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WindowsとMicrosoft Officeのバージョンアップに関する相互関係

Windows 10が一般リリースされて5年が経ちました。
Windows 8から10にバージョンアップするとき、Windows as a Services(WaaS)という言葉が使われ始めました。Windowsの提供をプロダクトからサービスへと舵を切る宣言がなされ、当初は3か月から4か月毎に新バージョンをリリースすると言われていました。現在では半年に1回のバージョンアップで落ち着いています。
同様に、Microsoft Officeも2013、2016、2019というバージョンがプロダクトとしてリリースされましたが、Windows 10と同様にサービス提供へと切り替わっています。
ブラウザもOSから切り離され、Chromium(クロミウム)というオープンソースのブラウザをベースにした Microsoft Edgeに変更されました。個別のスケジュールで 新機能のリリースが行われています。
その他、ユニバーサルWindowsプラットフォーム(Universal Windows Platform:UWP)アプリに代表されるWindows系アプリケーションもOSのバージョンアップとは切り離されリリースが加速されています。

このように、 Windows10世代のコンピューターはさまざまスケジュールで相互に絡み合いながらバージョンアップが行われています。マイクロソフト関連のサービスだけでも管理が複雑なので、実際には対応が追い付いていないというケースも多いのではないでしょうか。
今回はこのマイクロソフト関連サービスの「バージョンアップ」に焦点を当て、2020年9月時点の現状を説明します。

WindowsとMicrosoft Office、Microsoft Edgeのバージョンアップ

Windows 10

Windows 10は、半期チャネル(Semi-Annual Channel:SAC)では年に2回、春と秋に機能更新プログラムがリリースされます。
ここで述べている「チャネル」とは、提供パターンを指しており、利用者はチャネルを選択するとそのチャネルに即したバージョンが入手できる。という考え方になっています。
通常のサポート期間は18カ月ですが、EnterpriseとEducationのエディションでは、秋リリースバージョンのサポート期間が30カ月※となっています。両エディションは、ボリュームライセンスとして購入する必要があります。(サブスクリプションのMicrosoft 365でも利用が可能です)
直近のサポート状況は以下の通りです 。

Windows 10 サポート期限

バージョン Home、Pro系 Enterprise、Education
2004 2021年12月14日 2021年12月14日
1909 2021年5月11日 2022年5月10日※
1903 2020年12月8日 2020年12月8日
1809 2020年11月10日 2021年5月11日※
1803 サポート終了 2020年11月10日
1709 サポート終了 2020年10月13日

※最新の情報はこちらをご覧ください。
Windows ライフサイクルのファクト シート
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/13853/windows-lifecycle-fact-sheet

半年ごとの更新を望まない場合のために、長期サービスチャネル(Long Term Servicing Channel:LTSC)が用意されています。2017年以前は、長期サービスブランチ(Long Term Servicing Branch:LTSB)と呼ばれていました。Windows 10 Enterprise LTSC/LTSBではボリュームライセンスでの購入が必要となりますが、延長サポートを合わせて最大10年のサポートが行われます。このエディションは、機械のコンソール用途など、バージョンアップを頻繁に繰り返すと支障のあるケースで利用する特殊なタイプとなります。サポート期間中に機能更新は行われません。また、Microsoft 365 Appsがサポートされないなど、さまざまな制約があります。

バージョン メインストリームサポート終了日 延長サポート終了日
LTSC 2019 2024年1月9日 2029年1月9日
2016 LTSB 2021年10月12日 2026年10月13日
2015 LTSB 2020年10月13日 2025年10月14日

LTSC/LTSBでは自動的な機能更新はありませんが、 半期チャネルでは、サポート期限が近づくと自動的にインターネットを介したバージョンアップが行われます。そのため、コンピューターの台数など拠点の状況に応じたインターネット回線が必要となります。
バージョンアップに必要なモジュールはとても大きく、数GBに達するサイズとなっています。これらを端末ごとにインターネットからダウンロードしていると帯域が圧迫されてしまうため、通信の一部を組織内にある別のパソコンから配信させる「配信の最適化」といった機能も提供されています。

Microsoft Office

Microsoft Officeは、サブスクリプション版の「Microsoft 365 Apps」と、買い切り型の「Microsoft Office」があります。
Windows 10のサポートと大きく異なるのは、チャネルの多さです。

Microsoft 365 Appsでは主に3つの更新チャネルを提供しています。
 ・ 最新チャネル
 ・月次エンタープライズ チャネル
 ・ 半期エンタープライズ チャネル

最新チャネルは、最新機能が随時ユーザーに提供されます。月次エンタープライズ チャネルは1カ月に1回、半期エンタープライズ チャネルは年に2回、最新機能が提供されます。

更新手法は、Windows 10で利用されている配信の最適化機能を利用する、または組織内サーバーからの配信などから選択することができます。配信の最適化を利用した場合は差分配信となりますが、インターネットからデータをダウンロードする形式となり、サポート中は毎月更新プログラムが提供され続けます。

チャネル バージョン サポート期限 備考
現在のチャネル 2008 次バージョンのリリースまで 9月9日リリース
月次エンタープライズ チャネル 2007 2020年11月10日 サポート期間は2カ月
2バージョンまで
2006 2020年10月13日  
半期エンタープライズチャネル
(プレビュー)
2002 2021年3月9日  
半期エンタープライズ チャネル 2008 2021年9月14日 サポート期間は12カ月
1908 2021年3月9日  

現在サポートされているバージョン

Microsoft Officeは、Office 2016 / 2019からMicrosoft 365サービスへの接続がサポートされるのは2023年10月までとなります。延長サポート期間とは異なりますので注意してください。

バージョン メインストリームサポート 延長サポート
Office 2019 2023年10月10日 2025年10月14日
Office 2016 2020年10月13日 2025年10月14日
Office 2013 サポート終了 2023年4月11日
Office 2010 サポート終了 2020年10月13日

Microsoft Edge

2020年1月15日にリリースされたMicrosoft Edgeの提供チャネルは、Stable(広範な展開)・Beta(組織内での代表的な対象での検証)・Dev(計画と開発)・Canary(試験的な内容)の4つとなっています。
Stableチャネルは、最も安定しています。Betaチャネルで検証が完了したものが新機能としてStableチャネルに追加される、という流れで更新されます。
Betaチャネルは、組織内の利用環境で想定どおりに動作するかどうかを検証するために利用されます。
StableチャネルとBetaチャネルでは、それぞれ6週間に1回のペースで新機能が追加され、最新バージョンのサポートが提供されています。同じ機能群という観点では、BetaからStableまでの12週間程度のサポート期間になります。ただし、チャネルの変更には手動インストールが必要なため、通常は行うことはありません。
一般の利用者は、6週間ごとに新機能が提供される、と考えて計画を立てる必要があります。
これらの機能更新は、インターネットから自動的に更新ファイルがダウンロードされます。

Devチャネルは、1週間に1回、Canaryチャネルよりも高品質でリリースされ、Betaリリースの前にいち早く新機能を確認できます。
Canaryチャネルは、最先端で試験的な内容になっていて、毎日新機能がリリースされます。 ただし、問題発生のリスクを十分考慮して利用する必要があります。
Canaryチャネル、Devチャネルともにサポートはありません。

Microsoft Teams、OneDrive同期 アプリ、その他UWPアプリのバージョンアップ

Teams

Teams Web アプリは毎週、Teams デスクトップ クライアントは2週間ごとに新しいバージョンがリリースされます。
Microsoft Officeとは異なるタイミングで更新されますので、注意が必要です。
インターネットを通じて、最新バージョンが自動的にダウンロードされます。

OneDrive 同期 アプリ

OneDrive同期 アプリは、insider、生産リング(Production)、遅延リング(Deferred)の3つのパブリックリングがあり、それぞれ1~2週、2~4週、2~3か月ごとに新しいバージョンが提供されます。
Deferredリングは、最新バージョンの提供開始後60日まで導入を保留できますので、管理者がタイミングを見ながら最新版の導入を行っていくことができます。60日を超えた場合、もしくはMicrosoft社が重要と判断した場合は、インターネット経由で自動的に最新版が配信されるため、注意が必要です。

ユニバーサル Windows プラットフォーム(UWP)アプリ

UWPアプリはMicrosoft Store経由でインストールするアプリケーションですが、Windows 10に最初からインストールされているMicrosoft フォトや電卓などもこのUWPでの提供となっています。
これらのアプリケーションは更新タイミングが決まっておらず、スマートフォンのアプリケーションのように更新があった時に自動的にダウンロードされます。ただしMicrosoft Storeの設定で自動更新をオフにしておくことも可能です。
UWPは、Windows 10のOS機能やMicrosoft Officeと同様に配信の最適化の機能を利用できるため、更新時にインターネットの帯域を削減することも可能です。

最後に

このように、Windows、Microsoft Office、Microsoft Edge、その他マイクロソフト関連サービスのアプリケーションのバージョンアップタイミングはさまざまです。
マスターキッティングといった形でのオフラインバージョンアップは、もはや行うことが難しくなりました。どのように機能更新を配布すべきかを検討する必要があります。また、更新情報を常に把握しておくことも重要になります。
配信の最適化によって更新時のインターネット帯域負荷は軽減できますが、それぞれのバージョンアップに掛かる組織内ネットワークへの負荷は、数年前と比べると段違いに高くなっています。組織内ネットワーク環境にも十分な検討が必要です。

最新の技術を活用し、本来注力すべき業務の高度化、効率化につなげていくには、マイクロソフト関連サービスのバージョンアップへの考え方をトランスフォームする必要があるということです。
リモートワークの普及など、働き方や仕事への取り組み方がまさに変革しているこの時代、ITはより一層活用されていくこととなるでしょう。
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この記事の執筆者

三沢 友治Tomoharu Misawa

金融事業本部
フィナンシャルIT事業部 金融ソリューション部
副部長 /
エグゼクティブフェロー

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