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セミナーレポート 「複数のお客様事例から理解する、クラウドエコノミクスの効果と実践~正確なコスト比較で納得できるAWS移行を~」

デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進には、有効なクラウド活用が必要ですが、そこに立ちはだかるのがコストの壁です。今、クラウドのコストを総合的に定量化して検討するクラウドエコノミクスに注目が集まっています。
10月28日、アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社主催のオンラインセミナー「クラウド移行がもたらす経済価値の可視化~TCOの定量化を目指して~」が開催されました。その中で、「複数のお客様事例から理解する、クラウドエコノミクスの効果と実践」と題した、出堀 琢麻(富士ソフト株式会社ソリューション事業本部 インフラ事業部 クラウドソリューション部 第1技術グループ リーダー)のセッションをダイジェストで紹介します。

クラウド移行による経済的効果を定量化するクラウドエコノミクスの紹介

AWSへの移行に伴うコスト削減効果は20%~90%と紹介されました。これは、AWSジャパンが提供する、現行のオンプレミス環境からAWSのクラウド環境に移行した際の経済的メリットを定量化支援するプログラム「AWSクラウドエコノミクス(クラウドエコノミクス)」によって算出されたものです。

AWSクラウドエコノミクスは、ユーザーごとに個別に試算を行い、クラウド移行に向けた社内での議論や意思決定をサポートするためのサービスです。インフラコストの削減だけでなく、AWS移行によるITスタッフの生産性向上、可用性の向上、最新ITサービスの活用によるビジネス俊敏性という部分も含めて、クラウド移行への経済的価値を定量的に算出するものです。

クラウドエコノミクスの効果を最大限に引き出すには

富士ソフトは、AWSクラウドエコノミクスを活用したAWS移行支援サービスに注力しています。

富士ソフトは、2011年から「AWSソリューションプロバイダー」としてAWSの提供を開始。2020年5月にはAWSのパートナープログラム「AWSパートナーネットワーク(APN)」の最上位である「プレミアコンサルティングパートナー」として認定されています。さらに、10月には「移行コンピテンシー認定」を取得しており、AWSクラウドエコノミクスをはじめとして数多くのAWS移行サービスを実施してきた実績があります。

オンプレ環境からAWS環境へシステムを移行するにあたっては、「計画」「移行」「活用」という3つのステップが重要です。AWSクラウドエコノミクスは、計画立案フェーズにおいて活用し、移行前後の定量的なコスト比較を可能とするものですが、その際に、今あるものを単純に移行させるだけでは、AWS移行のメリットを十分に享受することはできません。

そこで富士ソフトでは、ユーザーの移行後のビジョンを明らかにしたうえで、計画の段階から移行後の活用までの移行計画を立案します。ITインフラをAWSに置き換え、AWSで提供されているさまざまなサービスを活用することで最適なシステムを構築、クラウドエコノミクスの効果を意識して行います。

クラウド移行計画作成の支援でユーザーの課題解決

富士ソフトでは、クラウド移行計画の作成支援の一環としてAWSクラウドエコノミクスを提供しています。「移行にかかる費用の正しい認識」「社内承認」「移行シナリオの策定」というAWS移行時にユーザーが直面しやすい3つの課題解決を絡めた形で実施します。

AWSクラウドエコノミクスでわかる費用はインフラ費用と人件費であり、すべての移行コストを明確化することはできません。実際にAWSへ移行する際には、その他にもインフラ費用、アプリケーション移行費、回線費、ライセンス費、運用費などユーザーごとに異なる費用も発生します。そこで富士ソフトでは、そのすべてを踏まえたうえで移行にかかる正確なコストを算出しています。

(画像1)AWSへ移行する際にかかるコスト

社内承認フェーズでは、経営層をはじめ既存システム、セキュリティ、アプリケーションなどの各担当者を納得させる必要があります。そこで、それぞれのステークホルダーに対して、AWS移行へのメリットや安全性、実現性について、移行実績も踏まえそれぞれの不安を解消させる根拠や導入メリットを提示します。また、導入による変更点に対する技術サポートなどの支援を行い、AWS移行への理解を促します。

削減効果を可視化するサービスを無償で提供

AWSへの移行シナリオを策定する際には、コスト削減以外の4つのメリットを示し、どのように実現するかを支援します。

1つめ「運用負荷の低減」

運用の負荷は、既存のサーバーをAWSが提供するマネージドサービスに置き換えることで、運用メンテナンスのコストが軽減されます。AWS上で実際にシステムが動くのかという不安を解消するため、PoCで確認してから移行します。

2つめ「サーバー/ライセンスの最適化」

既存サーバーの使用率に応じたサイジングをすることで、AWS上でのサーバー性能の最適化を図ります。また、AWSに移行するタイミングで、データーベースを統合するなどミドルウェアのライセンス数を削減することで、コスト削減を実現できます。

3つめ「自動化」

AWSに移行することで運用やインフラ構築を自動化できるようになり、大きなメリットになります。

4つめ「システムの標準化」

長年の運用過程で既存システムが複雑化しているケースも多くみられます。AWSへ移行する際に標準化することで、いわゆる“スパゲティ化”からの脱却が見込めます。

 業務やデータ、システムの特殊性、システム基盤の共通性や周辺システムとの関連性などを検討し移行シナリオを立案します。移行計画の段階でそれらをしっかりと検討することで安心安全な移行を実現できます。

(画像2)移行計画時に検討すべき項目

富士ソフトのクラウド移行計画立案サービスは ステップ1「削減効果可視化(コストの可視化)」 ステップ2「移行計画作成支援」
ステップ1は無償、ステップ2まで約2カ月で実施します。

(画像3)富士ソフトが実施するクラウド移行計画に立案支援の流れ

導入から運用までの過程でコスト削減効果を最大化

富士ソフトは、さまざまな業界の企業に対してAWSクラウドエコノミクスを実施した実績を有しています。

(画像4)クラウドエコノミクス事例一覧

例えば、ある医薬系製造業のお客様は、既存システムの更改で次期基盤を検討するにあたりAWSクラウドエコノミクスを実施しました。複数の基盤で更改のタイミングが異なり、それに伴う移行方法の適正化や、業界標準のセキュリティ基準への対応という追加要件も発生しました。
その結果、6年間で40%のコスト削減が見込めたため、AWS移行を実施しました。移行後に測定したところ、実際のコスト削減は35%という結果でしたが、今後、新しい分野でAWS活用を進め、システム活用を最適化することで残り5%のコスト削減を見込んでいます。

AWSクラウドエコノミクスで算出される削減数値を達成するためには工夫が必要です。単純なクラウド移行だけでは有効なコスト削減を実現できません。富士ソフトでは、さまざまなノウハウを活かし、最大限のコスト削減を実現し、ユーザーにメリットを提供するAWS移行支援メニューを提供しています。

富士ソフトのAWS関連サービスについて、詳しくはこちら
アマゾンウェブサービス(AWS)

   

この記事の執筆者

出堀 琢麻Takuma Debori

ソリューション事業本部
インフラ事業部 クラウドソリューション部
第1技術グループ
主任 / エキスパート

AWS クラウド レポート