されます。受注情報から自動的に製造指示が生成され、部品調達から完成品出荷までの工程管理が統合されます。
工程進捗のリアルタイム把握により、納期遅延の早期発見と対策立案が可能になります。また、設備稼働率や人員配置の最適化にも寄与します。
品質管理データとの連携により、不良品の早期発見と原因分析の迅速化も実現できます。トレーサビリティの確保により、製品回収が必要な場合の範囲特定も効率化されます。

会計システムとの連携

会計システム連携では、売上計上、仕入計上、経費処理などの会計仕訳を自動生成できます。手作業による計上作業が不要になり、経理担当者の負担軽減と処理精度の向上を同時に実現します。具体的な連携データと自動化される処理は以下の通りです。

連携データ 自動化される処理
売上データ 売掛金計上・消費税計算
仕入データ 買掛金計上・支払処理
給与データ 人件費配賦・社会保険料計上

月次決算の早期化により、経営判断に必要な財務情報の提供スピードが向上します。予算実績対比や部門別損益の分析も自動化され、管理会計の高度化が図れます。

ERP連携を成功させる導入ステップ

ERP連携の成功には、計画的な導入手順と適切なプロジェクト管理が不可欠です。現状分析から運用定着まで、段階的に進めることでリスクを最小限に抑えながら効果を最大化できます。

現状分析と要件定義のポイント

導入前の現状分析では、既存システムの棚卸しとデータフローの可視化を行います。どのシステムでどのようなデータが管理され、どのような手作業が発生しているかを詳細に把握することが重要です。
業務プロセスの分析により、非効率な作業や重複処理を特定し、連携により解決すべき課題を明確化しましょう。この段階で、連携の優先順位と期待効果を定量的に評価しておくことが必要です。
要件定義では、機能要件と非機能要件を明確に分けて整理します。データ連携の頻度、処理性能、セキュリティ要件などを具体的に定義し、後工程での認識の齟齬を防ぎます。

段階的導入によるリスク軽減

ERP連携は一度にすべてのシステムを連携するのではなく、段階的に導入することが推奨されます。まず、影響範囲が限定的で効果の見込める領域から開始し、成功体験を積み重ねましょう。
第一段階では、データ連携のみを行い、既存の業務フローは維持します。第二段階で業務プロセスの変更を伴う連携を導入し、第三段階で包括的なシステム統合を実現する流れが一般的です。
各段階での効果測定を行い、次の段階への改善点を明確化することで、継続的な最適化が可能になります。利用者からのフィードバックを収集することで、運用面での課題も早期に解決できます。

運用体制の構築と定着化

ERP連携の運用には、技術面とビジネス面の両方の知識を持つ人材が必要です。システム管理者、業務責任者、エンドユーザーの役割分担を明確化し、運用体制を構築します。
定期的な運用レビューにより、連携処理の状況監視とパフォーマンス分析を行います。エラー発生時の対応手順を事前に整備し、業務継続性を確保することも重要です。主な運用タスクとその頻度、担当者を整理すると次のようになります。

運用タスク 実施頻度 担当者
連携処理監視 日次 システム管理者
データ整合性チェック 週次 業務責任者
パフォーマンス分析 月次 IT部門
利用者研修 四半期 人事・IT部門

継続的な改善活動により、連携効率のさらなる向上を図りましょう。新システムの導入や業務変更に合わせて、連携仕様の見直しも定期的に実施するとより効果的です。

ERP連携を導入する際の注意点

ERP連携の導入には様々な技術的・運用的な課題が伴います。事前にリスクを把握し、適切な対策を講じることで、導入の成功率を高めることができます。

よくある導入失敗パターン

ERP連携でよく見られる失敗パターンとして、現場の業務フローを十分に理解しないまま連携仕様を決定してしまうケースがあります。システム上では連携できても、実際の業務では使いにくい仕組みになってしまう場合があります。
データ品質の確保を軽視することも、導入後の大きなトラブル要因となります。具体的には、マスターデータの不整合や重複により、連携処理が正常に動作しない場合があります。
性能要件の検討不足により、連携処理に予想以上の時間がかかり、業務に支障をきたすケースも報告されています。特に大量データの一括処理では、事前の性能テストが不可欠です。

データ整合性とセキュリティ対策

システム間でのデータ連携において、データの整合性確保は最も重要な課題です。連携処理の途中でシステム障害が発生した場合の復旧手順を事前に定めておく必要があります。
データの暗号化、アクセス制御、監査ログの取得などのセキュリティ対策も欠かせません。特に機密性の高い財務データや個人情報を扱う場合には、厳格な管理が求められます。
定期的なデータ整合性チェックにより、連携データの正確性を継続的に確認することが重要です。差分データの検出と修正プロセスを自動化することで、運用負荷の軽減も図れます。

ERP連携を成功させるポイントとは?

ERP連携を成功に導くためには、技術的な側面だけでなく、組織運営や人材育成の観点も重要になります。また、デジタル化の進展に伴い、ERP連携の手法も進化し続けています。

組織的な取り組みと人材育成

ERP連携の成功には、経営層のコミットメントと現場の理解・協力が不可欠です。プロジェクトの意義と期待効果を全社で共有し、変革に対する意識を統一することが重要です。
利用者への十分な教育訓練により、新しいシステムへの適応を支援することが定着化の鍵となります。操作方法だけでなく、業務プロセスの変更点も含めた研修を実施する必要があります。
社内での知識共有とスキル向上を図るため、コミュニティの形成や定期的な勉強会の開催も効果的です。先進的な取り組みを行っている部門の事例を共有することで、社内全体で改善への意識を高めることができます。

クラウドERP活用による拡張性向上

クラウドERP環境では、従来のオンプレミス環境では実現困難だった柔軟な連携が可能になります。クラウド型であれば、アップデートやセキュリティパッチの適用も自動化され、システム管理の負担軽減も図れます。
AI機能との連携により、データ分析の高度化や予測精度の向上も期待できます。需要予測、在庫最適化、品質管理などの分野で、機械学習を活用した自動化が進んでいます。

ERP連携によって変革を促進した事例

ERP連携の導入を通じて、業務のデジタル化と自動化を進めた企業も多くあります。ある企業では、基幹システムのアーキテクチャが古く、最新のOSやブラウザに対応していないことや、モバイル対応ができないなどの課題がありました。これを解決するために、経営判断に必要なデータがタイムリーかつ高精度で提供され、営業からプロジェクト完了までのビジネスプロセスがシステム化できるERPシステムを導入しました。
導入後、営業プロセスのシステム化に成功し、実行プロセスがシステムと連携することで、入力作業負荷が削減され、データ精度も向上しました。情報をシームレスに管理・可視化できるようになり、スマートデバイスにも対応することで、社内外での情報共有が容易になりました。
さらに、システムの維持管理作業が減少したことにより、システム運用にかかる人件費を約3割削減することに成功しました。これにより、業務の効率化が進み、経営者意識の醸成にも寄与しました。ERP連携によって、業務のスピードアップ、意思決定の迅速化、そしてコスト削減を実現した結果、企業全体の競争力を強化することができました。

まとめ

ERP連携による業務効率化は、企業の競争力強化において重要な取り組みです。適切な連携により、データの一元管理、業務プロセスの自動化、意思決定の迅速化が実現できます。成功のポイントは、現状分析に基づく要件定義、段階的な導入アプローチ、継続的な運用改善があります。
今後はクラウドERP、AI、IoTなどの新技術を活用した、より高度な連携が期待されます。長期的な視点でシステム戦略を策定し、変化に対応できる柔軟な基盤を構築することが重要です。


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