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2025年5月8日

AIのツール接続規格MCPとは?導入メリットと最新活用例

AI技術の進化は日々新たなアプリやツールを生み出していますが、それらを効果的に結びつけるための基盤がますます重要になっています。そこで注目されているのが「MCP(Model Context Protocol)」です。MCPは、異なるAIアプリやツールを円滑に連携させるためのプロトコルであり、その導入によって得られるメリットは多岐にわたります。本記事では、MCPとは何か、どのような利点があるのかを詳しく解説していきます。さらに、最新の活用例も紹介し、AIツールを効果的に活用したいと考えている方にとって、MCPがどのように役立つのかを探っていきます。AWSの生成AIサービス「Amazon Bedrock」でもMCPの活用が進んでいます。

「MCP」を簡単に説明!
  • MCPとはAIアプリとAIツール間の接続を容易にするための共通規格で、デファクトスタンダードとして注目されています
  • 異なるAIアプリケーション間でツールを共有でき、様々なベンダーのツールでも同じ方法で接続が可能になります
  • 共通のプロトコルを利用することで、異なるAIツールやシステムを簡単に統合できるため、新しいアイデアやサービスの開発が容易になります
登場社員のプロフィール
  • 森田 和明
    エリア事業本部 西日本支社
    インテグレーション&ソリューション部 ITアーキテクトグループ
    主任 / フェロー

    業務系Webシステム開発やモバイルアプリ開発の経験を経て、2015年頃からクラウド、特にAWS Lambdaに代表されるサーバーレスアーキテクチャに興味を持つ。サーバーレスのメリットを活かした様々なIoT案件に携わった後、2017年には「スマートハウスの実証事業」に従事。フルサーバーレスでのシステム構築を実現。現在はIoTだけにとどまらず、サーバーレスやコンテナを活用したプロジェクトの提案・構築に従事。著書「Amazon Bedrock 生成AIアプリ開発入門 [AWS深掘りガイド]」がITエンジニア本大賞2025 技術者部門ベスト10(https://www.shoeisha.co.jp/campaign/award/result/)に選出されました。

MCPとは?基本知識と概要

AI技術が急速に進化する中で、異なるAIツールを効果的に接続するための規格が求められています。そんなニーズに応える「MCP」について、基本的な知識とその概要を解説します。MCPを理解することで、AIツールの接続と活用がよりスムーズになります。具体的な特徴や利点を知ることで、AIの活用を最大限に引き出す手助けとなるでしょう。

Amazon Bedrockをはじめとする生成AIを活用したAIエージェント開発が少しずつ活発になっています。AIエージェント開発においてもMCPが活躍します。

MCPが生まれた背景

MCPが生まれた背景には、AI技術の多様化とそれに伴う開発の複雑化があります。従来のAIアプリは、必要な機能を独自で開発していたため、機能を増やしたい際に追加開発が必要でした。機能にはWeb検索機能や外部APIの呼び出しなどが含まれます。この問題を解決するために、機能部分をAIアプリ本体から切り出し、外部ツールとして接続する方式が提案されました。これがMCPです。MCPは、AIアプリが様々なツールを円滑に連携できるように設計され、技術の進化と共にその重要性が増しています。

さらに、企業がAIを導入する際のハードルを下げるためにも、MCPの存在は大きな役割を果たしています。異なるベンダーのツールを簡単に統合できるため、企業は自社のニーズに合わせた最適なAI環境を構築しやすくなります。

MCPの役割と重要性

MCPは、AIアプリとAIツール間の接続を容易にするための共通規格としての役割を担っています。これにより、AIアプリとAIツールがシームレスにデータを交換し、連携することが可能になります。AI技術が進化する中で、こうした接続の円滑化は、業務効率の向上や新たな価値創出に直結します。

Amazon Bedrockのエージェント機能を使うとAIエージェントを構築できますが、MCPと組み合わせることでよりスピーディなAIエージェント開発が実現できます。

MCPの導入によるメリット3選

AI技術の進化に伴い、ツールの接続規格MCP(Model Context Protocol)が注目されています。MCPを導入することによって得られる3つの主要なメリットを詳しく解説します。MCPの利点を理解することで、より効率的で安全なAIシステムの構築が可能になるでしょう。

メリット1: AIに新しい機能を簡単に追加できる

MCPの最大のメリットの一つは、AIアプリケーションに新しい機能を簡単に追加できる点です。従来、AIに天気予報や株価情報などの機能を追加するには、個別にAPIを開発する必要がありました。しかし、MCPを導入することで、たった一度のクライアント実装で、MCP対応ツールと連携が可能になります。これにより開発時間が大幅に短縮され、コード量も削減されます。

開発者は共通のプロトコルを利用することで、保守も容易になります。特に小規模開発チームやスタートアップにとって、限られたリソースで多くの機能を実装できることは大きな競争力となります。これにより、迅速かつ効率的な開発が可能になるのです。

メリット2: 異なるAIツール同士が連携しやすくなる

現在、多くのAIツールは独自の設計で、他のツールと連携しにくい「サイロ化」の状態にあります。MCPはこれを解決し、異なるAIツール間の相互運用性を大幅に向上させます。例えば、異なるAIアプリケーション間でツールを共有でき、様々なベンダーのツールでも同じ方法で接続が可能です。これにより、企業は特定のAIプラットフォームに依存せず、最適なツールを組み合わせて利用できます。

MCPという共通規格があることで、AIツールのエコシステムは健全に発展しやすくなります。企業は柔軟にAIツールを選択できる自由度が生まれます。

メリット3: イノベーションの促進

MCPは、アプリ開発者や企業に新たなイノベーションの機会を提供します。共通のプロトコルを利用することで、異なるAIツールやシステムを簡単に統合できるため、新しいアイデアやサービスの開発が容易になります。これにより、開発者はより創造的なソリューションを生み出すことが可能となり、サービスの進化を加速させます。

さらに、MCPはオープンなエコシステムを形成し、異なる企業や開発者間のコラボレーションを促進します。これにより、業界全体での知識共有や技術の進展が期待され、AI分野における新たなブレークスルーが生まれる可能性が高まります。MCPは、AIの未来を切り開くための重要なプラットフォームとして位置づけられています。

Amazon Bedrockでは様々なモデルを単一のAPIで呼び出せる特徴があります。一度MCPと統合したAIアプリとして開発すれば、最新モデルへの置き換えやMCPによる機能追加が容易に可能です。

MCPの活用例

MCPの活用例は多岐にわたります。まず、AI開発の現場において、異なるAIツールを統合し、シームレスに連携させることが可能です。例えば、ある企業では画像認識AIと自然言語処理AIをMCPで接続し、画像から得た情報をテキスト化してレポートにまとめるシステムを構築しています。これにより、業務効率が大幅に向上し、時間とコストの削減に成功しています。

MCP関連の最新トレンド

AI技術が急速に進化する中、ツール接続規格であるMCPもまた、その重要性を増しています。

MCPの導入によって、AIツール間の接続性が向上し、より効率的なデータ処理が可能となります。トレンドを把握することで、ビジネスの競争力を高めるためのヒントを得ることができるでしょう。

AI技術との統合

AI技術との統合は、MCPの進化において欠かせない要素です。MCPは、異なるAIシステム間のシームレスな通信を可能にし、データの相互利用を促進します。これにより、AIの学習能力や応答性が向上し、より高度な分析や予測が可能となります。

特に、自然言語処理や画像認識といった分野でのAI技術との統合は、MCPの利便性を大いに高めています。AIが生成する膨大なデータを効率的に処理し、リアルタイムでの意思決定をサポートすることができるため、企業にとっての競争優位性が増すでしょう。

MCPのデファクトスタンダードとしての台頭

近年、MCPがデファクトスタンダードになりつつあり、企業におけるAI技術の活用が一層進んでいます。これにより、最先端のAI技術を容易に導入できる環境が整っています。この変化は、企業にとってコスト削減だけでなく、迅速な市場投入を可能にし、結果として競争力の向上をもたらします。

MCPがAIの未来を支える重要な基盤として、その役割を拡大していくことは間違いありません。企業はこの動向をしっかりと注視し、適切なタイミングでの導入を検討することが求められます。MCPの進化に伴い、今後も新たなビジネスチャンスが生まれることが予想されるため、企業は常に最新情報をキャッチし、柔軟な対応を心がけることが重要です。

MCPの今後の展望とまとめ

MCPは、AI技術の進化とともにその重要性を増しています。今後、MCPはより多くの業界で導入され、AIツール間のシームレスな連携を可能にすることで、効率的な業務プロセスを実現するでしょう。特に、異なるAIプラットフォーム間でのデータ共有や機能統合がスムーズになることが期待されています。

また、企業が追加開発をせずとも最新のAI技術を活用できる環境が整いつつあります。これにより、コスト削減や迅速な市場投入が可能となり、競争力の向上が見込まれます。総じて、MCPはAIの未来を支える重要な基盤として、ますますその役割を拡大していくでしょう。MCPの動向を注視し、適切なタイミングでの導入を検討することをお勧めします。

※ Amazon Bedrockは、米国その他の諸国における、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。
※その他記載の会社名、製品名は各社の商標または登録商標です。