パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社(AWS導入支援)

利用者すべてのUXを向上するスマホアプリから
セキュアで効率的な開発環境までワンストップで提供
カーボンニュートラルに向けた新サービス展開を共に目指す

インタビュー動画

サービス提供に向けて掲げたテーマ

  • 電気自動車(EV)向け充電器のシェアリングサービス実現
  • サービス利用はすべてスマホアプリで完結
  • サービス利用者が安心して使用できるセキュリティ環境の構築
  • 早期のサービス提供に向けて高品質なシステムを短期間で開発

実現した内容

  • 半年間で開発を終えて計画通りの内容とスケジュールで新サービスをリリース
  • アジャイルで意図したアプリ開発が早期に実現
  • 利用者が安心して使用できるセキュアな環境を構築
  • AWSのサーバーレスとマネージドサービス活用で開発効率が向上
  • アプリ開発とデザイン作成の密な連携でUXに優れたスマホアプリが誕生
お客様企業概要

社会課題を解決するサービスビジネスを構築

パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社
エグゼクティブオフィサー(新規事業推進担当)
玉川 篤史 氏

パナソニックは、家電などの様々な製品により、お客様の「くらしの質」を豊かにすることを目指している企業です。そのなかでエレクトリックワークス社は、社会を構成するあらゆる“くらしの空間”に、電気設備など生活の基盤になる製品を提供しているカンパニーです。「安全安心で快適な空間をお届けし、その空間で誰もが健やかに、活き活きした時間を過ごして欲しい。」「社会環境やライフスタイルの変化に併せて空間をアップデートし続け、お客様に常に最大の満足を届けたい。」という想いを持ち、すべてのお客様に「いい今日と、いい未来を電気設備から。」を届けることに取り組んでいます。

そして近年、パナソニックは社会動向の変化を捉え、モノの豊かさだけではなく、新しい形のサービスやソリューションも提供するビジネスモデルの変革を進めています。「この流れを受け、私たちの部署は未来を見据え、社会課題を解決する新たなサービスビジネスの構築を進めています」と語るのは、同社で新規事業推進室を率いるエグゼクティブオフィサーの玉川篤史氏。今回の案件では、プラン創出からビジネス運営までをマネジメントされています。


企画した新サービスについて

EV充電器のシェアリングでカーボンニュートラルに貢献

同社が新たに注目したのは、地球規模の課題解決に貢献するカーボンニュートラルの実現です。その一つが、EVの普及。日本政府は2035年までに、乗用車の新車販売は100%、EVなどの電動車にすることを目指しています。しかしながら、EVの普及は進んでいません。普及の壁になっているのが、「自宅にも近隣にも充電施設がない」という充電インフラへの不安です。

「そこでパナソニックは、EV充電用普通充電器でトップシェアを獲得していることから充電インフラ網を整備し、カーボンニュートラルの実現に貢献しようと考えたのです」と、玉川氏。具体的な取り組みは、次の2つです。

①「everiwa (エブリワ)」という社会課題の解決に向けて新たな価値を創造する共創コミュニティを設立する。
②EV充電器のオーナー(ホスト)とEVユーザーをつなぎ、EV充電器のシェアリングサービスを提供するプラットフォーム「everiwa Charger Share (エブリワ チャージャー シェア)」を構築する。


everiwa Charger Shareは、ホストにとっては所有するEV充電器を登録して貸し出せるサービスであり、EVユーザーには充電したいときにEV充電器が簡単に借りられるサービスです。ホストにもEVユーザーにもメリットのあるサービスの展開でEV普及の壁を取り払い、安心してEVライフが愉しめる社会の実現で、カーボンニュートラルへの動きを加速させることを目指したのです。

everiwa Charger Shareご利用イメージ

サービスの実現に向けて

スマホアプリに対する充実したサービス内容からAWSを採用

パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社
新規事業推進室 プロダクト開発部 主幹
穗積 則充 氏

パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社
新規事業推進室 プロダクト開発部 主務
倉田 洋 氏

「実現に向けて最も重視したのは、ホストにもEVユーザーにも使いやすいことです」と語るのは、同社で今回の開発リーダーを務めた穗積則充氏です。開発メンバーと議論を重ね、everiwa Charger Shareへの登録から利用予約、決済まで、すべてスマホアプリで行えるというサービスの基本構想を決定。「スマホアプリで行うと決めた時点で、この仕組みを提供するシステム基盤は、AWS一択でした」と、開発現場を主導した倉田洋氏は言います。

早期にサービスを提供し、その後も運用が継続することを考えると、最新技術が手間なく柔軟に利用できるクラウドの採用は必須です。そこで数多いクラウドサービスのスマホアプリへの対応や親和性を考えると、「AWSが、一番進歩した活用できるサービスだと認識していました」(倉田氏)。

パナソニックでの開発実績があるSIerにRFP対応を依頼

AWS採用が決定した2021年9月、同社はソリューションパートナーの選定に着手。サービス構想はα版の初期段階でしたが、その内容からRFPを作成しました。

RFPの大まかな内容は、「Amazon ECS」「AWS Fargate」「Amazon Pinpoint」などを使用したAWS環境の開発・構築経験に加えて、オンライン決済実装、スマホアプリ開発、マップアプリ実装の経験があること。Amazon ECSとAWS Fargateは、今回の開発に合わせて整備を目指すアジャイル開発に有効なコンテナ環境を構築するために求めたもの。Amazon Pinpointに注目したのは、「iOSとAndroidを統合してプッシュ通知する仕組みが簡単に、効率よく構築できる点です。今後バージョンアップが実施されたときも、必要な対応を吸収してくれることも魅力でした」と倉田氏は、RFPの項目にあげた意図を紹介してくださいました。

RFP対応を依頼したのは、同社のシステム開発実績がある5社。そのうちの1社が、富士ソフトでした。「富士ソフトは当社との付き合いが長く、多くの実績がありました。そのなかで特に注目したのが、富士ソフトとスマホアプリ開発を行ったことがある部署が品質と知見を高く評価していたことです」と、穗積氏。加えてベンダー調査により、AWSの開発実績が豊富で、AWSパートナーの最上位である「AWSプレミアティアサービスパートナー」であったことから、パートナー候補に名を連ねることができました。

RFPに対する富士ソフトの取り組み

富士ソフトの取り組みから感じた実現への前向きな姿勢と熱意

RFPを受け取った富士ソフトは、いち早くプロジェクトを立ち上げました。「ご相談いただいた内容は、カーボンニュートラルという社会問題の解決につながる有意義な取り組みであり、ぜひとも参画させていただきたいと考えました」と、富士ソフトで今回のプロジェクト推進の意思決定を行った水野則和は言います。

提案に向けて動き出したとき、営業担当の篠原駿典と開発リーダーの松尾洋二が最も重視したのは、いかに短期間でサービスを実現するか。「そこで記載されているキーワードから、当社の視点でシステム要件を具体化し、提案させていただく工程を、週単位で繰り返させていただきました」(篠原)。

この対応から倉田氏は、富士ソフトの前向きな姿勢と熱意を感じたと言います。「サービス構想が流動的な状況でも要件定義をしっかり行い、取り組む内容を提案してくれました。また、その提案について意見を述べると、すぐに修正案を提示。このとき、同じ目標に向かって一緒に歩むパートナーに最適だと個人的に思ったことを覚えています」(倉田氏)。

everiwa Charger Shareのスマホアプリ画面
※画像はテスト画面

魅力を感じたスマホアプリの開発からUXデザインまでの一貫体制

そしてもう一つ、富士ソフトに感じてもらえた魅力が、ワンストップソリューションの提供です。AWSの設計・構築・運用に加え、富士ソフトは社内にデザイン部門の「たかきデザインオフィス」があり、スマホアプリやWebサイトのUXデザインから、マニュアル(Web/動画)・利用ガイドの制作まで一気通貫で対応できます。

穗積氏は、「一般的にシステム開発とアプリやWebを開発する企業は異なるため、コミュニケーションギャップが生まれてデザイン作業の手戻りが起こります。特に新しい取り組みの場合は、頻繁に発生します。その点、富士ソフトは社内連携で情報共有できることから手戻りは発生しにくく、早期のサービス提供を目指した今回は、スムーズに進めることができて凄くありがたかった。」と話します。

こうして富士ソフトは2021年11月、ソリューションパートナーに選んでいただくことができました。


サービスの構築プロセス

両社の知見とノウハウを融合して堅牢なセキュリティを構築

ソリューションパートナーとして富士ソフトが最初に手がけたのは、改めて同社とシステム要件を定義することでした。そして要件が決定するとインフラから開発を始め、サーバーレス環境の実装やリージョンの選択を実施。このほか、利用者の増加に備えて負荷を分散する仕組みの設計・製造・テストなどを、整備したアジャイル体制により、2週間のスプリントで回していきました。

こうしたなかで特に注力したのが、セキュリティです。everiwaは、利用者の様々な個人情報を扱います。そのため、高度なセキュリティは必須条件。「しかも扱う情報量は、想像をはるかに超える規模でした。そこで、富士ソフトが保有する豊富なノウハウとともに新たな調査・分析も行い、環境構築に取り組みました」(松尾)。その結果、「AWS WAF」と「AWS Secrets Manager」を採用。「セキュリティに関しては、当社の開発メンバーにも知見とノウハウがあり、富士ソフトの提案と融合することで、堅牢なものができたと確信しています」と、穗積氏は話します。

システム構成図

サービスの早期リリースに向けて様々な取り組みを両社が推進

パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社
新規事業推進室 セールス&マーケティング部 主務
中澤 一志 氏

並行して進めたスマホアプリとWebサイト関連の制作では、利用者にストレスフリーな使いやすさを提供するデザインのディスカッションからスタート。同社でeveriwa Charger ShareのCSを担当する中澤一志氏は、「たかきデザインオフィスのデザイナーは、everiwaの世界観やeveriwa Charger Shareのサービス内容をよく理解してデザインを提案されていることを感じた」と話します。

一方、たかきデザインオフィスの西島玉美が心がけたのは、提示された内容に受け身で対応するのではなく、こちらから積極的に提案することでした。「短納期を実現するために、UXの問題点は我々が進んで把握し、解決の切り口をすべてピックアップしました。そして、その一つひとつに複数の解決策を用意し、いち早く意思決定できるように努めました」(西島)。

また、システム開発部門とたかきデザインオフィスで密に連携するため、定例会を週間ベースで開催。たかきデザインオフィスの梶谷恵美は、「この会で常に最新情報を共有できたことが、コミュニケーションギャップを抑え、常にシステムの方向性を反映したUXデザインの早期実現につながりました」と話します。

新サービスの提供開発

AWSで環境整備の手間がなくなり、サービス開発の本質が追求できる体制に

こうしてeveriwa Charger Shareは2022年11月、ホスト向けシステムをリリース。2023年4月にEVユーザー向けシステムもリリースし、本格的にサービスがスタートしました。

「システムもデザインも高品質で、満足しています。また、これまでのシステム開発では不具合を多く経験しましたが、今回はほとんどなく、品質の担保がしっかりできていると感じました」と、富士ソフトの取り組みを評価していただいたのは倉田氏です。

倉田氏は「無理難題ばかりを依頼してきたと感じていますが、本当にやり切ったな、というのが正直な感想です。富士ソフトには、本当に助けられました」とお話いただくとともに、AWSについても言及。「従来のオンプレミス環境では、サーバーの構築やインフラ周りの開発が必要で、オーバーヘッドの大きさに課題を感じていました。それがAWSではサーバーレスやマネージドサービスの活用で環境整備の手間がなくなり、サービス開発の本質にフォーカスして効率よく進められることに大きなメリットを感じています」(倉田氏)。

カーボンニュートラルは大きな社会問題の解決につながることから、関心を持つ自治体が多くあります。「そうした皆様と連携してeveriwa Charger Shareのネットワークが拡がり、全国の津々浦々でeveriwaが利用できる世界を、いち早く実現したいと思っています」(玉川氏)。

今後の展望

さらなる魅力の提供と要望に応えるサービスに向けて

サービス提供が始まった現在は、さらなる魅力を提供する機能拡張や、利用者から寄せられる使いやすさ向上への対応が進められています。

機能拡張で取り組まれているのは、everiwa Charger ShareとEV充電器設備の連携強化です。例えば、予約時間と連動してEV充電器の電源が自動でオン/オフされる機能。これが実現すると、ホストには省エネとセキュリティ、EVユーザーには利便性向上というメリットが提供できます。「富士ソフトには蓄積した知見を活かし、こうした機能拡張の短納期開発に、引き続き取り組んで欲しいと思います」(倉田氏)。

一方、使いやすさに関して中澤氏は、「デザインの微妙な差異で、使いやすさの印象は大きく変わります。そこで今後も、たかきデザインオフィスとUXデザインの手法を進化させて、いつでも利用者に満足してもらえるアプリとWebを提供したいと考えています」。その際にも、ぜひ発揮して欲しいのが、開発とデザインが連携する富士ソフトらしさだと穗積氏は語ります。「引き続き両者の融合を深め、単なる見た目やかっこよさだけではなく、開発の方向性を理解したうえでの優れたUXデザインを期待しています」(穗積氏)。

everiwaに続き、新たなビジネス創出への貢献も

また、everiwaの根幹には、社会課題解決に向けた新たな価値を創造する共創コミュニティの考え方があります。そこで玉川氏の視野にあるのが、カーボンニュートラルに続く新たな社会課題の解決に向けたビジネス創出です。「富士ソフトはeveriwaを共に広げていくエバンジェリストでもあることから、今後の展開でも協業していきたいと考えています」と、今後への期待をお話いただきました。

同社から寄せられた要望・期待に応えるため、水野はプロジェクトのメンバーと、ソリューションのさらなるブラッシュアップを推進。さらに、より高い視点から富士ソフト全体を俯瞰し、新たなビジネス創出にも有意義な取り組みが提供できるよう、検討を進めています。

everiwaサイト紹介

【everiwa公式ホームページ】https://www2.panasonic.biz/jp/everiwa/

「everiwa」の公式ホームページでは、everiwa Charger Shareによって企業・地域・生活者をつないでカーボンニュートラルの実現を推進。加えて、新たな社会課題にも取り組んで解決し、さらなる価値創造を目指しています

今回取材に応じてくださった方

パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社

エグゼクティブオフィサー(新規事業推進担当)
玉川 篤史 氏 (前列左から2番目)

新規事業推進室プロダクト開発部 主幹
穗積 則充 氏 (前列右から2番目)

新規事業推進室 プロダクト開発部 主務
倉田 洋 氏 (前列右から1番目)

新規事業推進室 セールス&マーケティング部 主務
中澤 一志 氏 (前列左から1番目)

富士ソフト株式会社

エリア事業本部九州支社 支社長
水野 則和 (後列右から1番目)

エリア事業本部 九州支社 第2システム部
第3技術グループ 主任
松尾 洋二 (後列右から3番目)

エリア事業本部 九州支社 九州営業部
第1グループ 主任
篠原 駿典 (後列右から2番目)

ソリューション事業本部 たかきデザインオフィス
クリエイティブデザイングループ 課長
梶谷 恵美 (後列左から1番目)

ソリューション事業本部 たかきデザインオフィス
クリエイティブデザイングループ
西島 玉美 (後列左から2番目)

撮影場所:WeWork KDX虎ノ門
※本事例は 2023年7月時点の情報を元に作成したものです。

導入サービス

パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社

パナソニック株式会社
エレクトリックワークス社

  • 所在地:
    (大阪)大阪府門真市大字門真1048番地
    (東京)東京都港区東新橋一丁目5番1号
  • 代表者:
    社⾧ 大瀧 清
  • 事業内容:
    電気設備の分野で住宅、オフィス、ホテル、商業施設、スポーツ施設など社会を構成するあらゆる“くらしの空間”で事業を展開
  • オフィシャルサイト:
    https://panasonic.co.jp/ew/

AWSに関するお問い合わせはこちら

AWSの導入や運用の委託をご検討の方は、お気軽にお問い合わせください。

メールで問い合わせる
0120-593-111(平日9:00~17:00まで)

導入支援サービス

AWS環境を充実させるサービスをご用意。

詳しく見る