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クラウド移行

ファイルサーバはオンプレミス型が多く使用されていましたが、テレワークの普及や運用面などの課題からクラウドへの移行を検討している企業が増えています。しかし、移行を検討する際には、「コストやスケジュールが見えない」「セキュリティは大丈夫か?」「冗長化はどうすれば良いのか?」などのさまざまな疑問が生じます。このような疑問の解消にお役立ていただくため、富士ソフトは「失敗しない。ファイルサーバのクラウド移行を安心・安全に実現するポイントとは?」と題してオンラインセミナーを開催しました。本記事では、当社のAWSスペシャリストである出堀 琢磨の講演内容をダイジェストで紹介します。

ファイルサーバの4つの課題は「Amazon FSx」で解決

富士ソフトは、ファイルサーバの移行に関して、独自のサービス「ファイルサーバークラウドパック」を提供し、ファイルサーバのクラウド移行をワンストップで支援しています。

オンプレミス型のファイルサーバに関する課題は、「機器の老朽化」「ストレージの初期投資が大きい」「メンテナンスなどの運用負荷の増大」「DR対策(ディザスターリカバリ、災害発生時の復旧処置)」の4つに分類されます。検討すべきことが多く解決には時間もかかりそうに見えますが、ファイルサーバとしてAmazon FSx(以下、FSx)のクラウドサービスを利用することで、これらの課題は容易に解決できます。

機器の老朽化の課題は、FSxに乗り換えることで機器そのものが不要となるため解決でき、AWS側でメンテナンスされるため常に最新の環境が使えるようになります。ストレージの初期投資では、予算に合わせて安価なHDDを選択することでコストを抑えることが可能です。メンテナンスは、クラウドのため保守は不要となり、バックアップも自動化できるため運用負荷も低減できます。DR対策は、複数のデータセンターをまたいで使用することで冗長化が可能です。さらに、セキュリティもAWSのマネージドサービスで担保されています。

FSxを活用
FSxの活用で、既存ファイルサーバの課題を解決

ファイルサーバ移行の4つのステップと注意点

次に、FSxによるファイルサーバ移行における、調査・設計/検証・移行・利用の各ステップにおいて、注意すべきポイントを紹介しましょう。

① 調査:既存の環境やネットワーク状況、ユーザーの利用方法などを把握します。
② 設計/検証:ユーザーの利用方法に合わせて、ファイルサーバの容量を含むFSxの設定、スケジュール作成、PoC(Proof of Concept、概念実験)などを行います。
③ 移行:スケジュールに沿ってファイルサーバ移行を行います。
④ 利用:ファイルサーバの切り替えが完了したら、クラウド上でのファイルサーバの利用が可能です。

これらの工程を確実に一つずつ進めることが、ファイルサーバ移行の成功につながります。

ファイルサーバ移行に向けた準備
ファイルサーバ移行の4つのステップと作業の詳細

ファイルサーバ移行に関する注意点としては、FSxの設定、クラウドとのネットワーク回線などがあります。

まずは、FSxの設定についての注意点です。移行先のファイルサーバでVSS(Volume Shadow Copy サービス、旧バージョンへファイルを復元する)機能や重複排除機能(データの重複部分を排除することで空きを確保できる)などを利用する場合は、高いパフォーマンスのサーバが必要です。利用する機能によってFSxのサイジングを適切に実施する必要があります。

クラウドとのネットワーク回線については、帯域によって適した移行方法があります。十分な帯域を確保できる場合は、AWS DataSync(AWS データシンク)という機能を使って、インターネット経由でオンプレミスからクラウドにデータ移行するのがお勧めです。またWindowsの純正コマンドであるrobocopyも利用できます。

十分な帯域を確保できない場合は、AWS Snowball(AWS スノーボール)の利用が便利です。これはAWSからSnowball/Snowball Edgeという物理アプライアンスを送付してもらい、そこに自社でデータを格納しAWSに戻すことで、ストレージサービスのAmazon S3に格納してくれるサービスです。数十テラバイト程度の移行に適しています。Robocopyの転送はメタデータを保持できないため、S3に格納後、DataSyncやRobocopyを用いてメタデータをコピーして移行します。

設計/検証のステップに実施するPoCでは、FSxを実際に利用して課題を洗い出します。古いプリンターやOSと、既存のファイルサーバが連携している場合は、PoCでしっかりと動作確認をしておくと、移行後に問題が起こりにくくなります。PoCが終わって実際の移行作業が始まると、インターネット経由などの場合、想定しているデータ転送速度を得られない場合があります。その場合、データ移行中はHDDではなくSSDを利用することをお勧めします。SSDの転送速度はHDDより桁違いに速いので、転送によるボトルネックを解消できます。

FSxであれば、データ移行後にSSDをHDDに変更することも可能です。作業内容によって使用するストレージを選べるのもFSxのメリットと言えるでしょう。なお、サーバのDNS名は、新たに取得するか、移行前のものをそのまま使用するかを選択できます。これはどちらが良いというものではなく、企業の運用の状況に合わせて判断します。

事例紹介:経年劣化とOSサポート終了でリプレイスが急務

最後に、事例を紹介しましょう。ある企業では、「サーバの経年劣化とOSサポート終了」「運用管理に関する負担大(1人情シス)」「DR体制のさらなる強化」といった課題を抱えていました。

これらの課題に対して、富士ソフトはFSx導入が適していると判断し以下の実行プランを提案しました。

・FSxを利用する
・ファイルサーバへの回線は新たにAWS Direct Connect(AWSが提供する専用線)を利用する
・容量は約4TB
・VSSは利用するが、重複排除機能は利用しない
・AD(Active Directory)も老巧化のため新ファイルサーバに移行する
・高いロードワークは想定しない

お客様のAWS利用は初めてで、回線も新規に敷設、ADも新規に構築するということで、システムの重要部分を複数同時に刷新することになりました。その結果、回線敷設をはじめ、各種設計、環境構築、データ移行、ファイルサーバ構築、ADの移行までを4カ月の工期で完了できました。

事前のPoCで移行時に問題になりそうな点を明確にしておいたため、データ移行を当初スケジュールの約半分の2週間で実施できました。移行期間中に回線起因の遅延が発生しましたが、当初の予定通りにファイルサーバ移行を完了できました。2021年4月の運用開始以降、現在までにトラブルは1件も発生せず、お客様のファイルサーバの運用負荷も削減でき、よりビジネスに寄与する業務に集中できるようになっています。

クラウドならスモールスタートも可能ですし、必要になった時点で容量を増やすことも可能です。自社のパフォーマンスに合わせて、手間なくファイルサーバを運営できる「ファイルサーバークラウドパック」を、ぜひご活用ください。

ファイルサーバークラウドパック(Amazon FSx活用ソリューション)はこちら
ファイルサーバー クラウドパック

 

 

この記事の執筆者

出堀 琢麻Takuma Debori

ソリューション事業本部
インフラ事業部 クラウドソリューション部
第1技術グループ
主任 / エキスパート

AWS クラウド レポート