Salesforce(セールスフォース)はノンプログラムで業務に合ったシステムを構築できるため、多くの会社で使われています。SFA(営業支援)だけでなくCRM(顧客関係管理)分野においても最先端のテクノロジーを取り入れ続けていますので、Salesforceを導入することで、世界基準の業務プロセスのノウハウを享受できます。様々な変化に対するスピーディな対応を価値と考える会社には、非常に有用なツールです。

日本では、Salesforceの導入をソフトウェア会社に支援してもらうことが一般的です。一方、自力で「もっと使いたい」「使い倒したい」というご相談も多数いただきます。そこで始まったのが、「Salesforce自習室」※です。Salesforce自習室とは、Sales CloudやService Cloudなど、Salesforceを導入しても活用できていないという悩みを抱える管理者の方に向けて、当社とセールスフォース・ドットコム社が協力して開催する学びの場です。

Salesforce自習室に参加された方の課題を整理してみると、いくつかの共通点が見えてきます。今回はそれらの共通点を5つに分類して、業務の効率化ツールとしてSalesforceを活用する際に考えるべきことをご紹介します。導入を検討している方にも参考になると思います。

1. Salesforceを使って何をしたいのか? 会社のあるべき姿

一般的にシステムを導入する場合は、製品の仕様や活用方法などについて、実際に「使用する人」「管理する人」が要望をある程度一致させてから導入します。しかしSalesforceを導入する場合は、会社の導入目的や、Salesforceで実現できること、機能などが理解されないまま導入が決められ、会社として目指す姿やあるべき理想の姿を担当者が語れない状況が発生してしまうことも多いようです。Salesforce自習室でも、「どうして入れたのかわからない」「どう使えるのかわからない」という発言がよく聞こえてきます。

Excelのようなデータ管理を目指しSalesforceを導入してしまうと、いざ運用が始まってから「Excelみたいな使い方をしたい」「個々で好きなようにカスタマイズしてくれればいいのに」など営業業務の効率化という導入目的とは矛盾した要望が出てしまいます。Salesforceはプログラミングの知識がなくても簡単にシステムを変更できるという特徴がありますが、その簡単さゆえに、Excelと同じような使い方ができると勘違いしてしまいがちです。個々の利用者が一部をカスタマイズしたつもりでも組織全体のシステムとしての変更になります。SalesforceとExcelの違いを分かった上で導入することが重要です。

Salesforceでできることを理解した上で、実際に「使用する人」と「管理する人」の意見をすり合わせ、Salesforceにおける「会社のあるべき姿」という道標を形作り浸透させることがSalesforce導入における最初の通過点となります。道標を形作らないまま導入し、他社の真似をするだけでは、「Excelと同じように使いたいのにできない」「使えない」ということになりかねません。回り道に見えるかもしれませんが、まずは「組織のあるべき姿」の追求を導入目的にするべきです。

2. 誰が面倒みるの? 組織的なメンテナンス体制

「会社のあるべき姿」を目的としSalesforceを導入しても、その後の運用が考えられていないという状況もよく聞きます。多くの会社では、業務範囲が小さいうちは、業務効率化の取り組みの一環として、マクロなどで内製ツールを作りメンテナンスしています。しかし、業務範囲が拡大すると、複数の業務を横断して管理する必要が発生し、内製でできる範囲が限界を迎えてしまいます。そのため、実際に使用する現場の営業担当者や事務担当者が主導してSalesforceを導入することが多いようです。

内製ツールと同じようにマクロの延長としてSalesforceを導入した場合、メンテナンスについても従来と同じ方法で実施しようとします。これまでのツールは個々の業務の効率化という狭い範囲で仕様を考えればメンテナンスも可能でした。しかし、Salesforceのメンテナンスは組織全体の業務プロセスに影響するため、運用の権限、体制、方向性など、すべてにおいて「組織としての取り決め」が重要となってきます。Salesforce自習室にも担当者として権限を与えられていないまま参加される方もいらっしゃいますが、「いろいろ機能を教えてもらったけど、結局仕様を決めることができない」という状況が発生しています。

Salesforceのメンテナンスはロジックの決定、項目の追加・削除、レポートテンプレートの作成など多岐にわたります。すべての内容に対して、組織の長との方向性の一致や、実際に「使用する人」と「管理する人」との合意形成などの泥臭い作業は避けられません。したがって、Salesforceのメンテナンス体制は、強力なリーダーシップを持った人物が中心となり、各部門のキーパーソンを取り込んだ部門横断型のチームである必要があります。
Salesforceのメンテナンスは、組織としてのSalesforce活用への取り組み方を示し、実践することです。地味で根気のいる作業なのですが、よりよいSalesforce環境を維持するためには、とても重要です。

3. この情報は誰のもの? 情報共有の文化の重要性

「会社のあるべき姿」が明確であり、メンテナンス体制が形成されてもなお、活用に課題を抱える参加者がいらっしゃいます。よく耳にする内容として、「Salesforceにデータを入力してくれず、情報が蓄積されない」という問題があります。例えば、日本の営業活動を行う上で必須である名刺情報が入力されていない、といった相談も多いです。

「入力の負荷が高い」ということを名刺情報が入力されない原因と考えている方が多く、「項目を選択肢にしたい」「自動で入力される様にしたい」といった機能面での要望が出ます。しかし、機能面の解決だけで営業活動のすべての情報をSalesforce上に蓄積するには限界があり、依然として問題が残ってしまうケースが多いようです。

様々な要因があるとは思いますが、共通しているのは「情報共有の文化が形成されていないこと」だと分析しています。営業担当者としては、情報を独占した方が個人の営業成績向上につながり、組織内の評価も上がります。情報を共有してしまうと、他の営業担当に案件を取られてしまう可能性も出てきます。しかし、本来、営業担当者は会社の代表であり、名刺交換などで得た情報は共有し、信頼関係は会社間で築かれるものと認識されるべきです。まずは、社員に会社の代表であることを意識付けさせることに取り組むべきではないでしょうか。

意識付けの方法としてSalesforce自習室でよくアドバイスしているのは、「情報入力数に対するインセンティブ付与」または「人事評価項目に追加」です。ありふれた施策と思うかもしれませんが、「情報は会社の所有物である」という意識を浸透させる目的の施策はあまり見かけません。また単にインセンティブや評価のしくみに組み込むだけでなく、会社全体の意識を変えることが「情報共有の文化」の形成につながります。

4. 情報集めて何に使うの? 具体的な行動につながる分析

情報を入力していても、上手く活用できていない会社も多いようです。Salesforce自習室では「Excelではこういう項目で管理していたが、Salesforceのレポートではどう表現すればいいのだろう」という質問が多くあります。

Excelの分析とSalesforceの分析では、データの粒度が大きく違います。Salesforceはあらゆる情報と営業の行動が紐づいており、「どの営業」が、「どの取引先」に、「いつ」、「誰と」、「どこで」、「どの商材・案件」に関して、「会話の内容」と「問題点・宿題」は何か、といった様々な軸で分析できます。行動の積み重ねが案件を生むのであれば、行動を正しく行うことで案件の数が増え、受注率向上につながり、最終的にはビジネスの成長に貢献できるはずです。

データの粒度の違いによる分析方法にお困りの方には、「営業の行動指標を定めることから始めませんか?」とお伝えしています。例えば、訪問1回当たりの売上単価と年度目標額から逆算して目標訪問回数を算出し、不足があれば訪問件数が足りないのか、訪問の質が足りないのか分析できます。このように分析結果を、即座に次の行動につなげるリアルタイムなデータ活用がSalesforceでは可能なのです。

5. 課題と問題を明確にできている? 製品知識の価値

Salesforce自習室でいただく質問の中で難しいのは、「見込み客の管理ができていないからリード機能を使いたいが、使い方がわからない」といった、Salesforceの機能の使い方に関する質問です。

使い方とはすなわち、「業務への組み込み方」という質問に言い換えることができます。リード機能の使い方についての質問の場合、「見込み客の管理」という業務から始まり、「管理して何を得たいのか」という目的、「なぜ管理できていないのか」という課題までをヒアリングして、当社が有するSalesforceの製品知識と運用経験に照らし合わせ、「業務への組み込み方」を答えることが可能になります。

病院での診察でもそうですが、「お腹が痛い」という症状があった場合、食べ過ぎなのか、胃潰瘍なのか、食べ合わせの問題なのか、はたまた、食生活の乱れからくる生活習慣病ということも考えられます。医者は医療の知識を使って病気の症状と病気の種類を見定め、病気の治療(正しい解決方法)を提示します。この時もしも病院に行かず、自己流などの間違った解決方法をしてしまったら、どうなるでしょうか。

Salesforceの活用も同様です。業務の内容(病気の症状)と根本課題(病気の種類)を見定め、解決方法(病気の治療)を実行するためには、幅広いSalesforce製品の知識が不可欠です。Salesforce自習室でも「その機能は、目的に対する課題の解決にならないのではないか」と指摘され、本当の課題に気づいて帰られる人が多くいらっしゃいます。「何から始めればいいのか」「どうしたらいいかわからない」という状況でも、まずはSalesforce自習室にいらしてみてください。Salesforceの各機能と使い方を知ることで、解決すべき課題を見つけて持ち帰っていただくことも自習室活用のひとつの形です。

当社はSalesforce自習室で、より実践的なSalesforce製品の知識を蓄積、提供しています。「Salesforceについて困っている」「Salesforceを活用したい」「もっと使い倒したい」という方に向けた自習室ですので、自由に勉強していただけます。疑問点や問題は、経験豊富な講師が丁寧にアドバイスしますので、ぜひお気軽にお越しください。

※Salesforce自習室は、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、現在開催を見送らさせていただいております。再開時期につきましては社会情勢を見て検討していきます。

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佐藤 桂太郎佐藤 桂太郎(Keitaro Sato)

ITコンサル室
主任 / シニアマスター

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