富士ソフト株式会社

~Agentic Enterpriseを支える注目の機能アップデート~
Snowflake Summit 26 参加レポート

▼はじめに

データ基盤アーキテクトとして活動しているネットインテグレーション事業部の梁です。
様々なデータ分析基盤の調査研究・比較やデータ分析環境の構築支援を主に担当しております。

2026年6月1日(月)から4日(木)までの4日間、米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催された「Snowflake Summit 2026」に現地参加してきました。
本コラムでは、「Snowflake Summit 2026」で発表された新機能や私自身がとくに注目しているアップデートについてご紹介したいと思います。 また、現地からはOpening Keynote および Platfrom Keynoteの様子についてレポートしておりますので、あわせてご覧いただけますと幸いです。

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なお、3日目の予定されていたBuilders Keynoteは急遽中止となり、後日ライブ配信で実施されることとなりました。 6月24日午前2時(日本時間)に配信された内容については、別途記事としてまとめておりますので、是非こちらもご参照ください。

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▼執筆者

Author

梁 俊希

Toshiki Ryo

ソリューションビジネスユニット ネットソリューション事業本部
ネットインテグレーション事業部 第6技術グループ / 主任 / エキスパート

▼目次

1.Snowflakeが開発当初から掲げる設計思想

注目アップデートをご紹介する前に、Snowflakeが創業当初から大切にしてきた設計思想について触れておきたいと思います。 Keynoteにて、Co-Founder兼Chief ArchitectであるBenoit Dageville氏が2016年にSIMODにて発表した設計論文が、10年の時を超えて、2026年「Test of Time Award」を受賞したことを紹介しておりました。
Snowflake創業当時の2012年、多くの企業は以下のような課題に直面していました。
●データのサイロ化
●ガバナンス/統制の欠如
●システムの複雑化

クラウドサービスの普及に伴い、オンプレミスからの移行が進む一方で、複数システムの並行稼働や個別最適なデータ運用が行われるようになりました。その結果、組織横断的なデータ活用や一元的な管理・ガバナンスの実現が難しい状態となっていました。 こうした課題を解消するべく、Snowflake社は以下の三つの設計思想を掲げ、AI・データクラウド”Snowflake”を開発しました。

All data - 構造化・半構造化・非構造化データまで、あらゆるデータを一つのプラットフォーム上で管理し、組織やシステムの壁を越えて活用可能に
All compute - ワークロードの競合を抑えつつ、クラウドの柔軟性などのメリットを生かし、必要な時に必要なパフォーマンスを発揮できるように
All users - “フルマネージドサービス”の提供によって運用の複雑さを排除し、誰もが活用可能なデータ基盤へ
Snowflakeはこの10年間で飛躍的な進化を遂げ、AIやデータ共有、アプリケーション開発など数多くの機能をリリースしてきました。今回のSummitを通じて、多様な機能の根底に創業当初から変わらないビジョンが息づいているということを改めて強く感じました。

「ガバナンスを維持しながら、誰もが必要なときにデータを活用できる」

Snowflakeが目指してきたこの世界観は、AI時代を迎えた現在においても変わることなく、その重要性がさらに増していることを実感しました。

”Agentic Enterprise”の実現に必要なあらゆる機能を全てのユーザーへ

ここからは、個人的に注目している新機能やアップデートについてご紹介できればと思います。
本Summitだけでも数十件のアップデートが行われており、全てをご紹介することは難しいため、公式リリースノートについても適宜ご参照ください。

2.シングルプラットフォームとしての更なる強化

以前執筆したコラムでもご紹介させていただきましたが、私はSnowflakeの大きな特徴として「シングルプラットフォーム」、「フルマネージドなAI・データ活用基盤」という二点を挙げています。 Snowflakeは追加ライセンスを必要とすることなく、データ収集・蓄積・分析・AI活用・アプリケーション開発までを単一のプラットフォーム上で提供しています。また、データを外部に移動することなく活用できることも魅力です。昨今のアップデートでは、この思想がさらに推し進められている印象を受けました。

●アプリケーション・データベース領域における主要アップデート
・Snowflake App Runtime(PuPr):React / Node.jsアプリをSnowflake上で実行する機能
・Code Bundles(PuPr):手元のPython/JavaコードをそのままSnowflake上で実行する機能
・CoCo Desktop(GA Soon) / CoCo Agent SDK / Excel/VS Code:CoCoをユーザが使い慣れた様々なツールやアプリケーションから実行可能とする機能
・Postgres Data Mirror(PuPr):Snowflake PostgresテーブルをワンクリックでSnowflakeテーブルにリアルタイム同期する機能

これまで対応していなかった言語もSnowflake上でサポート

今年の目玉といっても過言ではない”Snowflake CoCo”は、ユーザが使い慣れたツールから利用可能

OLAPワークロードだけではなく、OLTPワークロードにも対応。異なる指向性のデータベースを横断分析可能に

これまでも、Streamlit in SnowflakeやSnowpark Container Servicesを活用することで、Snowflake環境内でアプリケーションを構築・実行することは可能でしたが、 今回のアップデートによって対応言語や実行環境の選択肢が広がり、より多くの開発者が使い慣れた技術スタックを活用できるようになりました。 さらに、開発者向けAIコーディングエージェントであるSnowflake CoCoの登場により、Workspaces上でAIによる開発支援を受けながら、稼働環境のセットアップも含めて構築作業を簡単且つ迅速に行うことができるようになっております。

またSnowflakeはOLAP(分析向け)を主軸としたプラットフォームであり、業務アプリケーション向けのOLTP(トランザクション処理向け)のデータベースは外部のRDBMSが担うケースが主流でした。そのため、外部のRDBに保存されたデータをETLやCDCを通じて、Snowflakeに移動してから活用する必要がありました。 Snowflake Postgresの登場により、Snowflake環境内でもOLTPデータベースを構築できるようになり、さらに今回発表された「Postgres Data Mirror」によって、データパイプラインを構築することなく、分析データとトランザクションデータを横断した活用が可能となりました。

こうした一連のアップデートから、「データも、アプリも、AIも単一プラットフォームで完結可能である」というシングルプラットフォームとしての進化を強く感じました。 加えて、単純に機能が増えるだけではなく、それらがフルマネージドで提供されているという点に注目しています。

従来のクラウド環境では、アプリケーションを開発・運用するために、VPCやサブネットの設計、バックアップ・リストア構成の検討、セキュリティパッチの適用など、一定のインフラ運用スキルが求められていました。 一方、Snowflakeではそれらの多くをプラットフォーム側が担うため、利用者は環境構築や運用管理を強く意識することなく、アイデアの実現に集中できます。弊社内でも社内基盤整備やプロジェクト活動でSnowflake CoCoを活用しておりますが、アイデアをアプリケーションとしてデプロイするまでを数分から数時間で実現できる世界がすでに現実となっていることを、日々強く実感しております。

「利用者を煩雑なインフラ運用から解放し、本来注力すべきデータ活用やビジネス価値の創出に集中できるようにする」

今回のアップデートは、Snowflakeが持つ「シングルプラットフォーム」と「フルマネージド」の思想を改めて、体現するものであったと感じました。

3.相互運用性の更なる強化

Day2 KeynoteのACT3では、特定のベンダーやプラットフォームへのロックインを防ぐための、Snowflakeのオープン性と相互運用性の強化について語られました。 データ基盤運用に際して、相互運用性の要素は極めて重要であると考えており、今回アップデート情報を取り上げさせていただきました。

●相互運用性に関する主なアップデート
・Apache Iceberg v3(GA)
・Open Sharing
・Catalog-Linked DB
・Multi-party Collaboration (GA) /Reshare(GA)
・ゼロコピー連携 SAP(GA) / Salesforce(GA Soon) / Workday(PrPr) / AVEVA・IBM(新連携)

Iceberg REST経由で”非Snowflakeユーザーへも”データ共有が可能に

今回新たにゼロコピーとして紹介された連携先
本機能を活用することで”データを物理的に移動することなく”活用することが可能に

Snowflakeは”自社だけではなく世界中のデータをガバナンス統制の効いた状態で管理し、誰もが必要な時に容易にデータを利活用できる「データの民主化」”を掲げておりました。
一方で、従来のデータシェアリングにおいては、Snowflake同士のデータ共有に限定され、他プラットフォームとの連携においては、データの書き出しや移動を行う必要がありました。 また業務上、市場の複数の基盤製品を調査し比較を行っているのですが、自社製品間のシェアリングやフェデレーションクエリには対応しているものの、他製品との連携に制約がある製品も少なくありません。 そのため、「オープン性」「ベンダロックイン」を検討する際にボトルネックとなるケースがありました。今回の発表を通じて、Snowflakeがここ数年にわたりApache Icebergを中心に推進してきた相互運用性強化の取り組みが、大きな成果として結実したことを実感しました。
様々なお客さまと相対する中で、組織の規模が大きすぎるが故に中央で統制を取ることが困難であり、各部門が主体となってデータ基盤の選定・管理・運用をせざるを得ないケースも少なくはありません。 例えば、A部門ではSnowflake、B部門では別のデータプラットフォームを採用しているといったケースで、こうした環境ではデータが組織やシステムごとに分断される「データのサイロ化」が課題となります。
今回発表された各種アップデートは、そのような現実的な課題に対する有効な解決策となり得るものであり、組織全体のデータ活用をさらに加速させる可能性を感じた、印象的な発表でした。

4.ガバナンスの強化

SnowflakeはAIを本番ワークロードで稼働する上で決して欠かすことができない”信頼性”を担保するための機能についても、単一のプラットフォーム上で提供しています。 このセクションでは、ガバナンス領域に関するアップデートをご紹介します。

●ガバナンス関連機能の主なアップデート
・Horizon AI Guardrails:プロンプトインジェクションなど、悪意ある実行の検知/防御する機能
・Agent Identity:AIエージェント単位で操作を識別することができる機能。監査やポリシーによる利用制御に活用
・Data Movementポリシー:タグ付きデータの不正な持ち出しやダウンロードを禁止する機能
・Multi-party Approvals:アカウントレベルの設定変更、オブジェクトの削除などの高リスク操作に対して、複数人による承認を要求する機能
・Horizon Context:Snowflake Horizon Catalogに蓄積されたメタデータをSnowflake CoCoやCortex Agentに供給する機能
・コストガバナンス:ユーザー・部門単位で利用上限や予算を設定し、閾値超過時のアクションを定義できる機能

3つの軸に沿ってAI SECURITY機能について発表

AI活用のためのコストコントロール機能の紹介、組織レベルだけではなく、ユーザレベルでもきめ細かい制御が可能に

コネクタを活用し、様々なデータソースと連携しながら
「Collect(収集)」→「Enrich(強化)」→「Activate(活性化)」の三段階でデータに「意味」を与える新機能の発表

Keynoteのメインテーマであった”Agentic Enterprise”(AIのよる自律的な意思決定と実行)を実現するためには、外部からの脅威への対策、AIエージェントによる誤操作や破壊的な操作の抑止、 重要なワークロードに対する人手での承認プロセス、さらには従量課金型サービス特有のコスト急増リスクへの対応などさまざまな観点での検討が必要になります。
AIの活用範囲が広がるほどに、これまで以上に高度なガバナンスと説明責任が求められることから、企業が本格的にAIを業務へ組み込むための基盤作りが不可欠です。

また、Anthoropic社が語った「Trust is an accelerant.(信頼こそが成長を加速させる)」という理念にSnowflake社も強く共感しており、今回発表された各種機能は、まさに 「AIをビジネスのリアルな成果につなげる」 ための基盤となるものでした。 ”Agentic Enterprise”の実現を支える重要なアップデートであり、SnowfakeがAI機能の拡充だけでなく、安全かつ持続的に活用できる環境整備にも注力していることを強く印象づける発表であったと感じています。

5.おわりに

全4回にわたり「Snowflake Summit 2026」の模様をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

2024年のSummitでは、Snowflakeは「データクラウド」から「AI・データクラウド」へと進化を遂げました。2025年にはSnowflake Inteligence(現CoWork)をはじめとしたAI活用基盤が提供され、「Just do it!」というメッセージとともに、企業がAIを迅速に試行可能な環境が提供されました。 そして、今年のSummitでは「Making AI Real for Business」をテーマに掲げ、AI活用を本番業務へ適用し、実際のビジネス成果へとつなげている数多くの事例が紹介されていました。

AI活用は “can we?”から「shall we?」へ。AIで何が出来るか問い直すことが必要

富士ソフトは、「AI」「データ」「クラウド」「業務アプリケーション開発」「インフラ」「セキュリティ」など幅広い領域に対する総合的な技術力と、これまで多くのお客様をご支援してきた実績をもとに、お客様のビジネス価値創出をご支援しています。

Snowflake導入・活用支援につきましても、75名を超えるSnowflake認定資格保有技術者を擁し、豊富なプロジェクト実績や自社での活用経験、そして日々のキャッチアップしている最新知見に基づく実用的な活用支援が可能です。

今回執筆させていただいた一連Summit記事を通じて、少しでもSnowflakeやデータ活用に興味を持っていただけたなら幸いです。ご質問や相談など、どのようなことでも是非当社にお気軽に相談・お問い合わせください。

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