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Fintech企画室が注目する分野と海外の最新情報

はじめに

富士ソフト株式会社がFintechやスタートアップ、ブロックチェーンというキーワードに取り組んでいることを、意外だと感じる方もいらっしゃるかもしれません。創業から52年、主にシステム開発を生業とする富士ソフトで、海外のスタートアップなどFintechに関わる最新情報を収集し、国内の金融機関に提供しているのが「Fintech企画室」です。本ブログでは、Fintech企画室が注目している分野と海外の最新情報について紹介します。

Fintech企画室とは

Fintech企画室は金融事業本部にあります。海外を中心としたさまざまな企業が取り組んでいるFintechに関する情報を収集し、国内の金融機関のお客様にDXを推進するための知見として提供する部署です。室長である私を含め、英語力が高いメンバーのみで構成された4人体制で、スタートアップ企業との協業や金融業界の企業の支援をおこなっています。

米国シリコンバレーのPlug and PlayとFintech分野でパートナー契約を締結しており、富士ソフトグループのFUJISOFT America, Incと協力して活動しています。Plug and Playはスタートアップの育成と投資に取り組んでいる組織で、世の中にあるスタートアップの情報が集まってきます。

私は以前、海外ビジネスを担当する国際事業部で、英語と日本語の通訳をしていました。現在は、国際事業部で培った、海外で流行している情報を仕入れる国際的な視野を活かし、社内外に海外の情報を提供しています。
日本の金融機関は正確性や確実性を重視するため保守的な企業も多く、Fintechはなかなか浸透しにくい分野でもあります。しかし、私自身が日本の金融業界の経験が浅いため、業界の常識にとらわれずに海外の発想や構想を日本に輸入し、日本の企業の皆様に情報提供して新たな視点で共同で取り組みを進めることで、新しいビジネスが生まれるのではないかと感じています。

海外と日本のFintechに関する違い

海外では、ビジネスのスピード感やチャレンジ精神、新しいことへの取り組みについての考え方が日本とは大きく異なります。法律面も関係し日本ではできないことでも、海外では許されていることが多くあります。リスクに対する考え方も異なり、スタートアップを立ち上げる環境が日本より圧倒的に容易であり、「起業したい」という人も海外の方が多いです。

この背景もあり、日本の金融業界ではコンシューマー向けのB2Cのビジネスが多く、B2Bは少ないと感じています。その中で、当社は地方の銀行や消費者金融、生命保険や損害保険といった多くの金融機関と取引させていただき、お客様の業務プロセス改革を支援してまいりました。PEGAなどメジャーな海外のソリューションを活用した支援も得意としており、Fintech企画室がご提供する最新の海外の情報をもとに、日本の金融機関に刺激を与えられればと感じています。

Fintech企画室が注目する分野を、海外の事例と共にご紹介します。

注目の分野1.「SDGs」

Fintech関連で話題になっている分野として、「SDGs(持続可能な開発目標)」があります。環境問題については金融機関でも関心が高く、スタートアップもSDGs関連のソリューションを多く提供しています。

Doconomyというスウェーデンの会社があります。クレジットカードを利用したときの取引情報から、その取引で発生したCO2排出量を計算してくれるサービスを提供しています。ある店舗でTシャツを購入したとき、その購入によって与える環境への影響を可視化できる、という技術です。商品の購入でCO2排出量が上限に達するとクレジットカードの利用が制限されるしくみもあります。

クレジットカード会社は、それらのサービスを導入することによって、SDGsに真剣に取り組んでいる企業だというアピールにつながります。自社カードの利用者拡大につながり、マーケティング効果にも期待できます。

注目の分野2.「メタバース」

当社の技術戦略として「DX+AIS-CRM(アイスクリーム)+SD+G2」という新技術への取り組みがあります。AIやIoT、セキュリティ、クラウド、モバイル、5Gなど注力する技術分野を指し、それらに関連する注目分野として「メタバース」があります。

メタバースは仮想空間で提供されるサービスで、IT業界ではMeta社などを中心に、その取り組みが注目されています。もちろん、IT業界だけでなく、金融機関をはじめとしたさまざまな企業がメタバースに取り組んでいます。

今年の3月には、英国金融大手のHSBCがメタバースに進出し、仮想空間の土地を購入したことがニュースになりました。この土地の中に、HSBCがスポンサーをしているスポーツチームのスタジアムなどが作られています。
メタバースを接客体験の向上だけでなく、事業の宣伝などにも活用する例だといえます。

注目の分野3.「NFT」

4月には、ファッションビルの「渋谷109」がメタバースに参入したニュースも話題になりました。金融機関ではありませんが、マーケティングの領域でメタバースでの土地を購入し、不動産事業のような取り組みが可能です。この背景には、「NFT(非代替性トークン)」という概念で所有権を定義していることが挙げられます。

仮想通貨は代替性トークンと呼ばれ、お金などと同じ価値を持ち、替えが効くものであるのに対し、NFTは非代替性なので替えが効かない、唯一無二のものです。いずれもブロックチェーンを使用した技術ですが、NFTはデジタル資産の所有者を明確にすることで希少性を担保できる特徴があります。
これを他の分野にも応用したものとして、先述のCO2排出量に関するソリューションが挙げられます。CO2排出量をNFTで売買するような市場を作るなど、金融機関として取り組むと面白いアイデアだと感じています。

まとめ

富士ソフトは地方銀行の「地域活性化」というミッションに協力して取り組んでいます。例えば、仮想空間上の土地を地方銀行が購入して管理し、地方のお店や商品をメタバースの中で宣伝することにより、地域を宣伝する事業を実現できるかもしれません。メタバースであれば地方か都心か、といった場所にとらわれることなくPRでき、地方でもお金を動かすことにつながります。

Fintech企画室ではSDGsやメタバース、NFT、ブロックチェーンなど幅広い分野でFintechに関する海外の情報を収集し、最新のスタートアップの技術動向と合わせてお客様にお届けしています。

関連サービスについて、詳しくはこちらをご覧ください

富士ソフトの金融業界向けサービス「FUJISOFT×Fintech」

 

 

この記事の執筆者

エイスコフ・マークMark Ayscough

サイバネットシステム株式会社

Fintech グローバル 金融