課題解決の現場
2025年8月28日

働き方の自由さと生産性向上を両立し、「ウェルビーイングな未来」を志すスマートワークの現在地

コロナ禍の混乱が落ち着き、リモートワークからオフィス出社に回帰する企業が増えています。この背景には、労働生産性の低下や勤務状態が見えず管理しにくい状況があります。一方で、出社を求める企業は採用活動で苦戦するといった課題も生まれています。

そこで富士ソフトでは、自社開発のプロダクト「moreNOTE」、「moreReception」、「FAMoffice」といったスマートワークツールを通して、労働生産性を高めながら多様な働き方の実現をご支援しています。本記事では、新設されたスマートワーク事業部の田中 紀行、山内 裕二朗、馬野 大樹に、現在の取り組み状況と、目指す「ウェルビーイングな未来」について話を聞きました。

登場する主な課題
  • リモートワークでは労働生産性の低下が懸念される
  • 出社に回帰すると採用で人が集まりにくくなる
改善効果
  • デジタルツールを用いた業務連携により労働生産性が向上
  • 従業員が働き方を選択できる業務環境を実現
登場社員のプロフィール
  • 田中 紀行
    プロダクト事業本部 スマートワーク事業部

    2008年、富士ソフト入社。大規模顧客管理システムでバッチ開発を担当し、2012年からはモバイルアプリの開発をはじめ、自社プロダクトであるmoreNOTEのアプリ開発に携わる。2015年以降は、新規プロダクトであるmoreReceptionにおける新機能開発、提案活動、現地納品作業等、幅広く担当。2023年には情報処理安全確保支援士資格を取得。

  • 山内 裕二朗
    プロダクト事業本部 スマートワーク事業部

    2021年に富士ソフトへ中途入社後、企業向け受付システムの営業を担当し、企業全体の受付業務の効率化に取り組む。2024年からはスマートワーク事業部 戦略企画グループに異動し、主要プロダクトの企画・戦略を担う。現場で培った営業経験を活かし、ユーザー視点に立った、実用的で価値あるソリューションの企画・提案を行っている。

  • 馬野 大樹
    プロダクト事業本部 スマートワーク事業部

    前職では食品メーカーの営業をしていたが、業務効率化や課題解決を通じて、お客様に直接的な価値を総合的に提供できることに魅力を感じ、富士ソフトへ中途入社。現在は、自社プロダクトの販売を中心に、問い合わせ対応から導入後のフォローまで、お客様に寄り添った営業活動を一貫して行っている。

在宅勤務やリモートワークは労働生産性に不安がある

コロナ禍を経て、多くの企業が在宅勤務やリモートワークを導入しましたが、その一方で「見られていないとサボるのではないか」といった懸念を持つ管理職の方もいるという現状も否定できません。実際に、在宅勤務になってから労働生産性が低下した従業員は多いという声も聞きます。この反動で、企業によっては完全出社に戻す動きも見られるようになりました。

しかし当社では、「労働生産性を高めるためには、働く場所にとらわれずにパフォーマンスを発揮できる環境の整備が必要ではないか」、さらに「客観的に業務状況を把握できるシステムの整備こそが、これからの働き方や企業の成長に求められるのではないか」とご提案し、それを実現するためのプロダクト開発やご支援をしています。

出社に回帰したら人材採用で苦戦する

完全出社に戻した企業が直面しているのは、思いのほか深刻な人材採用の問題です。そうした企業では、「出社必須」という条件が求職者に敬遠され、採用が難航していることが多いようです。実際に私達のお客様からも、労働生産性と人材採用のジレンマに直面しているというお話をよく聞きます。

働く人にとって、場所を選ばない働き方の柔軟性は大きな魅力になっていることは間違いありません。一方企業側では、「仕事は職場でするもの」という意識が残っていることも多く、生産性を維持・向上させるための有効な手段が他にないことも相まって、出社に回帰しつつある状況が生まれているのです。こうしたギャップを埋めるために、デジタル技術を用いた業務の可視化やコミュニケーションの円滑化が効果を発揮しており、これからますます必要になってくると考えられます。

「見える化」と「連携強化」による独自のスマートワークを実現

当社では、自社開発プロダクトのご提供を通して、業務状況を客観的に把握する「見える化」や、物理的に離れた従業員同士の「連携強化」を通じて、お客様の働き方改革と労働生産性向上の両立をご支援してきました。

「見える化」や「連携強化」は、チャットツールがあれば十分ではないかと感じる方もいるかもしれません。もちろんチャットツールによって、誰とでも気軽に連絡を取ることができ、コミュニケーション内容を関係者が把握することも容易になりました。しかし、コミュニケーションはできても、業務の全体像や進捗までは見えないことが多いのではないでしょうか。またチャットツールでさまざまな資料のやり取りをしていると、どれが最新なのか、どこにその資料があるのか、更新されているのか、混乱してしまうこともあると思います。

当社では、バーチャルオフィスや資料の一元管理体制をデジタルで構築することで、誰がどこで何をしているのか、どんな資料があるのかが一目でわかり、出社やリモートワーク、在宅勤務を問わず、複数拠点を1つにつなげられるソリューションをご提供しています。コミュニケーションの質だけでなく、業務の内容や進捗をチーム全体で把握でき、労働生産性の向上を強力にご支援しています。

また当社ならではの特徴として、単にシステムを入れるのではなく、既存の社内システムと連携ができるよう、開発を加えられる点があります。社内ですでに使われているシステムやツールの手が届かない部分を補い、お互いが共存できるようシステムの拡張対応が可能です。働き方改革と生産性向上の両方を実現することこそが、当社の目指す“スマートワーク”であり、それを実現するためのプロダクトをお客様にご提供しています。

自社プロダクトで、資料の一元管理、受付のデジタル化、バーチャルオフィス実現をご支援

当社が提供する自社開発のプロダクトは、働き方改革の実現と労働生産性の向上を推進する実用的なツールです。近年とくにお問い合わせを多くいただいている「moreNOTE」「moreReception」「FAMoffice」の3つをご紹介します。

「moreNOTE」は、資料の閲覧に特化したペーパーレスシステムです。あらゆる資料を安心・安全・簡単に持ち出し活用でき、ペーパーレスシステムとしてはおかげさまで業界シェアNo.1※をいただきました。資料の閲覧性と操作性を重視しており、年齢問わず誰でも直感的に使えるのが特徴です。「紙と同じ感覚で使える」ことを目指し、とくにITリテラシーに自信のないユーザーでも、タブレットやスマホなど、端末を問わず簡単に扱える設計となっています。こうした点がお客様に喜ばれていると実感しています。

「moreReception」は、来訪者の受付業務をデジタル化するシステムです。従来、受付担当者が電話で内線を取り次ぐといった作業が必要でしたが、その都度、担当者の業務を寸断して生産性を低下させる要因になっていました。「moreReception」なら、すでに導入いただいているツールと連携したメール通知を送ることで、直接担当者にお客様の来訪を知らせることができ、業務の寸断をなくせます。また来訪履歴のデータ化により、セキュリティ面や問題発生時の対応、プライバシー保護にも強みを発揮します。とくに、プライバシーマークに準拠した来訪者情報の管理が求められる企業では、数年分の膨大な紙資料の保管から解放されるなどのメリットも得られます。

「FAMoffice」は、「気軽に会話する」をコンセプトにしたバーチャルオフィスツールです。リモートワークをしている人や、全国の拠点に散らばるメンバーが仮想オフィスにアバターを出勤させて、ちょっとした仕事の話をしたり、仮想のミーティングスペースで簡易な打合せをしたりできます。ZoomやTeamsよりもカジュアルで、画面も小さく、アバターなので顔出しに抵抗がある人でも安心して使える点が、ユーザー満足度につながっています。離れていても声をかけやすく、一体感がある空間をつくることで、コミュニケーションの質と頻度を向上させます。

※出典:ITR「ITR Market View:ユニファイド・エンドポイント管理市場2023」会議用途モバイルコンテンツ管理市場:ベンダー別売上金額シェア(2017~2023年度予測)

ハイブリッドワークと生産性の向上を両立できる社会を目指して

今は一時的に出社回帰の流れが目立っていますが、社会全体を見れば、ハイブリッドワークはさらに進むと思っています。出社したい人は出社し、リモートや在宅で働きたい人はその働き方を選べるハイブリッドワークにおいて、どんな働き方でも同じように成果を出せる環境が整っていることが大切なのです。

スマートワーク事業部では、こうしたビジョンを支えるために、さまざまなビジネスシーンに合わせたプロダクトを開発し、さらに機能強化を進めていきます。将来的には、すべての業務やツールがつながり、業務データの可視化や連携、労働生産性の評価などが自然に行われるような仕組みを作りたいと考えています。

私達はこのように、働き方を自由に選べて、しかも労働生産性も向上する状態こそが「ウェルビーイングな未来」だと考えています。手前味噌にはなりますが、使う人のことを最も知っているICTプロダクトメーカーとして、「ウェルビーイングな未来」を実現することが私達のミッションです。
またお客様それぞれの状況に対応できるよう、自社プロダクトとして柔軟な開発を行うために、スマートワーク事業部では企画・開発・営業の機能をシームレスに連携しています。それぞれ「創る」・「作る」・「売る」という循環を、三位一体で実現できる組織を目指しており、お客様のニーズに合わせたプロダクト開発と柔軟なサービスをご提供してまいります。

お客様のニーズという点では、メンバー全員がお客様に寄り添うマインドを大切にしています。私の場合も、お客様を観察し、ヒアリングし、何に対して課題をもっているのかをつねに考え、そしてその内容を事業部内で共有して、メンバーが具体的にイメージできるよう心がけています。そうして本質的な課題を捉え、より良いやり方を提案していきたいです。ウェルビーイングは、企業が求めていること、従業員が求めていること、その両方を実現できることだと思うので、理想ではありますがそんな状況を作りたいです。(山内)

私自身は、根底に「楽しく仕事をしたい」というのがあるのです。でもそれは、もちろん、自分が楽しければいいのではなくて、突き詰めればお客様にもっと楽しく、気持ちよく仕事ができるようになってほしいというところに辿り着きます。私も、企業側と従業員、両方がハッピーになることを目指していきたいですね。(馬野)

私は開発を担当していますが、お客様と話す機会も多くて、まずはやりたいことをじっくり聴きます。ただし、それをそのまま実現するのではなく、技術を使ってどんな解決ができるか、それはお客様が気づかないちょっとしたことだったりもしますが、より良いやり方を模索することをポリシーとして持っています。将来的には、在宅でとかオフィスでとかまったく関係なく、「どんなツールも気づいたら自然に使っていた」というような状態が理想です。いつかそんな時代を作ることができればいいなと思います。(田中)