富士ソフト株式会社

~Agentic Enterpriseは日本で『実践』の段階へ~
Snowflake World Tour Tokyo 2026 Keynote参加レポート

▼はじめに

AIデータプラットフォームアーキテクトとして活動しているネットインテグレーション事業部の左手です。

2026年9月10日(木)・11日(金)の2日間、グランドプリンスホテル新高輪で開催された「Snowflake World Tour Tokyo 2026」(以下、SWTT 2026)に参加してきました。 世界20以上の都市を巡るSnowflake World Tourの中で、2日間開催されるのは東京のみという特別なイベントです。

本コラムでは両日のKeynoteを中心に、2026年6月の「Snowflake Summit 2026」(以下、Summit)と比較しながら、「Summitで発表されたAgentic Enterpriseは、日本でどこまで『実践』の段階に来ているのか」という視点で、私自身の感想も交えてお届けします。

Keynote会場の全景

Keynote会場は初日から満席。世界20都市を巡るSnowflake World Tourの中で昨年同様唯一の2日間開催となった

オープニングでは、Snowflakeの公式キャラクター「クマ太郎」がドラムを演奏する、ユニークな演出もありました。 この光景はDay1・Day2の両日とも見られ、思わず頬が緩む時間でした。

オープニングで登場したマスコット「クマ太郎」

オープニングで登場したマスコット「クマ太郎」(左)。ドラム演奏はDay1・Day2どちらのオープニングでも披露された

▼執筆者

Author

左手 克明

Katsuaki Sate

ソリューションビジネスユニット ネットソリューション事業本部
ネットインテグレーション事業部 第6技術グループ / 担当 シニアマスター

▼目次

1.SWTT 2026 Keynoteの位置づけ ~Snowflake Summit 26と比較~

Summitでは、CEOのSridhar Ramaswamy氏がAgentic Enterpriseのビジョンを語り、「Snowflake CoCo」「Snowflake CoWork」への名称変更など数十件のアップデートが発表されました。
一方のSWTT 2026は、プロダクト担当上席副社長(EVP)のChristian Kleinerman氏が「今回はいつもの流れを逆にして、先にデモを見てもらう」と宣言した通り、その内容を日本のお客様に向けて「実際に動かして見せる」場でした。 Day1は日産自動車株式会社・富士フイルム株式会社・Anthropicとの対談、Day2はCEO自らが登壇するという構成でした。
Summitが「何ができるか(Can we?)」を示す場なら、SWTTは「さあ、どう使うか(Shall we?)」に踏み込む場だったと感じます。

2.Day1 Keynote:Agentic Enterpriseを支える4つの要素とデモ

Christian氏は、Agentic Enterpriseを「ルーチンタスクはエージェントが担い、人は方向づけと意思決定に時間を使う組織」と定義し、「AIを導入すればデータの問題が解決する、という考えは誤り」と釘を刺しました。 必要な4つの要素は次の通りです。

●Agentic Enterpriseに必要な4つの要素
・AIモデル(AI Models)
・データとコンテキスト(Data and Context)
・ソフトウェアとアプリケーション(Software and Applications)
・コントロールプレーン(Control Plane)

「データとコンテキスト」の中核は、他エンジンからも同じカタログとして利用できる「Horizon Catalog」と、そのメタデータをAIに供給する「Horizon Context」。 「AIモデル」は、常に最高性能のモデルが必要なわけではないという前提で、タスクに応じた選択とポリシーによる統制が支援されます。 あわせて、エージェント単位のアクセス制御や複数人承認、ユーザー別クォータといったセキュリティ・コスト管理の仕組みも紹介され、「減らすべきは価値を生まないAI支出だ」という言葉には思わずメモを取りました。
「ソフトウェアとアプリケーション」では、SAPやWorkdayとのゼロコピー連携、100以上のMCP(Model Context Protocol)コネクタ、モデルを自動選択する「Cortex AI Gateway」が披露され、「コントロールプレーン」としてデータチーム向けの「Snowflake CoCo」、非技術者向けの「Snowflake CoWork」が位置づけられました。

Agentic Enterpriseの4つの要素

Christian Kleinerman氏が示したAgentic Enterpriseの4つの要素。Summitと同じフレームワークが提示された

デモは架空のスポーツ興行会社が舞台。「売上」の定義がシステムごとに違い数字が揃わない、というあるあるな状況から始まりました。
衝撃的だったのは、データエンジニア役がガバナンスルールをSkillsとして「このスキルで私のデータを守って」と依頼した数十秒後、AIエージェント「Snowflake CoCo」がスキーマから個人情報を判別してマスキングポリシーを設定し、部門ごとに異なる売上の定義もセマンティックビューで統一してしまった点です。 営業担当役は「Snowflake CoWork」に自然言語で質問するだけで洞察と推奨アクションを取得し、結果はSlackへ自動連携されました。
特筆すべきは、AIが速く答えたことそのものより、その前段でセマンティックビューによって「売上の定義」が一元化されていた点で、メタデータ管理とデータガバナンスこそがAI活用の前提条件だと改めて痛感しました。

Snowflake CoCoのデモ画面

「Snowflake CoCo」にSkillsとして渡したガバナンスルールが、マスキングとセマンティックビューの整備まで自動で実行した

3.Day1 Keynote:日本企業3社が語る「AIに必要なデータ基盤」

日産自動車株式会社 執行職 チーフデジタルインフォメーションオフィサー(CDIO)の平川静氏は、2019年のSnowflake日本法人設立より前から利用を続け、現在は約5,000データセット、500超のユースケースを1万人以上が使う規模だと紹介。 「生成AIはデータ活用の真の民主化だ」と語り、今年4月にはCEO直下のAIセンターを自ら率いる形で設立したことも明かしました。長年基盤を支えてきたからこその説得力に、背筋が伸びる思いでした。
富士フイルム株式会社 フェローの杉本征剛氏との対談では、「統制はブレーキではなく、全従業員がアクセルを最大限に踏むための攻めのガードレール」という言葉が印象的で、各担当者が自走できる環境づくりという考え方に共感いたしました。
Anthropic社のNatalie Mead氏との対談では「AIに対する最大の恐れは、AIを使わないこと」というメッセージを伝えていました。

日産自動車株式会社の平川静氏の登壇

日産自動車株式会社の平川静氏が登壇。約5,000データセット、1万人以上が使う基盤の歩みとAIセンター設立について語られた

4.Day2 Keynote:CEOが語る「知能の産業化」と日本

Day2はCEOのSridhar Ramaswamy氏と、APJ(アジア太平洋・日本地域)プレジデント兼会長執行役員のJon Robertson氏による対談です。
Sridhar氏はAgentic AIを「知性の産業化」と表現し、「人口を増やしてスケールできない日本にこそ特に重要」と語った言葉には、日本のデータエンジニアの一人として唸ってしまいました。 Snowflake社内でも「Snowflake CoCo」と「Snowflake CoWork」を営業チームに配布し、Jon氏はこの日の朝、CEOより速く「Snowflake CoWork」で顧客状況を把握できたと明かしています。 重要なのは、ロールベースのアクセス制御で「自分に許可されたデータにしかアクセスできない」ことが担保されている点です。

Sridhar Ramaswamy氏とJon Robertson氏の対談

Snowflake社CEOのSridhar Ramaswamy氏(左)とAPJプレジデントのJon Robertson氏(右)による対談

日本市場については「テクノロジーの活用に熱心な進歩的な国」であり「完璧さを要求する市場」だと述べ、従来3年以上かかったレガシー移行を3か月以内で行う事例が出ていること、さらなる短縮を目指していることが紹介されました。

対談では、日本向けのサプライズ発表もありました。SnowflakeがGoogle Cloud東京リージョンに2026年度第4四半期(2026年11月〜2027年1月)から対応し、日本企業がデータを国内管理しながらガバナンス・コンプライアンス要件に対応できるようになります。

Google Cloud東京リージョン対応の発表

対談の中で、Google Cloud東京リージョン対応(2026年度第4四半期開始予定)が発表された

国内事例としては、全社約650の業務のうち120件・200のスキルに着手した三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社 執行役員の松本宗寿氏と、MCP基盤で社内データへセキュアにアクセスする株式会社サイバーエージェントが登壇しました。 同社からは執行役員 AIオペレーション室室長の上野千紘氏と、グループIT推進本部 全社データ技術局局長の鷹雄健氏が参加しています。
「データチームは遅いコストセンターではなく、データで自社を変革する中心になれる」という趣旨の言葉が、最も心に残りました。

国内事例として登壇した株式会社サイバーエージェント

国内事例として登壇した株式会社サイバーエージェント様の上野千紘氏・鷹雄健氏(右奥)。
社内全体でAI活用に取り組む姿勢や、スキル化とガバナンスの両立が語られた

5.おわりに

SWTT 2026を通して感じたのは、Summitが「何ができるか」を示す場であるのに対し、SWTT 2026は「日本でどう使うか」を示す場だということです。
デモのセマンティックビュー、富士フイルム様の「攻めのガードレール」、SnowflakeのCEOであるSridhar Ramaswamy氏が語った「許可されたデータにだけアクセスできる」仕組み。そのすべてが「AIに正しい文脈と正しい制約を与える」ことに帰結しています。
データ基盤を設計・統制するデータエンジニアの仕事はなくなるどころか、企業の競争力を左右する「変革の中心」になる。この確信を持ち帰ることができた、実りある2日間でした。
今後も最新技術・事例などのキャッチアップを継続していくことで、様々なお客様に対してAI・データ活用を通した価値のあるご提案・ご支援が実現できるよう努めて参ります。

Day2 Keynote最後のTHANK YOU!!スライド

Day2 Keynote最後に映し出された「THANK YOU!!」のスライド

Snowflakeの導入支援

現在富士ソフトでは10社限定で「Snowflakeトライアルサポート」特別無償キャンペーンを実施中!
通常のトライアルではアカウント作成や環境構築、データ準備に時間がかかりますが富士ソフトのサポート付きなら、 設定や準備はお任せで、評価に集中できます。操作性やクエリ速度、コスト計算など、実際の利用イメージをしっかり確認可能です。

ご関心のある方は下部のボタンよりお問い合わせください。

▶ データ分析・利活用ソリューションに関するお問い合わせ

データ分析・利活用・PoCに関する
資料請求・お問い合わせはこちらから!