早わかりIT用語
2025年7月25日

CASBとは?クラウド時代のセキュリティ対策の重要性と導入ポイント

クラウドサービスの利用が急速に広がる現代、セキュリティの確保はますます重要になっています。そこで注目されているのがCASBというセキュリティソリューションです。CASBとは何か、どのようにして企業のセキュリティを強化するのか、基本概念や仕組み、そして導入する際のポイントについても詳しく解説します。クラウド環境における情報漏えいやシャドーITのリスクを軽減し、コンプライアンスの強化を図るために、CASBの導入がますます求められています。企業におけるCASBの必要性とそのメリットを理解し、適切なセキュリティ対策を講じることで、安全なクラウド利用を実現してみましょう。

「CASB」を簡単に説明!
  • CASB(キャスビー)は、「Cloud Access Security Broker」の略称で、クラウドサービスと利用者の間に立ち、セキュリティを強化するためのソリューションを指します。
  • 主な機能として、クラウド利用状況の可視化、クラウドサービスへのアクセス制御、異常な行動の検出などがあります。
  • クラウドサービスの利便性とセキュリティのバランスを保つことが重要です。CASBはこのバランスを実現するための最適なソリューションです。ユーザーは必要な情報に迅速にアクセスできる一方で、セキュリティポリシーによってデータの保護が確保されます。
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CASBとは?

CASB(キャスビー)は、「Cloud Access Security Broker」の略称で、クラウドサービスと利用者の間に立ち、セキュリティを強化するためのソリューションです。クラウド時代において、企業は様々なクラウドサービスを利用していますが、それに伴うセキュリティリスクも増加しています。CASBは、このようなリスクを管理し、データの保護やコンプライアンスの遵守を支援します。

CASBの主な機能には、クラウド利用状況の可視化、クラウドサービスへのアクセス制御、異常な行動の検出などがあります。これにより、企業はクラウドサービスを安全に利用できるようになり、情報漏えいや不正アクセスのリスクを大幅に軽減できます。また、CASBは既存のセキュリティシステムと連携し、より包括的なセキュリティ対策を実現します。こうした機能により、CASBはクラウド利用の際の重要なセキュリティ対策として注目されています。

CASBの主な役割と注目される背景

クラウドサービスの普及に伴い、企業のセキュリティ対策は新たなステージに突入しています。クラウド環境では、従来のセキュリティ対策だけでは不十分な場合が多く、そこで注目されているのがCASBです。どのような役割を果たし、なぜ今注目されているのかを詳しく解説します。情報漏えいやデータ保護におけるCASBの重要性を理解し、適切な導入を目指しましょう。

CASBが注目される背景と役割

クラウドサービスの利用が急増する中で、企業はその利便性を享受する一方で、セキュリティリスクへの対応が求められています。CASBは、クラウド上でのデータの可視化や制御を可能にし、これにより企業はクラウド利用時のリスクを軽減できます。CASBを導入することで、クラウドサービスの利用状況をリアルタイムで監視し、不正アクセスの検出やデータ漏えいの防止が可能となります。

クラウドサービスの多様化に伴い、企業のIT部門は管理が難しくなっています。CASBは、これらの課題に対処するための有効な手段として、企業のセキュリティポリシーをクラウド環境に適用し、従業員の行動を管理することを支援します。これにより、企業はクラウドの利便性を最大限に活かしつつ、セキュリティを強化することができます。

従来型セキュリティとの違い

従来型のセキュリティ対策は、主にオンプレミス環境を対象としており、クラウド環境には適用が難しいケースが多々あります。CASBは、クラウド専用に設計されたセキュリティソリューションとして、従来型の対策ではカバーしきれない部分を補完します。特に、クラウド上でのデータの暗号化やアクセス制御を強化することで、より高度なセキュリティを実現します。

また、CASBは従来型のセキュリティソリューションと連携することで、包括的なセキュリティ体制を構築することが可能です。例えば、ファイアウォールやIDS/IPS(侵入検知・防御システム)と組み合わせることで、クラウドとオンプレミスのハイブリッド環境における一貫したセキュリティポリシーの適用が可能になります。

企業におけるCASB導入の必要性とメリット

企業がCASBを導入することで得られる具体的なメリットと、その必要性について詳しく解説します。導入することで、情報漏えいやシャドーITへの対策が強化されるだけでなく、利便性とセキュリティのバランスを保つことが可能になります。

情報漏えい対策としての強み

CASBは、クラウド上のデータを監視し、不正なアクセスやデータ漏えいを防ぐ強力なツールです。特に、リアルタイムでの異常検知機能により、データが流出する前に迅速な対応が可能です。これにより、企業は顧客情報や機密データの保護を強化し、信頼性を高めることができます。さらに、暗号化技術を用いてデータの安全性を確保し、外部からの脅威にも対応します。

CASBのもう一つの強みは、詳細なログを提供することです。管理者はデータの使用状況を把握し、潜在的なリスクを早期に発見することが可能です。これらの機能により、情報漏えいのリスクを大幅に軽減することができます。

シャドーIT対策における活用

シャドーITとは、企業の管理外で使用されるIT資産を指し、セキュリティリスクを高める要因となります。CASBは、シャドーITの検出と管理においても有効です。クラウドサービスの利用状況を可視化し、未承認のアプリケーションやサービスの使用を特定することで、リスクを事前に把握することができます。

また、ポリシー設定を通じて、許可されたクラウドサービスのみを使用するように制限することが可能です。これにより、企業はシャドーITによるリスクを最小限に抑えることができます。さらに、ユーザーの行動を監視し、異常な活動を検出することで、セキュリティを強化します。

CASBが解決する企業の代表的なセキュリティ課題

クラウドサービスの利用が一般化する中で、企業は新たなセキュリティ課題に直面しています。データ漏えいやコンプライアンス違反などのリスクは企業の信頼性や業績に直結する問題です。この章ではCASBがどのようにしてこれらの代表的なセキュリティ課題を解決するのかを詳しく解説します。

データ漏えいのリスク軽減

データ漏えいは企業にとって重大なリスクです。CASBは、クラウドサービス上のデータを監視し、不正アクセスやデータの不適切な移動を防ぐことで、データ漏えいのリスクを大幅に軽減します。具体的には、データの暗号化やアクセス制御を行うことで、情報の漏えいを防止します。さらに、CASBはリアルタイムでの異常検知機能を備えており、疑わしい活動が検出された場合には即座にアラートを発します。これにより、迅速な対応が可能となり、被害を最小限に抑えることができます。これらの機能は、企業のデータセキュリティを強化し、信頼性を高める重要な役割を果たします。

コンプライアンス対応の強化

企業がクラウドサービスを利用する際には、各種法令や業界規制に従う必要があります。CASBは、これらのコンプライアンス要件を満たすための強力なツールです。例えば、データの保存場所やアクセス権限の管理を通じて、企業が必要とするコンプライアンス基準をクリアすることをサポートします。

また、CASBは詳細なログを保持し、監査対応を容易にします。これにより、企業は規制当局からの監査にも迅速に対応でき、法令違反のリスクを低減します。CASBを活用することで、企業は安心してクラウドサービスを利用しつつ、法令遵守を確実に行うことが可能となります。

CASB選定で押さえるべき比較ポイント

クラウド時代において、企業の情報セキュリティを強化するためにCASBの導入は欠かせません。しかし、数多くの製品やサービスが存在する中で、どのCASBを選べばよいのか迷うこともあるでしょう。CASB選定時に考慮すべき重要な比較ポイントを詳しく解説し、最適な選択をサポートします。自社のニーズに合ったCASBを見つける手助けになる情報ですので参考にしてください。

主要なCASB製品やサービスの特徴

CASB市場には、多様な製品やサービスが提供されています。それぞれのCASBは、データ保護、アクセス制御、脅威検知などの機能において独自の特徴を持っています。例えば、ある製品はリアルタイムの脅威検知に優れている一方で、別の製品はユーザー行動分析に強みを持っています。これらの特徴を理解することで、企業は自社のセキュリティニーズに最も適したCASBを選ぶことができます。また、各CASBの導入コストやサポート体制、ユーザーインターフェースの使いやすさも重要な選定基準となります。これらの要素を総合的に比較し、最適な製品を選びましょう。

自社に合ったCASBの選び方

自社に最適なCASBを選ぶためには、まず自社のクラウド利用状況を正確に把握することが重要です。どのようなクラウドサービスを利用しているのか、どの程度のデータがクラウドに保存されているのかを確認することで、必要なセキュリティ機能を明確にすることができます。さらに、企業のセキュリティポリシーやコンプライアンス要件に合致するかどうかも考慮する必要があります。これにより、導入後の運用がスムーズに進むだけでなく、長期的なセキュリティ強化にもつながります。

CASB導入時に押さえておきたいポイント5

1. 自社のクラウド利用状況の把握

CASBを効果的に活用するためには、まず自社のクラウド利用状況を正確に把握することが重要です。どのクラウドサービスを使用しているのか、どのようなデータが保存されているのかを明確にすることで、適切なセキュリティ対策を講じることができます。

特に、シャドーITと呼ばれる非公式に使用されているクラウドサービスの存在を把握することは、セキュリティリスクを軽減する上で欠かせません。これにより、見落としがちなリスクを事前に防ぐことが可能となります。

2. 対応可能なクラウドサービスの範囲

CASBを選定する際には、対応可能なクラウドサービスの範囲を確認することが重要です。多くの企業は、複数のクラウドサービスを利用しており、それぞれのサービスに対して適切なセキュリティ対策を講じる必要があります。

主要なクラウドサービスプロバイダーに対応しているか、また新しいサービスにも柔軟に対応可能かどうかを確認することで、長期的なセキュリティ管理が容易になります。

3. セキュリティポリシー設定

CASBを利用することで、企業はクラウド環境におけるセキュリティポリシーを柔軟に設定することが可能です。具体的には、データの暗号化やアクセス制御、データ転送の監視などが含まれます。これにより、機密情報の漏えいや不正アクセスを防ぐことができます。また、CASBはリアルタイムでのポリシー適用が可能なため、迅速な対応が求められる状況でも効果的にセキュリティを維持することができます。

4. 利便性とセキュリティのバランス

クラウドサービスの普及に伴い、利便性とセキュリティのバランスを保つことが重要です。CASBはこのバランスを実現するための最適なソリューションです。ユーザーは必要な情報に迅速にアクセスできる一方で、セキュリティポリシーによってデータの保護が確保されます。たとえば、アクセス制御やデータ暗号化の設定を細かく調整することで、業務効率を維持しながらセキュリティを強化します。このように、CASBは企業のニーズに応じたカスタマイズが可能です。

5. 運用・サポート体制の確認

CASBを導入する際には、運用・サポート体制の確認も重要です。CASBの効果を最大限に引き出すためには、適切な運用とサポートが欠かせません。ベンダーが提供するサポート体制を確認し、導入後のトラブルシューティングやアップデート対応が迅速に行われるかをチェックすることが大切です。また、運用体制の整備も重要です。社内のITチームがCASBを効果的に運用できるよう、必要なトレーニングやリソースを確保しましょう。

CASBのよくある質問と回答

クラウド時代におけるセキュリティ対策は、企業にとって避けて通れない課題です。CASBに関するよくある質問と具体的な回答をまとめました。

CASBとSASEの違い

CASBとSASE(Secure Access Service Edge)は、どちらもクラウドセキュリティを強化するための重要な技術ですが、その役割には明確な違いがあります。CASBは、クラウドサービスへのアクセスを管理し、データの保護やコンプライアンスを支援することに特化しています。一方、SASEはネットワークセキュリティとWAN(Wide Area Network)機能を統合し、ユーザーがどこにいても安全にネットワークにアクセスできる環境を提供します。

SASEは、様々なセキュリティ機能をクラウドベースで提供することで、ネットワークの境界を超えたセキュリティを実現します。これに対し、CASBは特にクラウドアプリケーションの利用に伴うセキュリティリスクを管理することに重点を置いています。SASEはCASBを含む、より広範囲なセキュリティソリューションです。

CASBとSWGの違い

CASBとSWG(Secure Web Gateway)は、どちらもインターネット上でのセキュリティを強化するための技術ですが、その目的と機能には違いがあります。CASBは、クラウドサービスへのアクセスを監視し、データの保護やコンプライアンスを支援します。これに対し、SWGは主にウェブトラフィックをフィルタリングし、不正なウェブサイトへのアクセスを防ぐ役割を果たします。

SWGは、インターネットを介したマルウェアの侵入やフィッシング攻撃からユーザーを保護することに重点を置いています。CASBは、クラウドサービスの利用に伴うデータの流出や不正アクセスを防ぐことに特化しているため、両者は異なるセキュリティニーズを満たすソリューションとして位置づけられます。企業は、これらの違いを理解し、必要に応じて両方を組み合わせることで、より包括的なセキュリティ対策を講じることができます。

CASBとSIEMの違い

CASBとSIEM(Security Information and Event Management)は、どちらも企業のセキュリティを強化するためのツールですが、そのアプローチと目的は異なります。CASBは、クラウドサービスの利用に伴うセキュリティリスクを管理し、データの保護やコンプライアンスを支援します。一方、SIEMは、ネットワーク全体のセキュリティイベントを収集・分析し、異常を検知するためのプラットフォームです。

SIEMは、ログデータを統合してリアルタイムで脅威を検出し、迅速な対応を可能にします。CASBは、クラウドアプリケーションの利用におけるデータの流出や不正アクセスを防ぐことに特化しており、クラウドセキュリティにおける重要な役割を担います。企業は、CASBとSIEMを組み合わせることで、クラウド環境とネットワーク全体のセキュリティを包括的に強化することができます。

※記載の会社名、製品名は各社の商標または登録商標です。