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コラム

COLUMN.17生成AIで実現する業務システムの内製化|ローコードツール活用のメリットを解説

生成AIで実現する業務システムの内製化|ローコードツール活用のメリットを解説

企業の情報システム部門では、業務システムの開発や改修において、外部ベンダーへの依存度が高く、コストや納期の面で課題を抱えているケースが少なくありません。近年、生成AIとローコードツールの組み合わせによって、システム開発の内製化を実現する動きが注目されています。PaaS(Platform as a Service)をはじめとするクラウドサービスの進化により、プログラミングの専門知識がなくても業務システムを構築できる環境が整いつつあります。
本記事では、PaaSの基本概念から、生成AIを活用したローコード開発のメリット、実践的な活用方法まで詳しく解説します。

Writer Profile

阿部 良平

富士ソフト株式会社
ソリューションビジネスユニット
ソリューション事業本部 営業統括部
ソリューション営業部 第4営業グループ 主任

2014年 富士ソフト株式会社入社。お客様付きのアカウント営業として活動したのち、2024年よりintra-mart専任営業として関連ソリューションの提案を行っている。

 著者 阿部 良平  

PaaSとは何か

PaaSは、アプリケーション開発に必要な基盤をクラウド上で提供するサービス形態です。企業の情報システム部門にとって、システム開発の効率化とコスト削減を実現する選択肢として注目されています。
従来のシステム開発では、サーバーやネットワーク機器の調達、OSやミドルウェアのインストール、セキュリティ設定など、多くの準備作業が必要でした。PaaSを利用することで、これらの基盤部分が既に整備された状態で提供されるため、開発者はアプリケーションの開発に集中できます。

PaaSの基本的な仕組み

PaaSは、IaaS(Infrastructure as a Service)とSaaS(Software as a Service)の中間に位置するクラウドサービスです。インフラ層の管理はサービス提供者が担当し、利用者はアプリケーション開発とデータ管理に専念できる環境が用意されています。
開発環境、実行環境、データベース、認証機能などが統合されたプラットフォームとして提供されるため、システム構築の時間を大幅に短縮できます。サーバーの保守やOSのアップデート、セキュリティパッチの適用なども、基本的にはサービス提供者側で実施されます。
利用者は、Webブラウザや専用ツールを通じてプラットフォームにアクセスし、アプリケーションの開発やデプロイを行います。必要に応じてリソースの増減も柔軟に対応できる点が特徴です。

IaaSやSaaSとの違い

クラウドサービスは、提供される機能の範囲によって複数の形態に分類されます。それぞれの違いを理解することで、自社の状況に適したサービスを選択できます。
IaaSは、仮想サーバーやストレージ、ネットワークといったインフラリソースを提供します。OSやミドルウェアのインストール、アプリケーションの構築はすべて利用者が行う必要があり、柔軟性が高い一方で管理負荷も大きくなります。
SaaSは、完成したアプリケーションをクラウド上で提供するサービスです。メールシステムや顧客管理システムなど、すぐに利用できる状態で提供されるため、導入は容易ですがカスタマイズの自由度は限定されます。

サービス形態 提供される範囲 利用者の管理対象
IaaS インフラ(サーバー、ストレージ、ネットワーク) OS、ミドルウェア、アプリケーション、データ
PaaS インフラ、OS、ミドルウェア、開発環境 アプリケーション、データ
SaaS インフラ、OS、ミドルウェア、アプリケーション データ、設定

PaaSを活用する場面

情報システム部門では、さまざまな場面でPaaSの活用が検討できます。新規システムの開発だけでなく、既存システムの移行や統合においても有効な選択肢となります。
業務アプリケーションの開発では、ワークフロー管理システムや申請承認システム、在庫管理システムなど、部門固有のニーズに対応したシステムを短期間で構築できます。外部ベンダーに依頼すると数ヶ月かかる開発も、PaaSとローコードツールの組み合わせによって数週間で実現できる可能性があります。
データ連携基盤の構築においても、複数のシステムやデータベースを統合する際にPaaSが活用されています。API連携やデータ変換の機能が標準で用意されているため、システム間の連携をスムーズに実現できます。

生成AIとローコード開発の関係

生成AIの技術進化により、プログラミング知識が限られた担当者でもシステム開発に参加できる環境が整いつつあります。ローコード開発ツールと生成AIの組み合わせは、業務システムの内製化を加速させる重要な要素となっています。

ローコード開発の基本

ローコード開発とは、視覚的なインターフェースを使用して、最小限のプログラミングでアプリケーションを構築する手法です。部品を組み合わせる感覚でシステムを構築できるため、開発の専門知識が限定的な担当者でも参加しやすくなります。
プラットフォームには、あらかじめ用意されたUIコンポーネント、データベーステーブル、認証機能、外部連携機能などが含まれています。これらを組み合わせることで、一般的な業務アプリケーションに必要な機能の大部分を実装できます。
ただし、複雑なビジネスロジックや特殊な要件については、従来どおりプログラミングが必要になる場合もあります。ローコードとプロコード(従来のプログラミング)を適切に使い分けることが重要です。

生成AIの活用方法

生成AIは、自然言語での指示を受けて、プログラムコードやデータベース設計、画面レイアウトなどを自動生成することができます。情報システム部門では、開発工数の削減と品質向上の両面で活用が期待されています。
要件定義書や仕様書の内容を入力することで、実装に必要なコードのひな形を生成できます。生成されたコードをベースに、細かい調整や機能追加を行うことで、開発時間を大幅に短縮できます。
データベース設計においても、業務要件を記述するだけでテーブル構造やリレーション設計の提案を受けられます。セキュリティ設定やバックアップ手順についても、ベストプラクティスに基づいた提案が得られるため、経験の浅い担当者でも適切な設計を実現できます。

活用場面 生成AIの役割 期待される効果
コード生成 要件から実装コードを自動生成 開発時間の短縮、初期実装の品質向上
設計支援 データベース構造やAPI設計の提案 設計の適切性向上、検討時間の削減
テスト作成 テストケースとテストコードの生成 テスト工数の削減、カバレッジの向上
ドキュメント作成 技術仕様書や操作マニュアルの生成 文書作成時間の削減、記述の統一

内製化を実現する条件

生成AIとローコード開発の組み合わせで内製化を実現するには、いくつかの条件を整える必要があります。技術的な環境だけでなく、組織体制や運用ルールの整備も重要な要素となります。
まずは、対象とする業務システムの範囲を明確にすることが求められます。すべてのシステムを内製化する必要はなく、業務の理解が深く、仕様変更が頻繁に発生する領域から着手することが現実的です。
開発を担当する人材については、プログラミングの深い知識は必須ではありませんが、業務フローやデータの流れを理解できる能力が必要です。情報システム部門の担当者や、システムに詳しい業務部門の担当者が候補となります。
セキュリティとガバナンスの方針を事前に定めておくことで、内製化したシステムの品質と安全性を担保できます。アクセス権限の管理方法、データの取り扱いルール、変更管理の手順などを明文化しておくことが推奨されます。

PaaSを活用したシステム内製化のメリット

PaaSとローコード開発、生成AIの組み合わせによる内製化は、企業の情報システム部門に複数のメリットをもたらします。コスト面だけでなく、開発スピードや柔軟性の向上も期待できます。

開発コストの削減

外部ベンダーに開発を委託する場合、初期開発費用に加えて、仕様変更や機能追加のたびに追加費用が発生します。内製化することで、これらの費用を削減できる可能性があります。
PaaSの利用料金は、一般的に月額制や従量課金制となっており、初期投資を抑えて始められます。サーバーやネットワーク機器の購入、データセンターの契約といった設備投資も不要です。
開発人材についても、高度なプログラミングスキルを持つエンジニアを雇用する必要がなく、既存の情報システム部門のメンバーで対応できるケースが増えています。ただし、内製化には学習コストや初期の試行錯誤が伴うため、中長期的な視点での評価が必要です。

開発期間の短縮

ローコード開発と生成AIの活用により、システム開発のサイクルを大幅に短縮できます。要件定義から実装、テストまでの工程を、従来の半分以下の期間で完了できる場合もあります。
プロトタイプを迅速に作成して業務部門に確認してもらい、フィードバックを反映しながら開発を進める手法が取りやすくなります。このアジャイル的なアプローチにより、完成したシステムと業務要件のミスマッチを減らせます。
仕様変更や機能追加についても、外部ベンダーとの調整が不要なため、迅速に対応できます。業務部門からの要望を受けて、数日から数週間で機能を実装し、リリースすることも可能です。

業務理解の深化

システム開発を内製化することで、情報システム部門が業務の詳細を深く理解する機会が増えます。業務部門との対話を通じて、真の課題やニーズを把握できるようになります。
外部ベンダーに委託する場合、業務知識の多くはベンダー側に蓄積され、社内にノウハウが残りにくいという課題がありました。内製化により、開発で得られた知識や経験が組織内に蓄積され、次のシステム開発や改善活動に活かせます。
業務部門との距離が近くなることで、システム化の優先順位や投資判断についても、より適切な意思決定ができるようになります。限られた予算やリソースを、最も効果の高い領域に集中投資する判断がしやすくなります。

メリット項目 具体的な効果 注意点
コスト削減 外部委託費用の削減、設備投資の回避 初期学習コストと運用負荷の考慮が必要
期間短縮 開発サイクルの高速化、仕様変更への迅速な対応 品質管理とテスト工程の確保が重要
柔軟性向上 ビジネス環境の変化への即応、試行錯誤のしやすさ システムアーキテクチャの統一性維持が課題
知識蓄積 業務知識とシステム知識の社内蓄積 人材の流動化によるノウハウ流出リスク

PaaSとローコードツールの選定

PaaSやローコード開発ツールには、さまざまなサービスや製品が存在します。自社の状況や要件に適したものを選定することが、内製化の成否を左右します。

評価すべき機能要件

PaaSとローコードツールを選定する際には、自社の業務システムに必要な機能が提供されているか確認する必要があります。基本的なデータベース機能やUI構築機能に加えて、外部システムとの連携機能も重要な評価項目です。
認証とアクセス制御の機能は、企業のシステムでは必須となります。既存の社内認証基盤との連携が可能か、多要素認証に対応しているかなどを確認します。
ワークフロー機能やレポート機能、モバイル対応など、業務アプリケーションで頻繁に必要となる機能が標準で用意されているかも重要な判断材料となります。これらの機能が最初から組み込まれていると、開発工数を大幅に削減できます。

非機能要件の確認

システムの性能、可用性、セキュリティといった非機能要件も、慎重に評価する必要があります。業務の重要度や利用規模に応じて、求められる水準は異なります。
性能面では、同時アクセス数やデータ量が増えた場合のレスポンス時間、スケーラビリティなどを確認しましょう。PaaSでは自動スケーリング機能が提供されることが多いですが、その条件や制限を理解しておく必要があります。
可用性については、サービスレベル保証(SLA)の内容を確認しておきましょう。稼働率やダウンタイムの保証、障害時の対応手順などが明示されているかを確認し、自社の業務継続要件と照らし合わせます。
セキュリティでは、データの暗号化、アクセスログの取得、脆弱性対応の実績などを評価します。特に個人情報や機密情報を扱うシステムでは、厳格なセキュリティ基準を満たしていることが求められます。

コストと契約条件の検討

PaaSの料金体系は、サービスによってさまざまな形態があります。月額固定制、ユーザー数課金、リソース使用量課金などがあり、自社の利用形態に合った料金体系を選択することがコスト管理の面で重要です。
初期費用が不要なサービスが多いですが、機能の追加やサポートレベルによっては追加費用が発生する場合があります。将来的な拡張を見越して、料金の上限や追加費用の条件を確認しておくことが推奨されます。
契約期間や解約条件、データの移行方法なども重要な確認事項です。将来的にサービスを変更する可能性を考慮し、データのエクスポート機能やAPIによる移行支援があるかを確認しておきます。

内製化を成功させる実践手順

PaaSとローコード開発による内製化を成功させるには、計画的なアプローチと段階的な実施が重要です。いきなり大規模なシステムから着手するのではなく、小さく始めて経験を積みながら拡大していく方法が現実的です。

最初のプロジェクト選定

内製化の第一歩として、適切なプロジェクトを選定することが成功の鍵となります。複雑すぎず、かつ業務への影響が大きすぎないシステムから始めることが大切です。
部門内で利用する業務支援ツールや、既存システムの補完的なツールなどが候補となります。申請承認フローのデジタル化、備品管理システム、日報管理システムなど、比較的シンプルな業務プロセスをシステム化する案件が適しています。
最初のプロジェクトでは、完璧を目指すよりも、短期間で成果を出すことを優先しましょう。成功体験を積むことで、組織内の理解と協力を得やすくなり、次のプロジェクトへの展開がスムーズになります。

開発プロセスの確立

内製化を進める上で、開発プロセスを標準化することが品質の安定と効率化につながります。要件定義、設計、実装、テスト、リリースといった各工程で、必要な作業や成果物を明確にしましょう。
レビューの仕組みも重要です。一人の担当者だけで開発を完結させるのではなく、設計や実装の段階で複数の目でチェックする体制を整えます。これにより、品質の向上と知識の共有が同時に実現できます。
変更管理のルールも定めておきます。開発環境、テスト環境、本番環境の分離、リリース承認の手順、バックアップとロールバックの方法などを文書化し、関係者に周知しておきましょう。

運用体制の整備

システムをリリースした後の運用体制も、内製化では重要な検討事項です。外部ベンダーに頼らずに、障害対応や問い合わせ対応、定期メンテナンスを実施する必要があります。
ヘルプデスクやサポート窓口の設置、対応手順の文書化、エスカレーションルートの明確化などを準備します。特に業務時間外や休日の対応については、事前に方針を決めておくことが重要です。
監視とログ管理の仕組みも整えます。システムの稼働状況、エラーの発生状況、パフォーマンスの推移などを定期的に確認し、問題の早期発見と予防保全に努めましょう。

実践手順 実施内容 期待される成果
プロジェクト選定 小規模で明確な要件のシステムから着手 成功体験の獲得、ノウハウの蓄積
プロセス確立 開発工程の標準化、レビュー体制の構築 品質の安定、効率化の実現
運用整備 サポート体制の構築、監視の仕組み作り 安定稼働の維持、迅速な問題対応
継続改善 振り返りの実施、プロセスの見直し 開発力の向上、組織学習の促進

人材育成と知識共有

内製化を持続可能なものにするには、人材育成と知識共有の仕組みが欠かせません。担当者が異動や退職した場合でも、開発や運用が継続できる体制を目指しましょう。
定期的な勉強会やハンズオン研修を開催し、PaaSやローコードツールの使い方、生成AIの活用方法などを学ぶ機会を設けるとよいでしょう。社内のコミュニティを形成し、疑問点や課題を気軽に相談できる環境を整えることも有効です。
開発で得られた知見やノウハウは、ドキュメントとして残し、チーム内で共有します。設計パターン、よく使う機能の実装方法、トラブルシューティングの手順などを蓄積していくことで、組織としての開発力が向上します。

まとめ

PaaSとローコード開発、生成AIの組み合わせにより、企業の情報システム部門における業務システムの内製化が現実的な選択肢となっています。外部委託に依存していた開発を自社で実施することで、コストや期間の面でメリットが期待できます。
内製化を成功させるには、適切なツールの選定、段階的な実施、組織体制の整備が重要です。最初は小規模なプロジェクトから始め、成功体験を積み重ねながら、徐々に対象範囲を拡大していくアプローチが欠かせません。技術面だけでなく、人材育成や知識共有の仕組みも並行して整備することで、持続可能な内製化体制を構築できます。
ビジネス環境の変化が激しい現代において、迅速にシステムを構築・改修できる能力は、企業の競争力を左右する要素となっています。PaaSを活用した内製化の取り組みは、情報システム部門の役割を進化させ、企業全体のデジタル変革を推進する原動力となるでしょう。


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