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【2026年最新版】VMwareからAWSへの移行|新たな選択肢「Amazon EVS」とは?

Broadcom社によるVMwareの買収と、それに伴うライセンス体系の大幅な変更(無期限ライセンスの廃止とサブスクリプション型への完全移行)は、多くの企業が今後のシステム計画について再検討を始めています。

新しいライセンスモデルへの移行に伴い、コストシミュレーションや運用方針の確認を行う企業も多く、将来的なインフラ基盤をどうすべきか、改めて議論される機会が増えています。Gartner社の調査でも、今回の変更を受けて、現在のVMware環境との付き合い方やインフラ戦略を再考(Rethink)している企業の割合は71%にも上ることが示されています。

※参考1:Broadcom Completes Acquisition of VMware
※参考2:VMware Cloud Foundationに関するアップデート
※参考3:Are you rethinking your relationship with VMware in light of the changes Broadcom is making?

このような状況下で、多くの企業を悩ませているのが「オンプレミス環境でのライセンス更新には、数年単位の長期コミットが求められる」という点です。将来的なインフラ方針が確定しない中で、高額な長期契約を迫られるリスクを回避するため、「クラウド活用を見据え、まずは今の環境を変えずにクラウドへ退避し、次の一手を考えるための戦略的な時間稼ぎをしたい」というニーズが急増しています。


しかし、AWSへのVMware移行には複数の選択肢があり、2024年後半のサービス拡充によって、従来のAmazon EC2に加え、新たにAmazon EVSや、Nutanix環境を活用するNC2 on AWSといった選択肢が登場し、検討できる幅が広がっています。


本記事では、「VMwareワークロードをAWSへ移行したいが、どの方法が自社に合っているのか?」とお悩みのお客様向けに、新サービス「Amazon EVS」や「NC2 on AWS」、そして「Amazon EC2」への移行について、それぞれの特徴と最適な移行パス(リロケート/リプラットフォーム//リホスト)を比較しながら解説します。

【2026年最新版】AWSへのVMware移行 3つの選択肢を比較

2026年現在、オンプレミスのVMware vSphere環境からAWSへ移行する主な選択肢は、以下の3つに集約されます。※

  1. Amazon EVS (Amazon Elastic VMware Service):
    【新サービス】VMC on AWSに代わり、AWSが新たに提供するVMwareサービスです。これを利用することで、クラウド上でもVMware環境の利用を継続できます。
  2. NC2 on AWS (Nutanix Cloud Clusters on AWS):
    Nutanixを利用可能にするサービスです。VMwareからNutanixへと基盤を乗り換えて、AWS上で稼働させます。
  3. Amazon EC2 (Amazon Elastic Compute Cloud):
    AWSのネイティブな仮想サーバーサービス(IaaS)であるEC2へ、仮想サーバー単位で移行します。


    ※ 本記事では、「システムの改修(リファクタリング)」や「システムの置き換え・買い替え(リパーチェス)」といった手段を伴わない、「仮想基盤の移行(インフラの移行)」を主眼に置いた選択肢を記載しております。

    実際には、AWSが提唱する移行戦略には「7つのR(7 Rs)」が存在しますが、本記事ではその中でも特に迅速かつ確実な移行が可能な「リロケート(再配置)」および「リホスト(再ホスティング)」と「別の基盤に移行する(リプラットフォーム)」に該当する3つのパスにフォーカスしています。

これらの選択肢は、「既存の構成を維持してそのまま移す(リロケート)」か、「AWSの仕様に合わせて変換して移す(リプラットフォーム・リホスト)」かという移行アプローチによって分類できます。

それぞれの特徴を比較表で整理しました。

比較項目 ① Amazon EVS ② NC2 on AWS ③ Amazon EC2
サービス概要 AWSのVMwareサービス AWS上のNutanix環境 AWSのネイティブ仮想サーバサービス
移行アプローチ リロケート (構成維持) リプラットフォーム (基盤変換) リホスト (変換)
管理者権限 (root) 可能 可能 (Prism等) 不可 (AWSコンソールによる操作)
AWS連携 〇 (VPC接続可) 〇 (VPC接続可) ◎ (VPC接続可、IAM制御可)
推奨ケース VMware運用を維持し、AWS連携も深めたい Nutanixの運用体系を活かして移行したい (オンプレ時にもNutanixを利用している場合) クラウドネイティブ化を優先したい
IPアドレスの変更 〇 (不要) 〇 (不要) △ (必要)
移行期間 ◎ (最短) 〇 (短い) △ (長め)
コストイメージ △ (高め) 〇 (中間) ◎ (最も安価)

各サービスを検討する際、特に現場のエンジニアが重視すべきは「IPアドレスの維持」や「運用ツールの継続性」です。自社にとっての最適解を導き出すためのクイック判断フローを用意しました。

このように、構成を維持する「リロケート」か、最適化を進める「リホスト/リプラットフォーム」かによって、選択すべきサービスが異なります。


特に「移行期間が短い」場合には、リロケート一択となります。現在のAWSサービスにおいて、唯一リロケートが可能な「Amazon EVS」は、コンバートに伴う不具合のリスクを避け、短期間で各自に移行したい場合の有力な選択肢となります。


ここからは具体的にAmazon EVSの特徴を見ていきましょう。

Amazon EVS が注目されている理由

比較表で示した通り、Amazon EVSは、これまでのクラウド移行における制約を解消する新しい選択肢として設計されています。特に、技術的・運用的な観点から3つのポイントを解説します。

ポイント1: vSphereの管理者権限(root)が取得可能に

新規販売が終了した従来のVMC on AWSは「フルマネージドサービス」としての制約があり、vCenterやESXiホストに対する管理権限がユーザー側には限定されていました。Amazon EVSは、この制約を解消する後継の選択肢となります。


そのため、オンプレミスで利用していた監視エージェントやバックアップツールなど、管理者権限(root)を必要とするサードパーティ製品の一部は、そのままでは利用できないケースがありました。


Amazon EVSでは、ユーザーがvSphereの管理者権限(root)を保持する構成が可能です。 これにより、オンプレミスと同様の運用プロセスや、使い慣れたツールをAWS上でも継続して利用できる可能性が高まります。 運用変更のコストを抑えたい企業にとって、これは大きなメリットとなります。

ポイント2: AWSネイティブサービスとのシームレスな連携

これまで、外部の仮想化基盤をAWSと連携させる際は、管理領域が分断されていたため、サービス間の接続には複雑なネットワーク設計や「橋渡し」のための構成が不可欠でした。


Amazon EVSは、AWS自体のサービスとして提供されるため、こうした管理上の壁が取り払われているのが特徴です。


もちろん、実際の導入においては、IPレンジの設計やルーティング管理(VPC Route Serverの活用など)といった、AWSの仕様に基づいたネットワーク設計は依然として重要です。しかし、AWSの標準的な管理体系の中でVMwareを扱えることは、マネージドサービスへの最適化を検討する際、非常に柔軟な対応を可能にします。

ポイント3: AWSからの直接提供と「自由度」の捉え方

2024年4月末をもってAWS経由でのVMC on AWSの新規販売等が終了し、その後の有力な選択肢として登場したのがAmazon EVSです。

このサービスの特徴は、AWSが直接提供していることによる安心感だけでなく、従来のVMC on AWSと比較して「自由度(ユーザーが操作できる範囲)」が格段に広いことにあります。


自由度が高いということは、裏を返せば「ユーザー自身、あるいは支援するパートナー側で設計・実施しなければならない領域が増える」ことも意味します。

実際に、AWS Summit Japan 2025の登壇ステージにおいても、当社はAWSと共に「自由度の高さゆえに、実績のあるパートナー選びがプロジェクト成功の鍵となる」というメッセージを発信しました。
参考リンク:AWS Summit Japan 2025レポート〈後編〉│富士ソフトが支えるクラウド活用─生成AI・IoTを通じた業務効率化の取り組み

Amazon EVSのポテンシャルを引き出し、オンプレミス同等の柔軟な運用を実現するには、「自由度の裏側にある実務」を熟知したプロフェッショナルの存在が不可欠です。

VMware環境からAWSへの主要な移行手法の紹介

構成を維持する「リロケート」か、最適化を進める「リプラットフォーム/リホスト」かによって、選択すべきサービスが異なります。


特に「移行期間が短い」場合には、リロケート一択となります。現在のAWSサービスにおいて、唯一リロケートが可能なAmazon EVSは、形式変換に伴う不具合のリスクを避け、短期間で確実に移行したい場合の有力な選択肢となります。

Amazon EVSへの移行パス(リロケート)

では、具体的にオンプレミス環境からAmazon EVSへはどう移行すればよいのでしょうか。Amazon EVSはvSphereベースであるため、これまでのVMwareクラウド移行で実績のある「リロケート(環境ごとそのまま持ち込む)」の手法がそのまま利用できます。

VMware HCXによる移行

VMware HCX (Hybrid Cloud Extension)は、VMwareが提供するハイブリッドクラウド移行のための強力なツール群です。オンプレミスとAmazon EVS環境を接続し、シームレスな移行を実現します。


VMware HCXの最大の特長は「L2ネットワーク延伸」機能です。
これにより、オンプレミス側のネットワークセグメント(IPアドレス体系)を、そのままEVS側に延伸できます。移行対象のVMのIPアドレスを変更する必要がありません。
さらに、「HCX vMotion」機能を利用すれば、オンプレミスで稼働中のVMを、ダウンタイムなし(無停止)でAmazon EVS側へライブマイグレーションすることも可能です。

  • IPアドレスの変更が許容されないレガシーシステムがある
  • 移行スケジュールがタイトで、ダウンタイムを最小限にしたい

このような場合に、VMware HCXは有効な移行方式の一つとなります。

出典:“ハイブリッド クラウド拡張機能 (HCX) を使用してワークロードを VMware Cloud on AWS に移行する”.AWS サイト.2019年5月7日.

(参考)Nutanix環境を活用した移行:NC2 on AWS

VMware環境からの移行において、Amazon EVSと同様に「IPアドレスを変更せずに移行したい」という要件を満たすもう一つの選択肢が、NC2 on AWS (Nutanix Cloud Clusters on AWS) です。


これは、AWS上にNutanix環境を構築し、そこへ仮想サーバーを移設する方式です。

  • Nutanix Moveによる移行:
    専用ツールにより、VMwareからNutanix環境への変換を伴う移行を自動化できます。EVSとは異なり基盤(ハイパーバイザー)の変換作業は発生しますが、IPアドレスを維持したまま移行できる点は大きなメリットです。
  • 一元管理:
    オンプレミスとAWS上のNutanix環境を一つの管理画面(Prism)で一元管理できます。

すでにオンプレミスでNutanixを利用している場合や、今回の移行を機にNutanixへ基盤を乗り換えたい場合には有効な選択肢となります。


ただし、「VMwareの環境そのものを一切変えずに、そのまま移したい」という場合には、変換作業のいらないAmazon EVSが唯一の選択肢となります。

【比較】Amazon EC2への移行パス(リホスト)

次にご紹介するのは、『Amazon EC2』への移行、すなわち『リホスト』です。


Amazon EVSが「VMware環境ごと持ち込む(リロケート)」であるのに対し、EC2へのリホストは「VM(OSとアプリケーション)だけを持ち込む」方式です。VMware基盤(vSphere, vCenter)から移行し、AWSネイティブのIaaS(EC2)上でシステムを稼働させます。

Amazon EC2移行が適しているケース

Amazon EC2への移行は、以下のような場合に適しています。

  • VMware環境の維持(ライセンス、運用)を必須要件としない。
  • インフラの運用管理(パッチ適用、障害対応)の負担を軽減したい。
  • 移行を機に、アプリケーションのモダナイゼーション(クラウドネイティブ化)を本格的に進めたい。
  • VMの数が少なく、ライセンス(Windows Server, SQL Server等)をAWSのBYOLやライセンスインクルードで最適化したい。

AWS Application Migration Service (MGN) を用いた移行

AWS MGN (Application Migration Service)は、AWSが提供するリホスト移行のための推奨ツールです。


オンプレミスのVMware環境や他社クラウドで稼働するサーバーに「AWS Replication Agent」をインストールします。このエージェントが、サーバーのデータを継続的にAWS側の「ステージング領域」にレプリケーション(複製)します。


移行の準備が整ったら、管理コンソールから「カットオーバー(本番切り替え)」を実行すると、ステージング領域のデータを元に、AWS(EC2)側で本番インスタンスが起動します。カットオーバー時のダウンタイムを数分程度に抑えることが可能です。

出典:“VMware 仮想マシンを AWS Application Migration Service レプリケーションエージェントを利用して Amazon EC2 に移行する”.AWS サイト.2024年5月7日.

AWS Backupを利用した移行

AWS Backupは、オンプレミスのVMwareワークロードのバックアップにも対応しています。
AWS Backupエージェントを介してVMware環境(vCenter, VM)のバックアップをAWS Backupで取得し、そのバックアップデータを「Amazon EC2インスタンスとしてリストアする」機能を利用した移行方式です。

出典:“AWS Backup で保護した VMware 仮想マシンを Amazon EC2 としてリストアする”.AWS サイト.2024年5月16日.

VM Import/Exportを利用した移行

VM Import/Exportは、オンプレミス環境で作成した仮想マシンイメージ(VMDK, VHD, OVAなど)をAmazon S3にアップロードし、そこからAmazon EC2で利用可能なAMI(Amazon Machine Image)に変換する機能です。
シンプルな機能ですが、手動での作業が多く、システムを停止してイメージをエクスポートする必要があります。

Amazon EC2移行の考慮点

Amazon EC2へのリホストは、VMware基盤から脱却できるメリットがある一方、Amazon EVSへの移行にはない考慮点があります。

  • ドライバの入れ替え: VMware Toolsをアンインストールし、AWSのEC2用ドライバ(ENA, NVMe)をインストールする必要があります。
  • ネットワーク変更: IPアドレスやホスト名が原則として変更されます。アプリケーション側の設定変更が必要になる場合があります。
  • 運用設計の変更: VMware特有の機能(vMotion, DRS, HA)は当然使えなくなります。可用性やスケーラビリティは、AWSのAuto Scaling, ELB, マルチAZ配置など、AWSネイティブの機能で再設計する必要があります。

これらの運用変更や設計変更のコスト、学習コストを抑えたい場合、Amazon EVSも有力な選択肢となります。

(参考)その他のワークロード移行

VM全体の移行だけでなく、VDI(仮想デスクトップ)やデータベースといった特定のワークロードを個別に移行するパスも存在します。

Amazon WorkSpaces Coreを利用してHorizon環境を移行する

オンプレミスでVMware Horizon(VDI)を利用している場合、Amazon WorkSpaces Coreを利用してVDI環境をAWSに拡張・移行できます。
これはVDIの管理プレーン(Horizon)はそのまま利用し、デスクトップの実行基盤(インフラ)だけをAWS(WorkSpaces)に移行する方式です。

出典:“VMware Horizon の Amazon WorkSpaces Core への拡張”.AWS サイト.2023年3月9日.

Amazon RDSにデータベースを移行する

AWS Database Migration Service (AWS DMS)を利用することで、オンプレミスのVMware上で稼働しているデータベース(Oracle, SQL Server, PostgreSQLなど)を、AWSのフルマネージドデータベースサービスであるAmazon RDSに移行できます。

出典:内山 義夫“[AWS Black Belt Online Seminar]AWS Database Migration Serviceサービスカットシリーズ”.P12.2021年2月16日

前述の通り、Amazon EVSへVM(Web/APサーバー)を移行し、DBだけDMSでRDSへ移行する、といったハイブリッドな構成も効果的です。

まとめ:VMware移行の新たな選択肢「Amazon EVS」

本記事では、Broadcom社によるライセンス体系の変更という大きな転換期においてVMwareからAWSへ移行するための主要なパスを解説しました。


数ある選択肢の中でも、2026年現在、「スピード」と「確実性」を最優先とする企業にとって、Amazon EVSは有力な選択肢となります。
特に、以下のような課題を持つお客様には、Amazon EVSの活用をお勧めします。

  • ライセンス更新やハードウェア保守期限が迫り、極めて短期間での移行が必要な方
  • IPアドレスの変更が許容されず、変換リスクをゼロにして「そのまま」移したい方
  • これまでのVMware環境での運用プロセスや、使い慣れた管理ツールを継続したい方

Amazon EVSは、VMware環境を一切変換せずに移行できるAWSでは唯一のサービスです。そのため、移行に伴う不具合のリスクを最小限に抑えながら、迅速にクラウドへ退避(リロケート)させることが可能です。

3年先を見据えた「戦略的な足がかり」

VMwareの新たなライセンス体系や、物理サーバーの一般的な更新サイクル(5〜6年)を考えると、Amazon EVSで「時間を買う」という選択は非常に合理的です。


まずはAmazon EVSへ確実に移行することで、ハードウェアの保守や調達の悩みから解放されます。


そして、クラウド化によって生まれた「3年の猶予」を使い、将来のAmazon EC2等への最適化をじっくりと進めることも可能になります。この「確実に移設してから、計画的に最適化する」という段階的なアプローチをとれることが、Amazon EVSの強みです。


ただし、Amazon EVSは自由度が高い反面、最適なネットワーク設計やリソース管理には、AWSとVMware双方の深い知見が求められます。


この「自由度の裏側にある実務」を確実に遂行できる実績のあるパートナーと共に歩むことが、プロジェクトを成功に導く鍵となります。

富士ソフトが「Amazon EVS」移行をサポートします

富士ソフトは、長年にわたるオンプレミスVMwareの構築・運用実績と、AWSプレミアティアサービスパートナーとしての豊富なクラウド移行実績の両方を兼ね備えています。


これまでのVMware on AWS移行支援で培ってきたノウハウを、Amazon EVSの導入支援にも活かしています。


Amazon EVSのような新しいサービスへの移行は、vSphere/NSX-Tの深い知見、AWSネットワーキング(VPC, BGP)、そしてHCXによる移行ノウハウなど、オンプレミスとクラウド双方の複合的なスキルセットが求められます。

  • 「自社環境がEVSに移行できるか、アセスメントしてほしい」
  • 「EVS /NC2 /EC2 のどれが自社に最適か、専門家の意見が聞きたい」
  • 「移行に必要なコストやスケジュールの見積もりがほしい」

当社は、こうしたお客様の課題を解決する「Amazon EVS 導入支援サービス」を展開しています。VMware移行に関するどのようなお悩みでも、ぜひ一度、富士ソフトにご相談ください。

この記事の執筆者

北村 明彦Akihiko Kitamura

ソリューションビジネスユニット
ソリューション事業本部
インフラ事業部
主任 / フェロー

AWS クラウド デジタルトランスフォーメーション