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OLTPとOLAPの違いとは?
業務システムと分析基盤を使い分ける理由

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■はじめに

ECサイトや予約システムでは、注文や在庫の登録・更新がリアルタイムで行われています。一方で、蓄積されたデータをもとに売上分析や需要予測を行う仕組みも活用されています。
実はこれらは同じデータを扱っていても、求められる役割が大きく異なります。
日々の業務処理を支える仕組みは「OLTP(Online Transaction Processing)」、分析や意思決定を支える仕組みは「OLAP(Online Analytical Processing)」と呼ばれ、それぞれ異なる設計思想で構築されています。

なぜ業務システムと分析基盤は分けて運用されるのでしょうか。
本記事では、ECサイトを例にOLTPとOLAPの特徴や違いを整理し、業務システムと分析基盤を使い分ける理由を解説します。

■執筆者

Watanabe

渡辺 了太

Ryota Watanabe

ソリューションビジネスユニット ネットソリューション事業本部
ネットインテグレーション事業部 第5技術グループ /担当

■目次

■本文

1.OLTPとは?日々の業務を支える仕組み

◆OLTPの概要

OLTP(Online Transaction Processing:オンライントランザクション処理)は、業務システムにおける日常的なトランザクション処理を行う仕組みです。
トランザクションとは、注文登録、会員登録、在庫更新、入金処理などの一連の業務処理です。利用者の操作に対し、正確かつ高速に処理することが求められます。

◆ECサイトで考えてみる

顧客がECサイトで商品を購入する場合、システムでは注文情報の登録、在庫数の更新、決済情報の登録といった複数の処理が発生します。これらの処理は、顧客の操作に応じて短時間で完了する必要があります。 また、多数の利用者が同時にアクセスしても、在庫がマイナスになったり、注文が重複して登録されたりしないよう、データの整合性を維持しなければなりません。

◆OLTPの特徴

代表的な利用例としては、ECサイト、銀行システム、POSレジ、予約システムなどがあります。

2.OLAPとは?データを分析する仕組み

◆OLAPの概要

OLAP(Online Analytical Processing:オンライン分析処理)は、蓄積されたデータを集計・分析し、意思決定に役立てるための仕組みです。
OLTPが業務を実行するための仕組みであるのに対し、OLAPはデータから傾向や課題を発見することを目的としています。

◆ECサイトで考えてみる

ECサイトでは、日々の注文処理によってデータが蓄積されていきます。分析担当者は、そのデータを利用して次のような分析を行います。

商品別・月別・地域別の売上などを求める際は、長期間の大量データを複数条件で集計します。そのため、OLTPとは異なる性質の処理になります。

◆OLAPと分析基盤の関係

OLTPで発生した注文データは、DWH(データウェアハウス)などの分析基盤へ連携され、売上・在庫分析に利用されます。 DWHは、複数システムのデータを蓄積し、分析しやすく管理する仕組みです。OLAPは、分析基盤のデータを集計・分析する処理を指します。

◆OLAPの特徴
分析結果は、需要予測、在庫計画、販促施策の検討などに活用できます。 代表的な分析基盤製品やサービスの例としては、Snowflake、Google BigQuery、Amazon Redshift、Azure Synapse Analytics、Databricksなどがあります。

3.OLTPとOLAPの違い

OLTPは日々の業務を支え、OLAPは蓄積されたデータの分析を支えます。両者の違いを整理すると、次のようになります。

OLTPとOLAPの違い
項目 OLTP OLAP
目的 日々の業務処理 データの集計・分析
主な処理 登録・更新・削除 参照・集計
扱うデータ 現在の業務データが中心 履歴を含む大量データ
クエリの傾向 少数のデータを対象とした比較的単純な処理 大量データを対象とした複雑な処理
更新頻度 高い OLTPと比べると低いことが多い
重視する点 応答速度、整合性、同時実行 集計性能、分析の柔軟性
主な利用者 顧客、業務担当者 分析担当者、管理者
利用例 注文、決済、予約、在庫更新 売上分析、在庫分析、レポート作成

データ構造の考え方にも違いがあります。

OLTPでは、更新時の重複や不整合を抑えるため、データを役割ごとのテーブルに分けることがあります。この設計を正規化と呼びます。
一方、OLAPでは、参照や集計をしやすくするため、用途に応じてデータを組み合わせたり、集計しやすい形で保持したりします。

ただし、実際のデータ構造はシステムや製品、要件によって異なります。OLTPでは必ず正規化し、OLAPでは必ず非正規化するという意味ではありません。

4.誤解されやすいポイント

OLTPとOLAPは、どちらか一方が優れているという関係ではありません。
OLTPは注文登録や在庫更新などの業務処理に、OLAPは大量データの集計・分析に適しています。
OLAPはOLTPの上位互換ではありません。大量データを高速に集計できても、注文や決済に必要な業務要件を満たすとは限りません。

両者は競合するものではなく、異なる役割を持つ仕組みです。多くのシステムでは、OLTPで発生したデータを分析基盤へ連携し、OLAPで活用することで、業務運営とデータ分析を両立しています。

5.なぜOLTPとOLAPを分けるのか

ここまで読むと、一つのデータベースで業務処理も分析も行えばよいのではないかと思うかもしれません。
例えば、ECサイトの注文データベースで、過去数年分の商品別・地域別売上を分析するとします。大量の注文データを複数条件で集計するため、日々の注文処理と同じ環境で実行すると、負荷が高くなる可能性があります。

業務処理と分析処理を同じ環境で実行した場合、負荷の状況によっては次のような影響が考えられます。

業務処理では注文や更新の正確さと速さを、分析処理では大量データを多様な切り口で集計できることを重視します。

このように求められる要件が異なるため、業務処理はOLTP、分析処理はOLAPという形で役割を分けることがあります。 役割を分離することで、日々の業務への影響を抑えながら、蓄積したデータを分析に活用しやすくなります。

6.現在でもOLTPとOLAPの使い分けは必要なのか

近年はクラウド型の分析基盤が普及し、データ連携の方法も多様化しています。夜間バッチによる連携だけでなく、従来より短い間隔で業務データを分析基盤へ反映する構成も選択できるようになっています。
しかし、データ連携の方法が変化しても、業務処理と分析処理で求められる性能や役割の違いがなくなったわけではありません。
システム構成や利用する製品は変化しても、OLTPとOLAPをそれぞれの役割に応じて使い分ける考え方は、現在でも重要です。
この考え方はECサイトに限りません。金融の入出金処理と取引分析、小売のPOS登録と売上分析、通信の契約処理と利用状況・トラフィック分析などにも当てはまります。

業務システムと分析基盤を分けて考えることは、特定の製品や業界に依存するものではなく、目的や要件に応じて適切な仕組みを選ぶための基本的な考え方です。

7.まとめ

OLTPとOLAPは、データを扱うという点では共通していますが、その役割は大きく異なります。システムを検討する際は、「どの製品を使うか」だけでなく、 「その仕組みは日々の業務を動かすためのものか、蓄積したデータを分析するためのものか」という目的から考えることが大切です。

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本記事が、OLTPとOLAPの違いや、業務システムと分析基盤の使い分けを検討する際の参考になれば幸いです。

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