要素技術をつめこんだ「コミュニケーション ロボット PALRO」成長の軌跡

高齢者福祉施設で活躍するコミュニケーションロボット PALRO

当社のコミュニケーションロボット PALRO(パルロ)は、高齢者福祉施設を中心に、全国1,300以上の施設で活躍しており、様々な場面でご利用者様や施設スタッフの方々のお役に立っています。

例えばレクリエーションの時間には、PALROが高齢者の皆さんをリードして、歌や踊り、簡単なゲームなどを一緒に行って、頭を働かせたり身体を動かしたりするお手伝いをしているのです。そのレパートリーは歌だけでも120曲以上、レクリエーションの体操やクイズを入れると全体では数百にもなり、さらに施設によってはカスタマイズして独自コンテンツをPALROに覚えさせているところもあります。ちなみにPALROは落語のレパートリーも持っていて、おなじみの「寿限無」も演じることができます。

レクリエーション以外の時間も、PALROは高齢者の皆さんと様々なコミュニケーションを図っています。例えば、「体操はやりましたか?」「ごはんは食べましたか?」などの問い掛けをして、相手の方がご自分で考えたり気付いたりするきっかけを提供しているのです。PALROがもたらした気づきや思考から、人間同士の会話が弾むといったことも多く見受けられます。PALROが高齢者の皆さんの思考や会話を促すことで、生活機能の維持向上につながる、といった研究結果も出ています。

施設のご利用者の方々に対してだけではありません。職員の方々にとっても、PALROは役に立っています。「何らかの用事で一時的に高齢者の方から離れるとき、PALROが職員に代わって相手をしてくれるので安心できる」とよく言われます。

AIやロボットの要素技術を集めた実験用器具として誕生

PALROは、最初から高齢者福祉施設で働くことを想定していたわけではありません。社内や産学連携で研究してきた音声認識、画像認識、自然言語処理、各種センサー技術など人工知能(AI)やロボット関連の要素技術を実験用器具として具現化しよう、という企画が持ち上がりました。これが、PALRO誕生のきっかけです。

そうしてある程度の形ができ、2010年3月からは、ロボット工学やロボットの社会用途性を研究されている教育機関や研究機関に提供するようになりました。当社は1989年から主催している「全日本ロボット相撲大会」を通じて、研究者や学生の皆さんとご縁があるので、まずアカデミックな領域で活用してもらったのです。

PALRO自身が自分で判断して動くようになり、高齢者福祉の現場へ

当社では要素技術のひとつとしてPALROの知能の開発を進めてきており、2011年頃にはようやくビジネスを目標とできる程度のコミュニケーションが実現できるようになりました。

PALROに使われている要素技術、例えば音声認識や顔認識は、それぞれ個別に開発されたソフトウェアモジュールです。しかし、私たちが目指すロボットは単に各モジュールを搭載するだけでは完成しません。様々なモジュールで認識した結果を受けて総合的に判断し、どのような行動をするかを決定することが重要です。各モジュールは社内だけでなく社外からも入手することは可能ですが、それらのモジュールを組み合わせた中心的な部分、判断するコアとなる部分のソフトウェアだけは私たちの手で作る必要がありました。そこを開発したことで、ようやくPALROは自分で動くことができるようになったのです。

こうして研究開発に一定の目処がついたことで、私たちはビジネス化を目指してPALROが活躍できる場を探すことにしました。その一つが、冒頭に紹介した高齢者福祉の現場です。実際の施設に持ち込んで試してみたところ、当時のPALROはほとんど何もできない状態だったにもかかわらず、良い手応えを感じました。そこで、PALROの高齢者福祉向けモデルを開発することにしたのです。提供開始は2012年6月のことでした。

PALROはその後、ソフトウェアやハードウェアを段階的にアップグレードし、高齢者福祉の現場で役に立つスキルを身に付けてきました。2013年にはレクリエーションができるようになり、以後そのレパートリーを順次拡充。また、持ち運んで使えるように外部増設バッテリー対応や内蔵バッテリー容量倍増などの進化を遂げました。2015年には、より柔軟な動きができるように人間でいう肩甲骨を動かせるようにアクチュエーターを追加しました。

PALROの能力が高齢者福祉分野で果たす役割についての研究も進んできています。2017年には、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development:AMED)による実証試験を通じてPALROの効果が確かめられました。こうした流れを受け、厚生労働省が補助金を出して導入支援する介護ロボットの活用用途として、それまでの「見守り」に加え「コミュニケーション」を認めてくれるようになりました。

PALROの活躍の場は他にもあります。教育現場などでの実証も経験し、子供たちが高い関心を示してくれることも分かりました。2018年には家庭用として、家族が高齢者にプレゼントすることを想定した「PALROギフトパッケージ」も発売しています。今後もコミュニケーションロボットPALROは、高齢者福祉の現場を中心に活躍の場を広げていきます。

PALROについて、詳しくはこちら
https://palro.jp/

 

杉本 直輝
杉本 直輝(Naoki Sugimoto)

プロダクト事業本部 PALRO事業部
事業部長

この記事を読んだ人はこちらの記事も読んでいます。