
生成AIが日々進化するにつれ、これまでエンジニアや専門職の領域だったソフトウェア開発・業務自動化の世界は、急速に一般化しつつあります。
コードを書く、設定を行う、レポートを作る、といった作業の多くは、すでに生成AIによって代替・支援できる段階に入りました。
最近では、各社からAIエージェントが発表され、デスクトップ上のフォルダ構成やファイルをもとに、レポート作成や文書生成、プレゼンテーション作成までが自動化され始めています。
この流れは一過性のブームではなく、今後さらに加速していくと考えられています。
こうした背景から、SNSなどでは、
- 単純機能のSaaS(ToDo、簡易CRM、レポート作成など)は消えていく
- 複雑なSaaS(ERP、CRM、SCMなど)は生き残る
といった論調を多く目にします。
では、本当にそうなのでしょうか。
本記事では「Salesforceは今後どうなっていくのか」、そして「これからの時代におけるSalesforce導入のあるべき姿」について考えてみたいと思います。
Salesforceがカバーしてきた広範なビジネス領域
Salesforceは、世界的にNo.1のCRMとして知られています。営業支援のSales Cloudを中心に、Service Cloud、Marketing Cloud、Experience Cloudなど、顧客接点を軸に多様な製品群を展開してきました。
近年では、分断されがちだった各クラウドや外部データを統合する基盤としてData 360(旧Data Cloud)が位置づけられ、その上で生成AIを業務に組み込むためのAgentforceも登場しています。
Salesforceは単なるCRMにとどまらず、「企業活動全体を横断する業務プラットフォーム」へと進化してきたと言えるでしょう。
あらゆる企業の最大公約数
一方で、現場を見ていると別の現実も見えてきます。
Salesforceはこれまで数多くの機能追加を重ねてきた結果、画面構成や設定項目は年々複雑化しています。
これはSaaSという製品モデルが、「あらゆる企業の最大公約数」を狙って設計されていることに起因します。結果として、多くの企業ではSalesforceが持つ機能のうち、実際に活用されているのは全体の一部に過ぎません。
その“余白”を埋める役割を担ってきたのが、SIerやコンサルタントでした。
顧客の業務要件を整理し、ビジネスプロセスを定義し、それをSalesforce上の機能へと落とし込みました。
しかし2010年代には、Salesforceの標準機能を十分に理解しないまま、最初から大規模なカスタマイズを前提とした導入提案が行われたケースも少なくありません。
生成AIの登場が突きつけた変化
こうした「カスタマイズ前提のSalesforce導入」に、決定的な問いを投げかけたのが生成AIの登場です。
生成AIを前提に考えると、これまでのような「人が理解し、人が運用すること」を中心に据えた設計よりも、「AIが理解しやすく、扱いやすい設計」が重要であることが分かってきました。
過度にカスタマイズされたSalesforce環境は、
- 項目名や構造が企業独自すぎる
- 業務ロジックがコードやフローに分散している
- 標準的な意味構造から乖離している
といった状態になりがちです。
これは人間にとっても分かりにくいですが、生成AIにとってはさらに理解が難しい構造です。
結果として、AIエージェントが本来発揮できるはずの自動化や支援が十分に機能しない、という状況を生んでしまいます。
今こそ「Salesforce標準機能」を見直すべき理由
このような時代背景を踏まえると、これからのSalesforce導入で重要になるのは、
「どれだけ多く作るか」ではなく
「どれだけ標準に沿って、シンプルに構成できるか」
という視点です。
Salesforceの標準機能は、世界中の企業で使われることを前提に設計されており、データ構造や業務フローには一定の合理性があります。
標準機能を正しく理解し、必要最小限の拡張にとどめることで、
- 生成AIが理解しやすいデータ構造になる
- 将来の機能追加やAI活用に対応しやすくなる
- 保守・運用コストを抑えられる
といったメリットが生まれます。
富士ソフトが目指すSalesforce導入の姿
富士ソフトでは、Salesforceの機能を深く理解したうえで、「標準機能を最大限に活かす導入」を重視しています。
単にカスタマイズを避けるのではなく、
- なぜその標準機能が存在するのか
- 業務を少し見直すことで標準に寄せられないか
- 将来、生成AIや自動化とどうつながるか
といった観点から、お客様と一緒に最適な落とし所を考えます。
AI時代において重要なのは、今の業務をそのままシステムに写し取ることではありません。変化に強く、AIに“使われる”前提で設計されたSalesforce環境を作ることです。
標準機能を理解し、活かし、足りない部分を開発すること
それこそが、これからのSalesforce活用における最大の価値であり、富士ソフトが提供したいと考えているSalesforce導入の形です。
この記事の執筆者
ソリューションビジネスユニット
ソリューション事業本部
情報ソリューション事業部
第1DXソリューション部
セールスフォースグループ
課長



