株式会社ブルボン(Amazon Connect導入事例)

お客様相談センターのコールセンターシステムをクラウド
膨大なPBX保守負担をなくし、
オペレータの効率的な業務環境も整備

導入前の課題

  • 柔軟性の乏しいお客様相談センターの電話受付体制
  • コロナ禍に対応した働く環境の改善と整備
  • 回線の増設時に発生する増設費用と対応工数
  • お客様相談センターのPBX保守に伴う継続的な業務負担

導入後の効果

  • オペレータが効率良く業務に取り組める環境の整備
  • 在宅勤務も可能な働く環境の整備
  • 時間もコストもカットできるクラウドならではのスムーズな回線の増減対応
  • お客様相談センターのPBX保守に伴う作業負担を削減




移行・導入の背景

お客様相談センターの課題を克服し、
お客様満足度向上に貢献する体制を整備

株式会社ブルボン
品質保証部 お客様相談センター
センター長代理
平澤 正博 氏

-貴社の特長についてお聞かせください

新潟県柏崎市に本社を置き、『健康増進総合支援企業』として「おいしさ、思いやり、いつもいっしょに。」を合言葉に、ビスケットやチョコレートをはじめ、未病対策の機能性食品、健康食品など、バラエティ豊かな商品を世界へ届けている企業です。

2024年の創業100周年に向け、新しい商品提案を行いながら、こだわりのある原材料を提供する業務用販売事業、菓子の購買シーンがさらに広がる自動販売機事業なども展開しています。また、DXの推進とAI・IoTの活用などで業務の自動化・効率化と生産性の向上を図ると同時に働き方改革も推進しています。

さらに、食品製造企業として「品質保証第一主義」のもと、「お客様満足度」の向上を目的としてお客様相談センターを設置し、お客様の声を全社の品質・サービス・業務の改善につなげています。

-今回の移行はどのような背景から検討されたのでしょうか

最大の要因は2020年度に入り、お客様相談センターのコールセンターシステムに導入していたPBXの更新時期を11月に迎えることでした。

当時のお客様相談センターの状況は、問い合わせを受け付けるエリアが固定されており、各オペレータのデスクとは別になっていたことで、受付業務と記録対応業務が分離した状況にありました。しかも、ヘッドセットは受電用電話機固定で、共有せざるを得ない状況でした。

さらに、受電と同時に通話を録音する仕組みを導入していましたが、録音を確認するためのソフトウェアに対して厳密なライセンス管理が必要で、PCを入れ替えるたびに再インストール作業が発生。常にシステム開発課の対応が必要となっていました。

また、商品のリコールなどの緊急時に回線の増設が必要なときは専門業者へ依頼しなければならず、増設にかかる時間とコストが課題でした。加えて、昨今のテレワーク対応も視野に入れる必要がありました。

こうした課題を解決し、働く環境の改善と迅速・丁寧な対応でお客様満足度の向上に貢献する体制を整備したいと考え、新システムの導入検討を開始しました。

AWS選定の経緯

魅力を感じた「回線の増減コスト」と「拡張性」​

株式会社ブルボン
デジタル推進部 システム開発課
係長
渡邉 淳一 氏

-新たな体制の整備に向けてどのような検討を進められたのでしょうか

当初は、PBXを最新型に交換することも検討しました。PBXの運用・保守や数年単位で発生する機器のリプレース検討の負担は、かなり重いものでした。そこで検討したのが、クラウドサービスへの移行です。

当社では、サーバなどの保有機器にかかっていた運用・保守工数を、より付加価値の高い作業へシフトしたいと考え、2018年頃よりオンプレからクラウドへの移行を進めてきました。同様の発想で、お客様相談センターもコールセンターシステムの環境をクラウドへ移行することで、業務効率化につなげたいと考えて具体的な検討を開始しました。

そして、「各オペレータが自分のデスクに設置した機器で受電・通話録音・内容確認に取り組める」「一人1台の専用ヘッドセット」「スムーズな回線の増減対応」「在宅勤務も可能」といった4つの目標を掲げ、2020年の春から「クラウド型PBX」をキーワードに、ソリューションの調査を開始しました。

-AWSの『Amazon Connect』を採用した理由をお聞かせください

最終的に提案を依頼したのは3社です。1社目は、自社のコールセンター事業で構築した仕組みを外販している企業。もう1社は、クラウドPBXの専門サービス企業。そして、AWSです。当社では2019年の秋からAWSを利用しており、コールセンターソリューションとして『Amazon Connect』が注目されていたことから、AWSも候補に考えていました。

3社の提案を比較し、Amazon Connectの優位性を大きく感じた点が2つありました。一つは「回線の増減コスト」です。比較していた他2社のサービスは人数課金で、オペレータが増えるだけで使用料が高くなります。一方、Amazon Connectは音声の使用時間が対象なので実情に応じた課金であり、コストメリットがあると判断しました。

もう一つは、「拡張性」です。AWSの様々な機能をAmazon Connectと簡単かつスピーディに連携することができ、システムを育てていけることに大きな魅力を感じました。

富士ソフト選定の理由

これまでの開発実績と確固たる経営基盤を評価​

-富士ソフトをパートナーに選ばれた理由を教えてください

富士ソフトとの取引は、今回が初めてです。パートナーに選ぶきっかけになったのは、AWS社からの紹介です。富士ソフトはAWSパートナーの最上位である「AWSプレミアティアサービスパートナー」であり、Amazon Connectの構築経験も豊富であることが、推薦のポイントと伺いました。実際、初回の打ち合わせで具体的な提案があり、Amazon Connectを使って当社が目標とする環境を実現してもらえることが確認できました。

もちろん、SIerとして名前が知れ渡っていること、企業規模が大きいことは以前から認識しており、ホームページを拝見して、開発実績が豊富であることもわかりました。加えて、経営の安定性・健全性も確認できたことから、安心してパートナーとしての業務を依頼することができると考えました。

移行のプロセスと移行後の効果

開発の全体統括から依頼し、約1カ月でシステムが完成

-移行はどのように進んだのでしょうか

最初に富士ソフトから提案されたのは、当社の事業拡大を視野に入れた大規模・多拠点展開などを想定した内容で、Amazon Connect関連に加え、富士ソフト独自のソリューションなどもオプション機能として組み込まれたものでした。

提案内容を慎重に検討した結果、最初は現状に適した内容でスタートしたいと考え、Amazon Connectをコアに、富士ソフトオリジナルの「土日・祝日対応カレンダー機能」を搭載したシステム構築を決定しました。

このカレンダー機能は、富士ソフトが日本向けのローカライズ・オプションとして開発した機能で、日本の土日・祝日や当社独自の休日や電話受付時間などに対応したスケジュール管理が自動で実行できるものです。

そして2020年5月、決定した仕様概要に基づく詳細設計から開発、運用サポートを含む全体統括を富士ソフトに依頼し、約1カ月でシステムが完成。その後、フリーダイヤルの切り替えなど社内での対応を進め、9月中旬から新システムによる運用を開始しました。

全体構成図

株式会社ブルボン様 全体構成図​

-移行後の運用状況をご紹介ください

「PCで、本当にお客様と確実に通話できるのだろうか、また、使いこなせるのだろうか」といった不安を抱くオペレータも最初はいましたが、実際に使うことで不安は確実に払拭できました。

また、お客様相談センターではIT化の一環として、2018年から録音内容の文字起こしを行うシステムを導入していましたが、日本語認識の精度が低く、修正に多くの時間を要していました。そこで、機械学習を活用してお客様とオペレータの通話をリアルタイムで文字起こしを行い、感情分析も行う『Contact Lens for Amazon Connect』の導入を決定しました。

導入は内製で行いたいと考え、富士ソフトにContact Lens for Amazon Connect導入マニュアルの作成を依頼しました。完成したマニュアルはわかりやすく、その内容に従って設定することで導入できました。また、この機能追加により、Amazon Connectの拡張性も実感することができました。

このほか、以前から使用していたオリジナルCRMシステムのAmazon Connect連携と、電話応対に関するデータをスプレッドシートに自動集計する仕組みを内製し、運用しています。

-移行後の効果についてお聞かせください

新システムにより、4つの目標はすべて実現できました。

オペレータは自分専用のPCから、受電はもちろん、通話の録音データ・文字起こしデータ・CRMデータのすべてにアクセスできるようになり、全員が効率良く業務に取り組めるようになったと話しています。もちろん、一人1台の専用ヘッドセットも実現。また、通話録音もAmazon Connectでは標準機能として提供されていることから、以前は追加で導入していた録音装置が不要になり、負担であった厳密なライセンス管理からも解放されました。

回線の増設もPCを用意するだけでよく、専門業者への依頼が不要になったことで、時間もコストも削減できました。在宅勤務もPCとインターネット回線だけで即対応できる環境が整っています。

通話録音の文字起こしについても、Contact Lens for Amazon Connectにより、以前のシステムと比較してテキスト修正の手間が半減しました。

今後の展望

ERPやCRM、AWSの新サービスとの連携強化の提案・サポートに期待

-今後に向けてはどのような検討を進められているのでしょうか

お客様相談センターでは、お客様対応のAI化を推進していきたいと考えています。例えば、お電話をいただいたお客様のご意見をAIがリアルタイムに判断し、オペレータのPC画面に、最適な答えの候補を複数表示・提案。その内容を参考に、オペレータが最適な対応を行うことにより、お客様満足度の向上に努めていきたいと考えています。

さらに考えているのが、文字起こしの効率化です。これは、Contact Lens for Amazon ConnectなどAWSサービスの機能向上を期待しつつ、教えていただいた精度向上の方法でチューニングを進めたいと考えています。

そのためにシステム開発課では、AWSに対するメンバーの知見を高め、スムーズな開発に取り組める内製要員の育成を、今後の重要なテーマとして検討しています。

-富士ソフトに対する評価・期待を改めてお聞かせください

当社が見据えている将来像の実現には、AWSから次々に登場する新サービスをキャッチアップし、開発に活かせる環境が必要です。富士ソフトには、その整備・充実をサポートする情報提供や、新システムの実装や機能追加の提案など、積極的に協力してほしいと考えています。

また、当社では現在、新しいERPの導入を進めています。CRMシステムも、いずれは世の中のビジネス動向を反映してリプレースすることになると思います。こうして出来上がったシステムと今回開発したシステムを連携させ、新たな価値創造にも貢献してもらいたいと考えています。

今回の取り組みを通じて、富士ソフトの設計力、開発力、運用サービスの質が、とても高いことを実感しました。その力を、当社の新たな成長に向け、存分に発揮してもらえることを期待しています。

導入サービス

今回取材に応じてくださった方

  • 株式会社ブルボン
    品質保証部 お客様相談センター
    センター長代理

    平澤 正博(右)
  • デジタル推進部 システム開発課
    係長

    渡邉 淳一(左)

株式会社ブルボン

株式会社ブルボン

  • 所在地:
    新潟県柏崎市駅前1丁目3番1号
  • 代表者:
    代表取締役社長
    吉田 康
  • 事業内容:
    菓子、飲料、食品の開発、製造、販売
  • 従業員数:
    約5,100名(ブルボングループ計、臨時・パートを含む)

    (2022年3月末時点)

  • オフィシャルサイト:
    https://www.bourbon.co.jp/

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