情報漏洩対策!DLP(Data Loss Prevention)とは?基本から導入ポイントまでを解説

企業における情報漏洩は、顧客の信頼を失うだけでなく、法的責任を問われる可能性もある深刻な問題です。DLP(Data Loss Prevention)は、データの流出を防ぐための有効な対策として注目されています。DLPは、企業が保有する重要なデータを保護するためのツールであり、外部の脅威や内部不正による情報漏洩を防ぐことができます。DLPの導入によって、企業はセキュリティリスクを低減し、安心してビジネスを展開することが可能になります。この記事では、DLPの基本的な概念から具体的な導入ステップ、さらに他の情報漏洩対策との違いについても詳しく紹介します。
- DLPとは、Data Loss Preventionの略で、企業の重要な情報が外部に漏れないようにするための技術やプロセスを指します。
- DLPは情報そのものの保護に重点を置いています。具体的には、情報の流出を防ぐための監視や制御を行うことが主な役割です。
- DLPは外部と内部の両方からの脅威に対して、包括的な保護を実現することで、企業のデータ資産を安全に守ることができます。
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Tech Tips編集部
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DLPとは?基礎知識と注目される理由

情報漏洩は企業にとって大きなリスクであり、これを防ぐための対策が求められています。この章は、DLPという情報漏洩対策の基本的な知識と、その重要性について解説します。DLPの導入を考えている方にとって、なぜDLPが注目されているのか、その理由を解説します。
DLPは企業の情報資産を守るために不可欠な技術です。情報がどのように流出するのか、そしてDLPがどのようにそれを防ぐのかを知ることで、より効果的なセキュリティ対策を講じることが可能になります。
DLPとは
DLPとは、Data Loss Preventionの略で、企業の重要な情報が外部に漏れないようにするための技術やプロセスを指します。DLPは情報の流出を防ぐだけでなく、情報の使用やアクセスを監視し、不正な動きを早期に検知する役割も担っています。
DLPは、データの分類やポリシーの設定を通じて、どのデータが保護されるべきかを明確にします。また、異常なデータの移動やアクセスをリアルタイムで検知し、必要に応じて適切な対応を取ることが可能です。これにより、企業は情報漏洩のリスクを大幅に低減することができます。
DLPが必要とされる背景
近年、企業を取り巻く情報セキュリティの環境はますます複雑化しています。サイバー攻撃の高度化や内部不正の増加により、情報漏洩のリスクが高まっています。このような背景から、DLPが必要とされるのです。
特に、クラウドサービスの普及やリモートワークの増加により、情報の流れが多様化しています。これに伴い、情報の管理が難しくなり、従来のセキュリティ対策では対応しきれない場合があります。DLPはこのような新たな環境に対応し、情報の安全性を確保するための強力なツールとして注目されています。
IT資産管理ツールとの違い
IT資産管理ツールとDLPは、どちらも情報セキュリティに関わるツールですが、その目的と機能には大きな違いがあります。IT資産管理ツールは、企業が所有するハードウェアやソフトウェアの管理を主な目的としています。
一方、DLPは情報そのものの保護に重点を置いています。具体的には、情報の流出を防ぐための監視や制御を行うことが主な役割です。IT資産管理ツールがデバイスなどの「モノ」の管理を行うのに対し、DLPは「情報」の管理を行うと言えるでしょう。この違いを理解することで、適切なセキュリティ対策を選定することが可能になります。
DLPのメリット
企業のセキュリティ部門にとって、情報漏洩対策は常に重要な課題です。この章はDLPの導入によって得られるメリットを詳しく解説します。DLPを活用することで、異常をリアルタイムで検知し、外部からの脅威や内部の不正行為による情報漏洩を防ぐことができます。さらに、管理コストや運用負荷を軽減する効果も期待できます。これにより、企業はより安心してデータを管理することが可能になります。
異常をリアルタイムで検知できる

DLPは、企業内のデータの動きをリアルタイムで監視し、異常な活動を即座に検知する機能を持っています。リアルタイム検知により情報漏洩のリスクを最小限に抑えることが可能です。たとえば、不正なデータ転送や許可されていないデバイスへのデータコピーなど、通常とは異なる挙動を素早く察知します。これにより、迅速な対応が可能になり、被害の拡大を防ぐことができます。このリアルタイム検知機能は、セキュリティ部門の担当者にとって非常に有用です。異常が発生した際には、即座にアラートを受け取り、適切な対応策を講じることができます。
外部脅威・内部不正、両方における情報漏洩を防げる
DLPは、外部からの攻撃だけでなく、内部の不正行為に対しても効果的な防御策です。外部脅威としては、ハッキングやマルウェアによる情報漏洩を未然に防ぐことができます。内部不正に関しては、従業員による意図的なデータ持ち出しや誤操作による情報漏洩を防止します。
このように、DLPは多面的な防御機能を提供するため、企業の情報セキュリティを強化します。外部と内部の両方からの脅威に対して、包括的な保護を実現することで、企業のデータ資産を安全に守ることができます。
管理コストおよび運用負荷を軽減できる
DLPを導入することで、企業の管理コストや運用負荷を大幅に軽減することができます。従来のセキュリティ対策は多くの手間とコストがかかることが多いですが、DLPは自動化されたプロセスを提供し、効率的に運用をサポートします。人的リソースの削減が可能となり、他の重要な業務に集中することができます。
また、DLPはポリシー管理機能を通じて、簡単にセキュリティルールを設定し、運用することができます。複雑なセキュリティ設定をシンプルにし、運用の手間を減らします。結果として、企業はより効率的にセキュリティを維持することができ、コスト削減にもつながります。
DLPの主な機能5選と活用シーン
情報漏洩対策として注目されるDLPには、様々な機能があります。この章では、その中でも特に重要な5つの機能と、それぞれの活用シーンについて詳しく解説します。企業のセキュリティ担当者が直面する課題に対し、どのようにDLPが役立つのかを理解することで、効果的な情報保護が可能になります。
1. データ検出機能
データ検出機能は、企業内に存在する重要なデータを自動的に探し出す機能です。どのデータが保護の対象となるべきかを迅速に特定できます。特に、散在するデータや隠れたデータを効率的に見つけ出すことで、情報漏洩のリスクを大幅に軽減できます。この機能は、企業が持つ膨大なデータの中から、機密情報や個人情報を識別する際に活用されます。データの種類や保存場所に関わらず、包括的な検出を行うことで、セキュリティ対策の第一歩を担います。
2. データ分類機能

データ分類機能は、検出されたデータを自動的に分類する役割を持ちます。これにより、データの重要度や機密性に応じた適切な保護が可能になります。企業内のデータを体系的に管理することで、情報漏洩のリスクを低減します。この機能は、データの特性に基づいてタグ付けを行い、機密情報や公開可能な情報を明確に区別します。分類されたデータは、その後のポリシー適用やアクセス制御の基盤となり、効率的な情報管理を実現します。
3. ポリシー管理機能
ポリシー管理機能は、データの使用やアクセスに関するルールを設定し、管理するための機能です。企業のセキュリティポリシーを一貫して適用し、情報漏洩を防ぐことができます。具体的には、データの転送や共有に関する制限を設けたり、不正アクセスを防止するための措置を講じたりします。ポリシーの設定は、企業のセキュリティニーズに応じて柔軟に変更可能で、常に最新の脅威に対応できる体制を整えます。
4. データ制御・遮断機能
データ制御・遮断機能は、許可されていないデータの転送やアクセスをリアルタイムで制御する機能です。これにより、機密情報が外部に漏れるのを未然に防ぐことができます。この機能は、データのコピーや転送が行われる際に、ポリシーに基づいて自動的に遮断や警告を行います。特に、外部デバイスへのデータ転送やクラウドサービスへのアップロード時に有効で、情報漏洩のリスクを最小限に抑えます。
5. レポート・監査機能
レポート・監査機能は、データの使用状況やセキュリティポリシーの適用状況を可視化するための機能です。情報漏洩の兆候を早期に発見し、迅速に対応することが可能です。企業のセキュリティ担当者は、詳細なレポートを通じて、データの動きやポリシー違反の有無を確認できます。また、監査ログを活用することで、過去のインシデントの分析や改善策の策定に役立てることができます。
DLPと他の情報漏洩対策との違い
情報漏洩対策としてDLPは注目を集めていますが、他の対策手段とどのように異なるのでしょうか。この章は、DLPと他の一般的な情報漏洩対策との違いを明らかにし、それぞれの特性や適用シーンを理解することで、企業のセキュリティ戦略における最適な選択をサポートします。特に、アンチウイルスやファイアウォールとの違いについて詳しく解説します。
DLPとアンチウイルスとの違い
DLPとアンチウイルスは、情報セキュリティにおいて異なる役割を果たします。アンチウイルスは、主にマルウェアやウイルスなどの悪意あるソフトウェアを検出し、除去することを目的としています。これに対し、DLPはデータの流出を防ぐことに焦点を当てており、データの移動や使用に関するポリシーを設定し、違反を検知して適切な対応を行います。つまり、アンチウイルスは外部からの脅威に対する防御策であるのに対し、DLPは内部からの情報漏洩を防ぐための手段です。
DLPとファイアウォールとの違い
ファイアウォールは、ネットワークの境界でトラフィックを制御し、不正なアクセスを防ぐ役割を担っています。これに対し、DLPはデータそのものに注目し、データの移動や使用に関するポリシーを設定することで、情報漏洩を防ぎます。ファイアウォールはネットワークレベルでの防御を提供しますが、DLPはデータレベルでの保護を実現します。このように、ファイアウォールは外部からのアクセスを制限することで企業のネットワークを保護しますが、DLPは内部のデータが不適切に流出することを防ぐための対策です。両者を組み合わせることで、より強固なセキュリティ体制を構築することができます。
DLP導入の5ステップ

情報漏洩対策として注目されるDLPですが、効果的に導入するためには正しいステップを踏むことが重要です。この章では、企業のセキュリティ部門担当者がDLPを導入する際に考慮すべき5つのステップについて詳しく解説します。各ステップを理解することで、情報漏洩リスクを最小限に抑え、企業のデータを安全に保護する方法を学ぶことができます。
1. 現状のデータ管理状況を把握する
DLPを導入する最初のステップは、現状のデータ管理状況を把握することです。企業内でどのようなデータがどのように管理されているのかを理解することが重要です。現状のデータ管理状況を把握することで、どの部分にリスクが存在するのかを明確にすることができます。データの流れを可視化し、現状の管理体制を評価することで、DLPの導入に向けた基盤を整えることが可能です。
この段階では、データの保存場所やアクセス権限、既存のセキュリティ対策などを詳細に確認します。これにより、DLP導入後の効果を最大化するための課題を洗い出すことができます。現状把握は、後続のステップでのポリシー設計やツール選定においても重要な役割を果たします。
2. 保護すべきデータを特定する
次に行うべきは、保護すべきデータを特定することです。企業にはさまざまなデータが存在しますが、全てを同じレベルで保護する必要はありません。機密情報や重要なビジネスデータなど、特に保護が必要なデータを特定することが求められます。保護すべきデータを洗い出すことでリソースを効率的に配分し、効果的な情報漏洩対策を実現することができます。
データの重要度に応じて分類し、各カテゴリに適した保護レベルを設定します。このプロセスでは、法令遵守や業界標準に基づいた判断が求められます。特定したデータを中心に、DLPポリシーの設計やツールの選定を進めることが、情報漏洩のリスクを低減する鍵となります。
3. DLPポリシーを設計する
DLPポリシーの設計は、情報漏洩対策の根幹を成す重要なステップです。ポリシーとは、データの取り扱いに関するルールや手順を定めたものです。具体的には、誰がどのデータにアクセスできるのか、どのような条件でデータの移動が許可されるのかなどを規定します。これにより、組織全体で統一されたセキュリティ基準を持つことができます。
ポリシー設計においては、業務プロセスとの整合性を保ちながら、実効性のあるルールを策定することが重要です。関係者との協議を重ね、現実的かつ効果的なポリシーを構築します。DLPの運用開始後もスムーズな導入と運用が可能となります。
4. DLPツールの選定と導入
DLPツールの選定と導入は、具体的な情報漏洩対策の実施に直結するステップです。市場には多くのDLPツールが存在しますが、企業のニーズに最適なものを選ぶことが重要です。ツール選定では、機能性や拡張性、運用のしやすさなどを評価基準とします。導入後の運用を見据えた選定が求められます。
ツールの導入に際しては、既存のシステムとの互換性や、ユーザーへの教育・トレーニングも考慮に入れる必要があります。適切なツールを選定し、効果的に導入することで、情報漏洩のリスクを大幅に低減することが可能です。ツールの選定と導入は、DLPの成功に欠かせない要素となります。
5. 運用の見直しと改善
DLP導入後も、運用の見直しと改善は継続的に行うべきです。情報漏洩のリスクは常に変化しており、これに対応するためには、定期的な運用の見直しが欠かせません。運用の中で発見された課題や新たなリスクに対して、適宜ポリシーやツールの調整を行います。
また、セキュリティ部門だけでなく、全社的な協力体制を築くことも重要です。定期的な教育や訓練を通じて、全従業員のセキュリティ意識を高めることが、DLPの効果を最大化する鍵となります。運用の見直しと改善を続けることで、企業の情報資産を長期的に守ることができます。
DLP導入でよくある質問とその回答
DLPはどのようにして情報漏洩を防ぐのか?
「DLPはどのようにして情報漏洩を防ぐのか?」という質問がよくあります。DLPは、データの流れを監視し、ポリシーに違反する行動をリアルタイムで検知することで、情報漏洩を未然に防ぎます。外部からの脅威だけでなく、内部からの不正行為も防止することが可能です。
DLPの導入にはどれくらいのコストがかかるのか?
「DLPの導入にはどれくらいのコストがかかるのか?」という疑問も多く寄せられます。DLPの導入コストは、企業の規模や必要とする機能によって異なりますが、長期的には情報漏洩による損失を防ぐことで、コストパフォーマンスが高いと評価されています。複雑なセキュリティ設定をシンプルにし、運用の手間を減らすことで人的コストを削減することができると言われています。
DLPは他のセキュリティツールとどのように連携するのか?
「DLPは他のセキュリティツールとどのように連携するのか?」という質問もあります。DLPは、アンチウイルスやファイアウォール、侵入検知システム(IDS)、セキュリティ情報イベント管理(SIEM)といった他のセキュリティツールと連携することで、より包括的なセキュリティ対策を実現します。これにより、情報漏洩のリスクを低減し、企業の情報資産をより効果的に保護することが可能です。
DLPの基本から活用方法までのおさらい
DLPは、企業が情報漏洩を防ぐための重要なセキュリティ対策です。DLPの基本は、データの検出、分類、ポリシー管理、データ制御、そしてレポート・監査機能にあります。これらの機能を活用することで、企業は情報の流出を未然に防ぎ、セキュリティを強化することが可能です。特に、異常をリアルタイムで検知する機能は、迅速な対応を可能にし、外部からの脅威や内部不正による情報漏洩を効果的に防ぎます。
DLPの導入には、現状のデータ管理状況の把握から始まり、保護すべきデータの特定、ポリシーの設計、ツールの選定と導入、運用の見直しと改善のステップが必要です。これにより、企業は管理コストを抑えつつ、運用負荷を軽減することができます。DLPを他のセキュリティ対策と組み合わせることで、より包括的な情報漏洩対策が可能になります。企業のセキュリティ部門担当者は、DLPの基本と活用方法を理解し、適切な運用を心がけることが求められます。
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