経費精算の効率化を実現するための
ステップと重要なポイントとは?
経費精算の業務は多くの企業で日常的に発生する大切な業務である一方、従来の手作業による処理では時間がかかり、ミスも発生しやすいという課題を抱えています。
特に従業員の数が多い企業では、月末の経費精算の業務に膨大な時間を要し、経理部門の負担が大きくなりがちです。しかし、適切な施策を実施することで、これらの課題を解決し、経理業務全体の生産性と効率性を向上させることが可能です。
本記事では、経費精算の効率化を実現するための具体的なステップと重要なポイントについて詳しく解説します。
従来の経費精算プロセスにおける問題点
多くの企業で採用されている従来の経費精算プロセスには、いくつかの顕著な問題点があります。
従来の経費精算プロセスにおける課題
多くの企業で採用されている従来の経費精算プロセスでは、紙の申請書による手作業での処理が中心となっており、様々な問題が発生しています。申請者は領収書を紙の申請書に貼り付け、手書きで必要事項を記入する必要があり、この作業だけでも相当な時間を要します。
経理部門では、提出された申請書の内容の確認、計算チェック、領収書との照合作業を一件ずつ手作業で行う必要があります。入力ミスや計算ミスが発生しやすく、差し戻しによる再処理も頻繁に発生するため、業務効率を著しく低下させています。
さらに、紙ベースの管理では書類の紛失リスクや保管スペースの問題もあり、過去の申請内容を検索する際にも多くの時間を要します。承認者の出張や在宅勤務した際には承認業務が滞ることも多く、経費精算の業務のスピードが遅くなる要因となっています。
経費精算の効率化が求められる背景
近年、働き方改革の推進により、業務の効率化への要求が高まっています。特に経費精算の業務は全社員が関わる業務であるため、効率化による効果が企業全体に波及します。テレワークの普及により、従来の紙ベースでの申請・承認プロセスでは対応が困難な場面が増加しています。
また、電子帳簿保存法により、領収書などの書類の電子保存が可能になっており、従来の紙ベースでの管理から脱却する必要性が高まっています。人手不足が深刻化する中で、定型業務の自動化により、より付加価値の高い業務に人的リソースを集中させることが必要になっています。
経費精算の効率化によるメリット
経費精算プロセスを効率化することは、単なる業務の改善に留まらず、企業全体に多岐にわたるメリットをもたらします。特に、以下の2つの点で顕著な効果が期待できます。
処理時間の短縮効果
経費精算の効率化により、最も大きな効果が期待できるのが処理時間の短縮です。従来の手作業による申請では、一件あたり15分から30分程度の時間を要していましたが、システム化により5分から10分程度まで短縮することが可能になります。
経理部門における処理時間についても、自動計算機能や自動仕訳機能により、大幅な時間短縮が実現できます。月末に集中することが多い経費処理も、従来の3分の1程度の時間で処理を完了できるケースも多く見られます。
以下の表は、従来の手作業と効率化後の処理時間比較の例です。
処理項目 | 従来の手作業 | 効率化後 |
---|---|---|
申請書作成 | 20分 | 5分 |
内容確認・承認 | 10分 | 3分 |
経理部門での処理 | 15分 | 5分 |
ミス削減による業務品質の向上
手作業による経費精算では、前述のとおり、入力ミスや計算ミスが頻繁に発生します。システム化により、これらのミスを大幅に削減することが可能です。
自動計算機能により計算ミスを防止し、入力チェック機能により必須項目の入力漏れを防ぐことができます。規定違反の防止機能により、申請段階で経費規定に違反した申請を自動的に検出し、承認前に修正を促すことも可能です。
内部統制の強化
効率化により、経費精算の業務の透明性と統制が強化されます。システム上でのワークフロー管理により、申請から承認、支払いまでの全プロセスを可視化し、適切な承認ルートを確保できます。
申請内容の履歴の管理や承認者の記録により、監査対応も容易になります。不正申請の検知機能により、コンプライアンスの強化にも貢献します。
経費精算業務の効率化をするための手段
従来の経費精算プロセスが抱える課題を解決し、業務効率を飛躍的に向上させるためには、具体的な施策が必要です。ここでは、特に効果が期待できる4つの方法をご紹介します。
経費精算システムの導入
経費精算の効率化を実現するための最も効果的な方法として、専用システムの導入が挙げられます。クラウド型の経費精算システムは、初期投資を抑えながら導入でき、メンテナンスも容易です。
システムを選定する際には、自社の業務フローとの適合性、既存の会計システムとの連携可能性、利用者の使いやすさを重視することが大切です。経費精算アプリによるスマホ対応により、外出先からでも申請が可能となり、テレワーク環境での利用も促進されます。
導入効果を最大化するためには、段階的な導入計画を策定し、ユーザーの習熟度に応じた展開を行うことが推奨されます。
ペーパーレス化の推進
紙ベースの申請書や領収書の管理からの脱却により、大幅な効率化が実現できます。電子化された申請書により、手書きの必要がなくなり、申請者の負担が軽減されます。
領収書の管理についても、スマホアプリでの撮影により電子化し、原本の保管が不要になります。電子帳簿保存法への対応により、法的にも問題のない運用が可能です。検索機能により、過去の申請内容を素早く確認できるメリットもあります。
法人カードやICカードとの連携
法人カードの利用により、現金での立替払いを削減し、カード明細からの自動取り込みが可能となります。ICカード連携により、交通費の自動計算と申請の簡素化が実現できます。
以下の表は、各種カード連携による効果の例です。
連携方法 | 効果 | 適用範囲 |
---|---|---|
法人カード連携 | 明細自動取り込み | 会食費、消耗品費等 |
ICカード連携 | 交通費自動計算 | 電車、バス運賃等 |
プリペイドカード連携 | 小額経費の簡素化 | コンビニ支払い等 |
申請ルールの設定と承認フローの最適化
効率的な経費精算を実現するためには、明確な申請ルールの設定と承認フローの最適化が不可欠です。金額別の承認ルートを設定し、高額な申請については複数段階の承認を行う一方、少額な申請については簡素化された承認フローを適用します。
ワークフロー自動化により、申請内容に応じた適切な承認者への自動振り分けが可能となります。承認期限の設定により、承認業務が滞ることを防止し、全体的な処理スピードを向上させることができます。
経費精算の効率化を成功させるための運用方法
経費精算の効率化は、単に新しいシステムを導入するだけではうまくいきません。ここでは、効率化の施策を組織全体に浸透させ、法的要件を満たしながら運用するために必要な要素について解説します。
従業員への教育と周知の徹底
効率化の施策を成功させるためには、従業員への教育と周知が大切な要素となります。新しいシステムや運用ルールについて、全社員が理解し、適切に活用できるよう体系的な教育プログラムを実施する必要があります。
操作方法だけでなく、効率化の目的や効果について説明することで、従業員の協力と理解を得ることができます。
FAQ集やマニュアルの整備により、運用開始をした後の問い合わせ対応も効率化できます。
定期的なフォローアップ研修により、システムの活用度を向上させ、継続的な効率化効果を維持することが可能です。
働き方の多様化への対応
現在の働き方の多様化に対応するため、テレワーク環境での経費精算の業務に対応することが必要です。クラウドベースのシステムにより、場所を選ばずに申請・承認業務を行うことが可能となります。
スマホアプリによる申請機能により、外出先でも領収書の撮影と申請が可能となり、申請の即時性が向上します。プッシュ通知機能により、承認依頼や差し戻し通知を迅速に受け取ることができます。
電子帳簿保存法への対応
電子帳簿保存法の改正により、領収書等の電子保存が推進されています。適切なシステム導入により、法的要件を満たしながら効率化を実現することが可能です。
電子化された書類の真実性を確保するため、タイムスタンプの付与や訂正削除の履歴の管理機能が必要となります。検索機能により、税務調査等での資料提出も迅速に対応できます。
まとめ
経費精算の効率化は、システム導入、ペーパーレス化、カード連携、運用ルールの最適化など、複数の施策を組み合わせることで最大の効果を得ることができます。従業員教育と継続的な改善により、持続可能な効率化を実現することが重要です。
テレワーク対応や電子帳簿保存法への対応など、時代の変化に応じた機能も考慮しながら、自社に最適な効率化施策を検討し、段階的に実施することが成功の鍵となります。適切な効率化により、経理業務の生産性向上と内部統制の強化を同時に実現できるでしょう。
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