株式会社モバオク(AWS DevOps)
システム業務をすべて巻き取り
日本最大級のオークションサイト運営をDevOpsで推進
AWS DevOps 導入の背景と課題
- グループ戦略で既存システムを新たな環境へ移行することに
- DevOpsで進めてきたオンプレシステムのAWS移行が決定
- 安定運用のために引き続きDevOpsを実施したい
AWS DevOps の 導入効果
- ユーザーが安心・安全に利用できる環境をいち早く構築
- トラフィックが一時的に集中する状況にも柔軟に対応
- 新サービスのスピーディーな導入と安定運用が実現
- システム維持のコストと負荷が大きく低下
日本最大級のオークョンサイト 「モバオク!」を企画・運営
モバオク様は、2004年にディー・エヌ・エー(DeNA)の携帯電話専用オークションサイトとしてサービスを開始し、翌年に子会社化。現在は、PC・スマートフォン・携帯電話から、いつでも・どこでも・安心・安全に使えるインターネットオークション・フリマサービス「モバオク!」を企画・運営している企業です。
業界をリードする数々のサービスをいち早く展開
(右)株式会社モバオク 取締役COO 兼プロダクト開発部 部長 小田切 航平 氏
(左)プロダクト開発部 開発推進グループ グループリーダー 中村 しおり 氏
「モバオク!には、“安心・安全”、“お得”、“ここにしかない”という、3つの特長があります」と語るのは、同社の取締役COOでプロダクト開発部の部長も務める小田切航平氏です。
“安心・安全”は、サービスを開始した当初から、ユーザーを第一に考えて取り組んできたことです。いまではオークションサイトで一般化している『エスクローサービス※』も、業界に先駆けて導入。ユーザーから寄せられた意見には積極的に対応し、誰もが安心・安全に利用できる仕組みづくりやサービス向上に努めています。
“お得”は、税別300円の月額利用料のみで、出品・入札し放題。販売手数料は一切かからず、お得に利用できる環境を示したもの。「使えば使うほどお得になりますし、月額利用料は初月無料なので、サービス価値をお得に試すことができます」と、小田切氏とともにプロダクト開発に携わる中村しおり氏は、お得の内容を紹介します。
“ここにしかない”の象徴は、頻繁に開催されている公式オークションサービスです。中でも大きく盛り上がっているのが、プロ野球、Jリーグ、Bリーグといったプロスポーツチームの選手が試合で着用したサイン入りユニフォームのオークションです。このほか、アーティスト、アニメ、映画、鉄道関連など、レアなアイテムを持つ組織と連携したオークションも実施。推し活が定着したこともあり、数多くのユーザーから喜ばれています。
※落札者に商品が届いたことを確認してから売主に商品代金を支払う取引の安全性を確保する仕組み
新規事業へエンジニアを集中させるため、システムをすべて任せたい
株式会社モバオク
取締役COO 兼プロダクト開発部
部長
小田切 航平 氏
同社ではサービスを提供した当初から、すべてのシステムを自社開発して運営してきました。この取り組みによってオークション事業が安定軌道に乗ると、新規事業への進出を計画。スムーズな立ち上げ・展開を実現するため、社内エンジニアを新規事業へ集中させる方針が決定しました。
「そこで、国内最大規模のユーザーが安心・安全に利用できるシステム基盤、高度な信頼性が必須の決済機能、オークション・フリマというユーザー同士が安心して取引できるプラットフォームの維持・運営、さらに今後の新サービス対応といった、すべてのシステム業務を任せられるITパートナーを探すことになったのです」(小田切氏)
DeNAの開発パートナーとして確かな信頼関係を構築
相談を持ちかけたITベンダーの1社が、富士ソフトでした。富士ソフトは、DeNAのECシステムにて開発力を提供していました。こうした開発実績やエンジニアの実力、さらに企業の規模や安定性などをトータルに評価し、「富士ソフトなら当社が掲げた高い目標に応えられると確信できました」と、小田切氏は振り返ります。
そして2010年、富士ソフトはモバオク!のシステムを開発から運用まで担うITパートナーに選ばれました。当時、プロジェクトをリードした富士ソフトの菅井博文は、「寄せられた期待に応えられるよう、さっそくチームを組織して対応をスタートさせました」と話します。
半年でシステム業務の巻き取りを完了
富士ソフト株式会社
システムインテグレーション事業本部
ビジネスソリューション事業部
第2技術部
部長
菅井 博文
最初に富士ソフトが手がけたのは、DeNAグループのオンプレミス環境に構築されていたシステム全般の保守運用です。「まずは運用業務を洗い出し、フローと手順を明確化。さらに、ユーザー向けの膨大なインフラ関係をはじめとする各種システムの構成や監視項目の見える化に取り組みました」(菅井)。そこからブレイクダウンして、全体の詳細把握を推進。約半年で、すべての巻き取りが完了しました。
これだけ大規模なシステムを、約半年で巻き取れた要因として菅井があげたのは、企業間の垣根を意識することなく、フラットにコミュニケーションできる関係性が築かれたこと。「おかげで、モバオク様の社内に深く入り込み、全員が同社の一員のように活動できたのです」と、菅井は言います。この体制により、富士ソフトの全メンバーが“ユーザー第一”という同社が最優先する視点を身につけ、ユーザーに最適なサービスを提供するシステム運用に注力できたのです。
この取り組みを通じて誕生したBizDevOpsサービス
富士ソフト株式会社
ソリューションビジネスユニット
システムインテグレーション事業本部
ビジネスソリューション事業部
副事業部長
大石 淳
こうしてモバオク流のビジネスを理解すると、富士ソフトのメンバーは新サービスの企画会議にも参加。内容の検討からシステムの要件定義、開発、実装、運用までトータルに携わるようになりました。例えば、スマートフォンの普及に対応してサービス拡大の検討が始まると、富士ソフトはモバイルアプリの企画からUI/UX、そして運用までをトータルに提案。スピーディーなサービスの提供から安定運用を実現しました。
富士ソフトでは現在、ビジネス(Business)と技術(Development)と運用(Operation)を連携させ、ビジネス価値の最大化を見据えてシステムの開発から運用までの効率を高める『BizDevOps』サービスを展開しています。「その原型が、まさにモバオク!での取り組みでした」と語るのは、富士ソフトでBizDevOpsサービスを推進する大石淳です。モバオク!の新サービス提供に向けてシステムを開発するとき、富士ソフトは必ず運用するときのことを考え、運用に負荷がかからないシステムにすることをルール化。自動化などのプロセスを取り入れて効率的にシステムを開発し、新サービスを早期に市場投入して市場競争力を高めるとともに、運用に負荷をかけることなくサービスの信頼性と品質の向上に努めています。
3つのポイントからAWSへの移行を決定
株式会社モバオク
プロダクト開発部
開発推進グループ
グループリーダー
中村 しおり 氏
BizDevOpsによって最適なサービスのスピーディーな提供が続いていたなか、2020年に大きな変化が訪れました。DeNAグループがシステム維持の負荷とコストを低減するため、オンプレミスからAWSへの移行を決めたのです。これを受け、モバオクは自社でオンプレミスで続けるか、AWSに移行するかの検討を開始。その結果、DeNAと同じくAWSへの移行を決定しました。
AWSを選んだ理由は、大きく3つ。最大の理由は、コスト面の優位性です。2つめは、コスト最適化にも大きく貢献するAWSオートスケール機能。3つめが、DeNAグループとしてAWSから充実したサポートが受けられる点です。
同社がAWSオートスケールに注目したのは、テレビ番組と連動したオンライン・チャリティーオークションやライブオークションなど、トラフィックが一時的に集中するタイミングがあるからです。
「こうしたオークション開催時は1分間に数十万件のアクセスを処理しないといけないため、オンプレミス環境では、そのためだけに数十台というサーバーを設置していました」(中村氏)
それがAWSに移行すると、オートスケール機能によって利用状況に応じたリソースが自動的に確保されるため、急激な負荷増にも柔軟に対応できます。「この機能を聞いたとき、ぜひ利用したいと思いました」と、小田切氏は話します。
10年の実績を評価し、引き続きITパートナーを依頼
AWSへの移行が決定したあとも、ITパートナーは引き続き富士ソフトが担当しました。最大の理由は、モバオク!のシステムを10年間担当し、内容を熟知していたからです。さらに、「AWSの開発・運用・DevOpsにも豊富な実績があること」、「AWSパートナーの最上位であるAWSプレミアティアサービスパートナーであることからAWSとうまく連携して最適なサポートが引き出せること」、「AWS開発経験の豊富なエンジニアが多数在籍し、的確なサポートが受けられること」も、評価のポイントになりました。
AWSへの移行が決定したことにより、いち早く富士ソフトは既存の仕組みをAWS上で展開するための最適な形を提案。「こうした姿勢からも、富士ソフトとならワンチームで安定した事業運営が行えると確信しました」(小田切氏)。
セキュアで信頼される仕組みをつくり上げるために
富士ソフト株式会社
システムインテグレーション事業本部
ビジネスソリューション事業部
第1技術部AUグループ
リーダー
本岡 朋晃
モバオク!のシステムで、最も重視されているのがセキュリティです。誰もが安心・安全に利用できることが、何よりも優先されるポイントだからです。そこでAWSへの移行に際しては「AWS Client VPNを導入し、セキュリティを担保したうえでAWSにアクセスして、モバオク!のサービスが利用できるようにしました」と、モバオク!システムの開発に最前線で携わる富士ソフトの本岡朋晃は言います。
また、システムに障害が発生するとサービスが停止し、ユーザーからの信頼低下と利益損失を招いてしまいます。この状況を抑えるため、「システムの信頼性と安定した運用を維持することを目指して導入したのが、AWS X-Rayです」と話すのは、モバオク!のBizDevOpsを技術面からリードする富士ソフトの神村治彦です。AWS X-Rayにより、レスポンス悪化などの状況をいち早く察知して見える化できるため、ボトルネックや高レイテンシーの発生箇所をすぐに特定して、状況の改善や致命的なエラーの回避が可能に。実際、AWS X-Rayによって問題箇所の特定にかかる時間は、1/6に短縮できました。
さらに、AWS LambdaなどのAWSオートスケーリングに対応するサービスを各種導入し、ピーク時の需要にもコストの最適化にも貢献する環境を実現しました。
大規模サイトの安定運用を実現
富士ソフト株式会社
システムインテグレーション事業本部
ビジネスソリューション事業部
第1技術部DNグループ
課長
神村 治彦
モバオク!に対する富士ソフトのBizDevOps提供実績は15年以上、AWS環境でも4年を超えました。現在は、出品・入札・支払など事業全般に関わるシステムをはじめ、ユーザー管理やキャンペーン対応、社内外からの問い合わせ対応など24時間365日に及ぶ運用保守から既存機能の改善、新機能の開発までをトータルに担当。「常に“ユーザー第一”を心がけ、障害が発生した場合はスピーディーな復旧を最優先して対応しています」と、本岡。「モバオク!という大規模サイトを長年にわたって安定運用できているのは、まさにそのおかげ。本当に感謝しています」と、小田切氏は富士ソフトの対応を評価します。
また、新しいサービスをつくるときには「ユーザーにとって使いやすく、喜んでもらえることを真っ先に考えて取り組んでいます」と、神村は言います。中村氏は「新サービスが、提供直後から“使いやすい”とユーザーに高く評価されるのは、この姿勢が徹底されているからだと感じています」と、“ユーザー第一”が着実に機能している実感を話してくれました。
このように、突発した障害をスピーディーに改修できることや、社会の新たなニーズに対応して早期にサービスが提供できるのは、開発と運用がサイロ化せず、BizDevOpsがしっかり機能している証明です。
「AWSを選んで本当に良かった」と実感
こうした成果を支えているのが、AWSの傑出した安定性と、社会動向に対応した新サービスを次々に提供する体制を整えていることです。さらに、ランニングコストも、オンプレミス時代と比較して大幅に低減。中村氏は「フルマネージドで負荷が低減したことも評価ポイントです」と話し、小田切氏は「AWSを選んだことに間違いがなかったことを実感しています」と語ります。
モバオクでは、稼働率、応答時間、障害復旧時間などを対象に、富士ソフトとSLO(サービスレベル目標)を締結。四半期ごとに状況を確認していますが、AWS移行後、すべての期間で目標をクリアしています。
公式オークションを対象に新たなビジネスモデルを構築
2025年、同社はDeNAグループを離れ、富士ソフトグループへ参加しました。オークション・フリマ市場は、今後も拡大が続くと予想されていることから、富士ソフトが持つ先進の技術と同社が蓄積した事業運営ノウハウ・C to Cプラットフォームを掛け合わせ、引き続き“ユーザー第一”の視点で、より安心・安全にオークション・フリマサービスを提供することが目標になっています。
その中でも、特に重要な強化対象にあがっているのが、公式オークションへの対応です。現在は、スポーツチームなどの各組織とモバオク!サイトを連携させてオークションを行っていますが、今後は基盤プラットフォーム技術と運用ノウハウをサービスとして提供し、各組織のサイトでオークションが開催できるように支援する新たなビジネスモデルの構築を目指しています。
「この実現で重要な役割を担うのが、技術です。今後は生成AIの活用も加速すると考えられることから、富士ソフトにはこうした先進技術の提供を含め、さらなるDevOpsサービスで成長に協力してもらいたいと考えています」と、小田切氏は富士ソフトへの期待を語ります。
これまで通りワンチームで、目指す未来の実現に取り組む
「今後の展望については、随時お話を伺っています」と話す神村は、「計画されている戦略が確実に実現できるよう、これまでと同じようにモバオク様とワンチームを組み、AWSとも密接に連携して必要な技術を用意し、未来の実現に貢献したいと考えています」と言います。また、大石はBizDevOpsの視点から今後の展望を捉え、「モバオク様が提供されるサービスのレベルアップに協力できるよう、引き続き積極的な提案を続けていきます」と語ります。
モバオク様の目標が確実に実現できるよう、富士ソフトは引き続き同社とワンチームを構成し、全力を尽くします。
今回取材に応じてくださった方
取締役COO 兼プロダクト開発部 部長
小田切 航平 氏 (左から2番目)
プロダクト開発部 開発推進グループ グループリーダー
中村 しおり 氏 (左)
富士ソフト株式会社
ソリューションビジネスユニット
システムインテグレーション事業本部
ビジネスソリューション事業部 副事業部長
大石 淳 (右)
システムインテグレーション事業本部
ビジネスソリューション事業部 第2技術部部長
菅井 博文 (写真文中)
システムインテグレーション事業本部
ビジネスソリューション事業部 第1技術部DNグループ課長
神村 治彦 (右から3番目)
システムインテグレーション事業本部
ビジネスソリューション事業部 第1技術部AUグループ リーダー
本岡 朋晃 (右から2番目)
導入サービス

株式会社モバオク
- 所在地:
東京都渋谷区渋谷二丁目24番12号 渋谷スクランブルスクエア
- 代表者:
代表取締役社長 小一原 宏樹 - 事業内容:
オークションサイトの企画・運営 - オフィシャルサイト:
https://www.mbok.co.jp/
