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コラム

COLUMN.13ワークフローシステム導入の効果は?選び方と運用ポイント

ワークフローシステム導入の効果は?選び方と運用ポイント

ワークフローシステムの導入は、企業の業務効率化とペーパーレス化を実現する重要な取り組みです。申請・承認業務の非効率性や紙ベース運用によるミスやコスト増、テレワーク対応に関する課題を解決し、内部統制の強化につなげることができます。
しかし、どのようなワークフローシステムを選び、どのように運用すれば最大の効果を得られるのか分からない企業も多いでしょう。本記事では、ワークフローシステム導入の具体的な効果と自社に最適なシステムの選び方、成功につなげる運用ポイントまで、情報システム担当者が知っておくべき内容を解説します。

Writer Profile

阿部良平

富士ソフト株式会社
ソリューション事業本部 営業統括部
ソリューション営業部 第4営業グループ

2014年 富士ソフト株式会社入社。お客様付きのアカウント営業として活動したのち、2024年よりintra-martのソリューション営業担当としてお客様へご提案を実施。

ワークフローシステム導入で得られる効果

ワークフローシステムの導入により、企業は大きな効果を実現できます。業務効率化から内部統制の強化まで、システム化による変革は想像以上に広範囲に及びます。

業務効率化による時間短縮効果

ワークフローシステム導入により、申請・承認業務の処理時間を大幅に短縮することが可能です。従来の紙ベース運用では、申請書類の印刷、押印、回覧、保管といった物理的な作業が必要でしたが、システム化によってこれらの作業が不要になります。
承認フローの自動化により、承認者への通知が即座に行われ、決裁までの時間が短縮されます。また、申請者は申請状況をリアルタイムで確認でき、承認待ちの不安を解消できます。モバイル対応により、外出先でも承認作業が可能になり、さらなる時間短縮効果が期待できます。

ペーパーレス化によるコスト削減

紙の使用量削減は、ワークフローシステム導入による効果の一つです。申請書類の印刷コスト、用紙代、トナー代などの直接コストだけでなく、書類の保管場所の確保などの間接コストも削減されます。
電子化により書類の検索性が向上し、過去の申請内容を素早く確認できるようになります。これにより、類似案件への対応時間の短縮や、監査対応の効率化も実現できます。

ヒューマンエラーの低減と品質向上

手作業による入力ミスや書類の紛失リスクを大幅に軽減できます。システムによる入力チェック機能により、必須項目の入力漏れや数値の範囲チェックが自動化され、申請品質の向上につながります。
承認ルートの自動設定により、承認者の指定ミスや承認順序の間違いも防止できます。履歴管理機能により、誰がいつ何を行ったかが明確に記録され、責任の所在が明確になります。

ワークフローシステムの選定ポイント

自社に最適なワークフローシステムを選定するためには、複数の観点から比較検討することが重要です。機能面だけでなく、運用面やサポート体制まで総合的に評価する必要があります。

業務要件との適合性評価

まず、現状業務分析を実施し、自社の承認フローの特徴を明確にします。部門ごとの承認ルートの違い、金額による承認者の変更、代理承認の頻度など、詳細な要件を整理することが重要です。
システムが自社の複雑な業務フローに対応できるかを、トライアル活用により事前に確認することをお勧めします。標準機能だけでは対応できない場合のカスタマイズ性も重要な選定基準になります。以下の項目を参考に、適切なシステムを選定しましょう。

評価項目 確認ポイント
承認ルート設定 複雑な条件分岐への対応
申請フォーム 項目のカスタマイズ性
外部システム連携 既存システムとの連携可能性
レポート機能 分析に必要なデータ出力

システム基盤と拡張性の検討

クラウド型ワークフローとオンプレミス型の特性を理解し、自社のIT戦略に合致する選択をすることが重要です。クラウド型は導入コストを抑えられ、保守運用の負担も軽減されますが、セキュリティ要件が厳しい企業では慎重な検討が必要です。
将来的な機能拡張やユーザー数の増加に対応できるスケーラビリティも重要な選定要素です。API連携により他システムとの連携を図れるかも確認しておきましょう。

セキュリティ対策と運用支援体制

企業の機密情報を扱うワークフローシステムでは、セキュリティ対策の充実度が選定の重要なポイントになります。データの暗号化、アクセス制御、ログ管理などの基本機能に加え、定期的なセキュリティアップデートの提供体制も確認が必要です。
ベンダーのサポート体制も長期運用を考える上で重要な要素です。導入支援だけでなく、運用開始後の問い合わせ対応や機能改善への要望受付体制も評価対象に含めましょう。

他システムとの連携による業務全体の最適化

ワークフローシステム単体の導入でも大きな効果は得られますが、会計システムや人事システム、CRM(顧客管理システム)など他の基幹システムと連携させることで、より広範囲な業務効率化を実現できます。例えば、経費申請データを会計システムに自動反映させることで、経理部門での二重入力が不要になり、仕訳処理や月次決算のスピードが向上します。また、人事システムと連携することで、組織改編や人事異動があった際に承認ルートを自動で更新でき、承認者の指定ミスを防ぐことが可能です。
さらに、クラウドストレージや電子契約システムと接続すれば、契約関連業務の一元管理も実現できます。契約書の作成から承認、締結後の保管までの一連の流れをワークフローに組み込むことで、法務部門と営業部門の連携がスムーズになり、契約締結スピードの向上に直結します。

利用者視点でのユーザビリティ向上

導入を成功させる上で見落とされがちなのが「利用者にとっての使いやすさ」です。システムの操作が煩雑であれば、利用者は従来の紙運用を好み、導入効果が半減してしまいます。そのため、シンプルで直感的に操作できるUI/UXが備わっているかを確認することは非常に重要です。特にスマートフォンやタブレットからの操作が前提となる現代では、モバイルでの入力補助機能や承認操作のしやすさが導入定着の鍵を握ります。
また、多言語対応やアクセシビリティへの配慮も無視できません。海外拠点を持つ企業では、英語や中国語など複数言語に対応しているシステムを選ぶことで、現地従業員にもスムーズに浸透させることができます。加えて、高齢社員やITリテラシーに不安を抱える社員でも利用できるよう、入力補助やヘルプガイドの充実も重要な評価ポイントになります。

ガバナンスとコンプライアンス強化の視点

内部統制やコンプライアンス強化の観点からも、ワークフローシステムは大きな役割を果たします。承認履歴の自動記録は、不正防止や監査対応において有効です。例えば、稟議の改ざんや不適切な承認が行われていないかを、システムログで遡及的に確認できます。これにより、内部監査や外部監査の際に求められる証跡を迅速に提示でき、監査対応にかかる時間とコストを削減できます。
さらに、コンプライアンスに関連するルールをシステムに組み込むことで、従業員が意図せず規定違反を犯すリスクを抑制できます。例えば、一定金額以上の支出は必ず複数人の承認を経なければならない、特定の取引先とは契約前に法務承認が必要といったルールを自動化することで、ヒューマンエラーやルール逸脱を未然に防ぐことが可能です。

導入成功のための運用ポイント

ワークフローシステムの導入効果を最大化するためには、適切な運用ルールの策定と段階的な展開が不可欠です。利用者の理解と協力を得ながら、継続的な改善を行うことが重要です。

段階的導入によるアプローチ

全社一斉導入ではなく、特定の部門や業務から開始し、成功事例を作りながら徐々に適用範囲を拡大することが効果的です。まず、シンプルな承認フローから始め、システムに慣れた後で複雑な業務に展開していきます。
パイロット導入期間中に収集したフィードバックを基に、運用ルールの見直しや設定の最適化を実施します。利用者からの意見を積極的に取り入れることで、システムの受け入れ率を向上させることができます。下記は、段階的導入の各フェーズを示した表です。

導入フェーズ 対象業務の例 期間
第1段階 経費申請・有給申請 1〜2ヶ月
第2段階 稟議・購買申請 2〜3ヶ月
第3段階 契約承認・人事関連 3〜4ヶ月

利用者教育と継続的サポート

システムの機能を十分に活用するため、利用者向けの研修プログラムを計画的に実施します。操作方法だけでなく、新しい業務プロセスの理解促進も重要です。
スマートフォン対応機能がある場合は、モバイルアプリの使用方法も併せて教育し、外出先での承認業務を促進します。定期的なフォローアップ研修により、利用者のスキル向上と運用の定着を図ります。

運用データ分析と改善活動

システムから得られるデータを活用し、業務効率化の効果測定を継続的に実施します。申請から承認までの平均処理時間、承認者別の処理状況、申請内容の傾向分析など、様々な角度からデータを分析します。
定量的なデータに基づく改善提案により、さらなる業務効率化を実現できます。ボトルネックとなっている承認プロセスの特定や、承認ルートの最適化により、継続的な改善を図ることが可能です。

費用対効果の算出と評価方法

ワークフローシステム導入の投資対効果を適切に評価するためには、定量的な効果測定と継続的なモニタリングが重要です。コスト削減効果と業務効率化効果を数値化し、経営層への報告資料として活用できる形で整理します。

コスト削減効果の具体的算出

ペーパーレス化による直接的なコスト削減効果は比較的計算しやすい項目です。用紙代、印刷費、トナー代、郵送費、保管場所の賃料などを年間ベースで算出し、導入前後の比較を行います。
人件費の削減効果については、申請・承認業務にかかる時間の短縮効果を時間単価で換算します。申請者、承認者、事務処理担当者それぞれの作業時間削減を合計することで、総合的な効果を算出できます。

業務効率化効果の測定指標

業務処理時間の短縮効果は、申請から最終承認までのリードタイムで測定します。導入前の平均処理時間と導入後の処理時間を比較し、短縮率を算出します。緊急案件への対応時間も重要な指標となります。
エラー率の改善効果も定量化できる重要な指標です。申請内容の不備による差し戻し回数、承認ミスの発生件数、書類紛失の件数などを月次で集計し、改善効果を可視化します。

ROI計算と継続的評価

投資回収期間(ROI)の計算により、導入効果を経営指標として評価します。システム導入費用、ライセンス費用、運用費用の合計を分母とし、年間のコスト削減効果を分子として計算します。
3年から5年の中長期的な視点でROI評価を行い、投資対効果を継続的にモニタリングすることが重要です。四半期ごとの効果測定により、必要に応じて運用方法の見直しを実施します。

まとめ

ワークフローシステムの導入は、業務効率化とコスト削減の両面で大きな効果をもたらします。申請・承認業務の時間短縮、ペーパーレス化によるコスト削減、ヒューマンエラーの低減など、多方面にわたる改善効果が期待できます。
自社の業務要件に適合したシステム選定と段階的な導入アプローチが特に重要です。利用者教育と継続的な改善活動により、システムの効果を最大化することが可能になります。
費用対効果の適切な測定により、投資効果を可視化し、経営層への説明責任を果たすことも重要です。定量的なデータに基づく継続的な改善により、さらなる業務効率化を実現できるでしょう。


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