今、注目のデータ交換プラットフォームとそのビジネスへの活用

データ交換プラットフォームに注目する理由

注目を集める「データ主導経済」とは

総務省による「平成29年版情報通信白書」では「データ主導経済と社会変革」という特集が組まれています。その中で注目されているキーワードが「ネットワークとデータが創造する新たな価値」です。
SNSやFinTechなどのサービスが急速に普及した背景としては、既に高速なネットワークが存在し、その上に認証や課金、決済といったプラットフォームが用意されたことが考えられます。このプラットフォームを利用して、ゲームやSNSに代表される便利なツールなど多くのアプリケーションが開発され、利用者も多く集まりました。
一社だけでアプリケーションからネットワーク、端末まで用意するにはコストも時間もかかりますが、既存のプラットフォームを利用することで導入のハードルが下がります。

一方で、あらゆるモノがインターネットに繋がるIoT時代においては、取得したデータの利活用が求められています。データを分析するだけでなく、付加価値を創造して流通することがトレンドになりつつあるのです。

企業がデータを公開するメリット

これまで、企業が保有するデータは社内だけで取り扱うことが常識でした。個人情報については適切に取り扱うことが求められますし、設計データや会計データなどは他社と差別化するために機密情報として扱われてきました。
しかし、ビッグデータという言葉に代表される大量なデータの存在や、コンピュータの処理能力の向上によりデータを分析する効果に注目が集まっています。『官民データ活用推進基本法』が2016年12月に成立したこともあり、今後オープンデータが増えていくことが考えられます。
これに伴い、企業でも自社が持つデータを公開する流れが生まれています。個人・企業・政府などが発信するさまざまなデータを組み合わせることで、これまでは実現できなかった課題解決が期待できるかもしれません。

注目のIoT基盤ソフトウェア「FIWARE」とは

FIWAREが注目される理由

企業間でデータをやり取りする場合にも、プラットフォームがあると便利です。つまり、IoTなど多種多様な手段で収集したデータを一括で管理・運用し、利活用を促進するデータ流通の仕組みが用意されていると、個別にデータ管理などの基盤を用意する必要がありません。
ヨーロッパでは、EU諸国を中心にこのような特徴を持った「FIWARE」が開発・実装されています。FIWAREはオープンソースのプラットフォームであり、自治体や企業などが参加しているだけでなく、ヨーロッパ以外の地域にも広く普及しています。
FIWAREは、機能ごとに分かれたソフトウェアが汎用的に作られており、モジュールを⾃由に組み合わせて利⽤できます。このため、変化にも柔軟に対応でき、ビジネスの状況に応じてカスタマイズできます。

https://forge.fiware.org/plugins/mediawiki/wiki/fiware/index.php/Overall_FI-WARE_Vision より作成

APIの公開だけではないデータの価値

これまで、企業が持つデータを外部に公開する方法として、API(Application Programming Interface)を提供することが一般的でした。仕様を公開することで、その企業が持つデータにアクセスでき、便利なアプリケーションも開発されています。
一方、FIWAREは、APIを用意するだけでなく仕様を整理し、他のサービスに渡すインターフェースや、データのIDを管理する仕組みなどを用意しています。つまり、データモデルを設計する際の命名規則などを標準化するだけでなく、分散データ管理なども可能にし、最終的にはシステムを横断するアプリケーションの開発が容易になると、データの利用価値を高めることが期待できます。

ビジネスにデータ交換が活用されている事例

保険会社における情報交換の大切さ

損害保険業界では、「実際に発生していない事故が起きたように見せかける」「実際に発生した損害以上に請求する」といった不正請求が大きな問題となります。不正請求が行われることにより保険会社が払う必要のない保険金を支払ってしまうだけでなく、保険制度自体が崩壊する可能性もあります。
そこで、損害保険会社などは、契約の締結や存続の判断、保険金支払いの判断などの参考として、契約内容や事故状況、保険金の請求内容などにおける個人情報を共同利用する制度を実施しています。

データの標準化でEDIを変える

小売業などにおいて、データの交換や情報の共有をスムーズに行うことは業務の効率化だけでなく、消費者へ付加価値の高い情報を提供できることにも繋がります。ただ、データ交換に使われるEDIの仕様が各社で異なると、その仕様に対応するために膨大なコストがかかります。
そこで、この業務におけるデータのやり取りを高速かつ低コストで実現するために多く使われているのが「流通BMS」です。流通BMSを使うことで、小売業だけでなく、卸やメーカーも含めて共通のデータ形式でやり取りできます。これにより、業務の効率化だけでなく、経理状況を見える化でき、流通全体においてコストが削減できます。

「官」の持つデータが「民」に活力を与える

官公庁が持つデータの中で、個人情報に関するものは機密性が求められますが、公的に調査したデータや統計データのように公開可能なデータも存在します。
自治体などが保有するデータを民間が二次利用可能なオープンデータとしてFIWAREなどのプラットフォーム上で公開することが始まっています。
たとえば、自治体が持つ保育園の情報をAPIで公開し、民間が独自に保有する保育園の情報と組み合わせ、地図上に表示・検索するサービスを提供するなど、自治体だけでは実現できなかったことを実現することが可能になります。
また、民間は広告収入のほか、システムで得られたデータを新たなビジネスに活用するなど、オープンデータは民間にも活力を与えることができます。

このように、企業間のデータ交換を円滑にするプラットフォームが求められているのです。

 

山本 祥正
山本 祥正(Yoshimasa Yamamoto)

執行役員
ソリューション事業本部 副本部長

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