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Tableauを活用したデータの可視化と分析|実践的な手順を紹介

ビジネスにおけるデータ活用の重要性が高まる中、企業ではさまざまなデータソースから得られる情報を迅速かつ正確に分析することが求められています。しかし、複雑なデータを扱うには専門的なスキルが必要であり、分析結果をわかりやすく可視化する作業には多くの時間と労力がかかります。
Tableauは、そのような課題を解決するBIツールとして、直感的な操作でデータの可視化と分析を可能にします。本記事では、Tableauの概要から実践的な活用手順、業務での応用シーンまでを解説し、企業のデータ活用を推進するための情報をお届けします。

Tableauとは何か

Tableauは、データの可視化と分析に特化したBIツールであり、プログラミング知識がなくても直感的な操作でグラフやダッシュボードを作成できる点が大きな特徴です。日々の販売データや顧客情報、在庫データなどを迅速に可視化し、経営判断に必要な情報を提供します。

BIツールとしての位置づけ

Tableauは、データベースやクラウドストレージ、表計算ソフトなど多様なデータソースと接続できるBIツールです。企業内に散在するデータを統合し、リアルタイムに近い形で分析結果を表示できます。ドラッグアンドドロップによる視覚的な操作が可能で、非技術者でも扱いやすい設計になっています。そのため、情報システム部門だけでなく、営業部門や経理部門など幅広い部署での活用が進んでいます。

主な機能と特徴

Tableauには、データ接続、可視化、ダッシュボード作成、共有といった一連の機能が統合されています。データ接続では、ExcelやCSVファイルはもちろん、SQLデータベースやSalesforceなどのクラウドサービスとも連携可能です。可視化機能では、棒グラフや折れ線グラフといった基本的なチャートから、ヒートマップやツリーマップなど高度なビジュアル表現まで対応しています。ダッシュボード機能を使えば、複数のグラフを一画面にまとめ、インタラクティブな操作で多角的な分析が行えます。さらに、作成したダッシュボードはTableau ServerやTableau Onlineを通じて社内で共有でき、リアルタイムな情報共有が可能です。

導入による効果

Tableauを導入することで、データ分析にかかる時間を大幅に削減できます。従来はExcelで手作業によるグラフ作成や集計を行っていた業務が、自動化されたダッシュボードで即座に確認できるようになります。また、データの更新も自動で反映されるため、定期的なレポート作成の負担が軽減されます。経営層への報告資料作成においても、視覚的にわかりやすいグラフやチャートを短時間で用意できるため、意思決定のスピードが向上します。

Tableauでデータを分析する手順

Tableauを実務で活用するには、データの取り込みから可視化、ダッシュボード作成までの一連の流れを理解する必要があります。ここでは、初めてTableauを使う方でも実践できるよう、基本的な操作手順を順を追って解説します。

データの取り込みと接続

まず、分析対象となるデータをTableauに取り込みます。データ接続画面から目的のデータソースを選択し、必要なテーブルやシートを指定します。複数のデータソースを結合する場合は、リレーションシップを使ってデータを統合します。この段階でデータの型やフィールド名を確認し、必要に応じて修正を行います。

基本的な可視化の作成

データを取り込んだら、次に可視化を行います。ディメンション(カテゴリデータ)とメジャー(数値データ)をドラッグアンドドロップで配置することで、グラフが自動生成されます。たとえば、月別の売上推移を見たい場合は、日付フィールドを列に、売上金額を行に配置すれば折れ線グラフが作成されます。棒グラフやヒートマップなど、目的に応じたグラフ形式を選択し、色や形状を調整して見やすくします。適切なグラフ形式を選ぶことで、データの傾向や異常値を素早く把握できるようになります。

グラフの種類 適した用途 表示するデータ
棒グラフ カテゴリ間の比較 売上、在庫数、顧客数など
折れ線グラフ 時系列での推移 月次売上、アクセス数の変動
ヒートマップ データの密度や分布 地域別販売実績、時間帯別利用状況
ツリーマップ 構成比の可視化 商品カテゴリ別売上比率

ダッシュボードの構築

作成した複数のグラフを組み合わせ、ダッシュボードとしてまとめます。ダッシュボード画面では、各シートをレイアウトに配置し、フィルターやアクション機能を追加してインタラクティブな操作を可能にします。たとえば、地域別売上グラフをクリックすると、その地域の詳細データが別のグラフに反映されるといった連動性を持たせることができます。これにより、複数の視点からデータを分析し、隠れた傾向や課題を発見しやすくなります。ダッシュボードは、経営報告や部門間の情報共有に活用できる形式に整えます。

フィルターと計算フィールドの活用

フィルター機能を使えば、特定の期間や条件に絞ったデータ表示が可能になります。たとえば、過去3か月間の売上データのみを表示したり、特定の商品カテゴリに限定して分析したりできます。また、計算フィールドを作成することで、売上成長率や利益率といった独自の指標を算出できます。これらの機能を組み合わせることで、より高度な分析が実現し、業務に即した情報提供が可能になります。

業務でのTableau活用シーン

Tableauは、さまざまな業務シーンでデータ分析を支援します。ここでは、実務においてTableauがどのように活用されるかを具体的に紹介します。

売上や業績の分析

売上データを可視化することで、商品別や地域別の売上傾向を迅速に把握できます。月次や四半期ごとの推移をグラフ化し、目標達成状況を確認する際にも有効です。また、前年同月比や予算対実績の比較も容易に行えるため、経営層への報告資料作成が効率化されます。リアルタイムに近いデータ更新により、迅速な意思決定が可能になります。

マーケティングと顧客分析

顧客データやWebアクセスログをTableauで分析することで、顧客の行動パターンや購買傾向を把握できます。地域別の顧客分布や商品カテゴリ別の購入頻度を可視化し、マーケティング施策の効果測定に役立てます。また、顧客セグメントごとの売上貢献度を分析することで、ターゲット層の絞り込みやプロモーション施策の改善につなげられます。

人事・労務データの活用

勤怠管理システムや人事評価データをTableauに連携させることで、従業員の労働時間や残業状況を可視化できます。部署ごとの勤務状況を比較し、業務負荷の偏りを発見することが可能です。また、離職率や採用状況の推移をグラフ化し、人材戦略の立案に活用できます。データに基づいた人事施策の検討が、組織全体の生産性向上に寄与します。

Tableau導入のメリットと課題

Tableauは強力なデータ可視化ツールですが、導入と運用には専門的な知識や継続的なサポートが必要です。ここでは、導入によって得られるメリットと、実際に運用する際に直面しやすい課題について解説します。

導入によるメリット

Tableauを導入することで、データ分析の効率が大幅に向上します。従来は数時間かけて作成していたレポートが、数分で完成するようになります。また、データの更新が自動化されるため、手作業によるミスを防ぎ、常に最新の情報を参照できます。視覚的にわかりやすいダッシュボードは、経営層や非技術者にも理解しやすく、組織全体でのデータ活用を促進してくれます。

運用における課題

Tableauは直感的な操作が可能ですが、高度な分析やダッシュボードの最適化には一定の学習が必要です。データの前処理やクレンジング、計算フィールドの設計には専門知識が求められ、担当者の負担が増える場合があります。また、ダッシュボードの設計が不適切だと、かえって情報が見づらくなり、利用者の混乱を招くこともあります。さらに、データソースの増加やユーザー数の拡大に伴い、サーバーのパフォーマンス管理やセキュリティ対策も重要な課題となります。

自社導入のハードルの高さ

Tableauを自社だけで導入・定着させるには、要件定義の複雑さ、権限設計・セキュリティ対応、運用体制の維持といった複数の壁が同時に立ちはだかります。さらに、部門横断の合意形成やガバナンス整備、ユーザー教育までを並行で進める必要があり、スケジュール遅延や属人化による品質低下のリスクも高まりやすいです。全てを内製で進めるのは負荷が重く、短期で成果を出しにくいといえるでしょう。

継続的な運用体制の構築

自社導入の負担を軽減する現実的な手段として、外部企業の導入支援を活用する方法があります。自社単独では見落としがちなリスクを最小化しつつ、短期間で“使える”データ活用環境を立ち上げるために、外部の導入支援を積極的に検討する価値があります。
また、Tableauを効果的に活用するには、導入後も継続的な運用体制の整備が欠かせません。ダッシュボードの定期的な見直しや、新たなデータソースの追加、ユーザーからのフィードバックへの対応など、運用には継続的な取り組みが必要です。外部の支援を受けながら体制を整えることが、長期的な成功につながります。

まとめ

Tableauは、企業のデータ活用を推進する強力なBIツールであり、直感的な操作で高度な可視化と分析を実現します。売上分析やシステム監視、人事データの活用など、幅広い業務シーンで活用でき、意思決定のスピードと精度を向上させます。
一方で、効果的な運用には専門知識や継続的なサポートが必要であり、社内リソースだけでは対応が難しい場合もあります。外部の専門サービスを活用することで、導入リスクを低減し、確実な成果を得ることが可能です。
データ活用の推進を検討する際は、自社の体制や課題を踏まえ、最適な運用方法を選択することが重要です。

富士ソフトでは、Tableauと連携可能なSalesforceの導入支援を提供しており、要件定義から導入・運用まで一貫したサポートが可能です。Salesforceの導入をお考えの方は、ぜひご相談ください。

富士ソフトでは2017年よりCRM(Salesforce)を自社導入し、顧客データを活用してお客様との関係性の強化による満足度と収益の向上を実現してきたナレッジを踏まえて、TableauとSalesforceとの連携によるデータ利活用の提案を行っています。
Salesforce認定コンサルタント60名を含む約200名のSalesforce専任の技術者がAs-is To-beの整理(要件整理)から導入後のアフターサポートまでワンストップパートナーとしてお客様のニーズに合わせたご支援をいたします。

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