できることから始める金融デジタル化 ~ 窓口業務の「ゼロ線化」に取り組む肥後銀行様

金融業界に押し寄せるデジタル化の波

今、金融業界全体がDX(デジタルトランスフォーメーション)に向けて大きく動き始めています。この取り組みをリードしているのは言うまでもなくメガバンクですが、系列の信託銀行のほか、地方銀行や信用組合(信組)もその動きに追随しようとしています。

地方銀行や信組といった比較的小規模な金融機関は、「世の中はどんどん進んでいるのに、なぜうちの銀行だけ業務のデジタル化が遅れているのか」など、株主や顧客、さらには行内の従業員からも常に“突き上げ”を受けている状況です。デジタル化による効率化やそれによる少子高齢化対策、新たなお客様サービスの提供など、単に「格好つけ」以上のデジタル化に取り組む必要性があります。

中規模・小規模な金融機関にとって、すぐに本格的なDXに乗り出すのは困難です。一般的に金融機関は5~10年といった長いライフサイクルのもとで勘定系を中心としたITシステムの更改を行います。このためその途中で投資計画を変更することは不可能に近いのかもしれません。

熊本県の肥後銀行様も、まさにそういう状況にあります。現在、肥後銀行様の窓口では、店舗を訪れたお客様が手書きで申請書に記入し、その申請書類を行員が受け付け、内容をチェックし、営業店システムに入力するという、ごく一般的な窓口業務の流れで進んでいきます。

もちろん肥後銀行様も、こうした紙の申請書類を起点とした窓口業務からの脱却、DXの推進を目指しています。実際に次期営業店システムでは、お客様用タブレットの導入と、スマホアプリとAPI連携したペーパーレスのワークフローによる完全デジタル化の実現で、窓口業務の効率化およびカスタマーエクスペリエンス(顧客体験価値)を向上するというTo-Be(理想像)を描いています。大規模なシステム更改が必要になりますが、問題は、完全デジタル化では業務の大幅な見直しが必要となるため、すぐにでも着手可能な手元のデジタル化が遅れてしまうことなのです。

肥後銀行様とタッグを組む、窓口業務「ゼロ線化」へのアプローチ

肥後銀行様と当社の金融事業本部は、2019年6月頃からDXへの課題を解決すべく、綿密な協議を重ね、タッグを組んで「できることからDXを進める」ことにしました。

まず取り組んだのが、窓口業務「ゼロ線化」へのアプローチです。銀行では慣習的に、窓口カウンターを第一線、その後方を第二線と呼んでいます。ゼロ線化とは、第一線よりもっと手前の待合ロビーに行員が出てきて、お客様と会話しながらさまざまな手続きをサポートするものです。待合ロビーで接客する行員がタブレットを持ち、新規口座申込や入金、送金、各種届出(住所変更、名義変更、氏名変更等々)など、お客様が目的とする手続きの申請書類への入力を一緒に行うシステムを開発しました。

例えば、新規口座申込と同時にキャッシュカードを申し込む場合、複数の申請書類に何度も住所と名前を書く必要がありました。タブレットで一括入力することで、そうした面倒な手間は削減されます。さらに、入力が完了した申請書類のデータをQRコードで連携できる機能を実装しました。このQRコードを第一線の窓口カウンターの行員が読み取ることで、既存の営業店システムにダイレクトにデータが入力される仕組みです。

システムの特長は、既存の営業店システムや窓口業務のワークフローに一切変更を加えずに実現していることです。申請書類へ記入するプロセスを変更しタブレット入力に変えるだけで、お客様とコンタクトする最前線でDXを実現することができました。

もちろん従来どおり、紙の申請書類でも手続きできます。本格的に営業店システムが更改され完全デジタル化が達成された後も、この窓口業務「ゼロ戦化」のシステムは無駄なく活用することが可能です。

成功要因は課題と等身大のソリューションがかみ合ったこと

肥後銀行様とともに開発している本システムは技術的な難易度も低く、開発コストを最小限に抑えることができました。実質的な開発期間も3カ月程度です。この手軽さゆえに本システムは肥後銀行様のCan-Be(現実解)となりました。

「タブレットを使ってお客様に対応すれば、肥後銀行を見る世間の目もずいぶん変わると思うけど、ハードルは高いよね」

「いえいえ、決してそんなことはありません。やりましょう」

実は本システムの開発は、肥後銀行様とのこんなやりとりから始まりました。肥後銀行様がすぐにでも解決したいと切望していた課題と、富士ソフトが提供する等身大のソリューションが、しっかりかみ合ったことが最大の成功要因です。

肥後銀行が本システムのローンチを予定しているのは2020年秋頃です。それに先立ち、2019年10月に開催された「FIT(金融国際情報技術展)」に出展しました。多くの銀行や信用金庫などの金融機関の皆様から、「我々が望んでいたのは、まさにこんなシステムだ」と高い評価をいただきました。

富士ソフトは、金融DXへの第一歩は決して困難ではないことを訴求し、より多くのお客様の課題解決を支援してまいります。

●窓口業務デジタル化について
https://sem-inq.fsi.co.jp/public/application/add/99

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私たち富士ソフトは、最先端のテクノロジーを駆使し、金融業界に携わる企業様の、様々な業務課題の解決に向けた技術サポートを、ワンストップで提供しています。

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  小川 剛弘小川 剛弘(Takehiro Ogawa) 金融事業本部 金融営業部 ビジネスデザイングループ 課長 / エキスパート
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