ECソリューション 導入事例 株式会社パルコ
コロナ蔓延によるEC需要増大からの改革
従来のECサイトは全国PARCOで販売している店頭在庫をEC販売したり取り置き予約を行うサイトでしたが、2020年からのコロナ禍以降、市場変化やパルコ各事業でのEC活用が拡大してきたことから、弊社でもオンライン販売の重要性が高くなってきました。しかし、従来のECサイトでは機能面・性能面の課題から社内外のニーズが満たせず、売上拡大を阻害する要因となってしまっていたことから全面リニューアルのプロジェクトが発足しました。
株式会社パルコ
文化創造事業本部 オンラインビジネス部 マネジャー
在田 正弘 様
株式会社パルコ
文化創造事業本部 オンラインビジネス部
中川 小夜子 様
株式会社パルコ
文化創造事業本部 オンラインビジネス部
藏間 寛 様
導入の背景
旧システムの課題について
従来のECサイトはアプリケーションがほぼスクラッチ構築であったことと、インフラも自社構築であったことから、機能面と性能面に大きな課題を抱えていました。
機能面では、拡張性を考慮したアーキテクチャになっておらず、機能追加や改善に大きなコストと長期間のスケジュールが必要であったり、場合によっては機能拡張自体ができないケースもありました。
性能面では可用性に課題があり、予期せぬアクセス急増によりサイトが落ち、夜間・休日を含めて常に対応を迫られることがありましたし、アクセス急増に備えてインフラ増強をしてもさほどアクセスが来ず、無駄なインフラコストをかけてしまうこともしばしばありました。
パルコは出店テナントさんが消費者に商品を販売し、パルコはテナントさんから利用料をいただくという「BtoBtoC」のビジネスモデルです。ECについても同様であるため、お客様のみならずテナントさんのスタッフにも利用しやすいショッピングセンターとしてのモールECサイトを設計する必要がありました。
選定の経緯
ご縁で繋がった「理想のECサイト」構築プロジェクト
本リニューアルはステークホルダーが多く難しいプロジェクトでしたが、「パルコとしての理想のECサイト」像を固めるため、複数部門で幾度となく協議を繰り返し、80ページのRFPと300項目以上の機能一覧表を作成しました。
ECサイトリニューアルに向けて様々なECパッケージを調査し、複数社のECパッケージに提案依頼を進める中で、「パルコとしての理想のECサイト」に最も適合していると考えたのが「ecbeing」でした。「ecbeing」は導入企業の多さから標準機能が豊富で、UI/UXも考え抜かれた大手EC事業者も多数採用するECパッケージであり、パルコの要求事項へのFit率が最も高いパッケージでした。
しかし、「ecbeing」のFit率が高かったもののパルコの要求事項を実現するには大規模な改修が必要になる見込みであることから、高難易度のECサイト構築経験が豊富な富士ソフトをecbeing社から紹介いただきました。
富士ソフトはecbeing社の開発パートナーとして「ecbeing」のパッケージ開発にも携わっていることから知見が高く、将来の拡張性を考慮したアーキテクチャの指針を示してくれた点や、経験豊富な技術者が多数在籍している点、EC業界トップクラスのリソースを備えている点などの観点から、この複雑で高難易度のプロジェクトでも遂行可能と判断し「富士ソフト×ecbeing×パルコ」でタッグ組もうという結論に至りました。
【富士ソフトより】ECシステムの構築の難易度
当初、このプロジェクトは富士ソフト内でも失敗すると思われるくらい難しいものでした。
モールinモール(パルコ本部ーパルコ各館(渋谷店、上野店等)ーテナントという構成)のECであること、構築スケジュールがタイトであったこと、外部連携先が多いこと、パルコ様側でECリニューアルプロジェクト以外にも顧客基盤やポケパル払い等のプロジェクトが平行で動いていたことから、高難易度のプロジェクトという認識でしたが、富士ソフトとしても是非チャレンジしたいという思いから、富士ソフトの中でも最上位PMを体制の中心に置き、また、ecbeing社からも有識者がプロジェクトに参画するなど、万全の体制を編成しました。
ECリニューアルプロジェクトの成功
成功の要因は「コミニュケーション」
プロジェクト進行において、パルコが一貫して重視してきたことは新ECサイトでやるべきこととやらないことの線引き明確にすることです。他EC事業者のリニューアルにおいて独自機能を盛り込みすぎることでコスト高、スケジュール遅延、品質低下を招き、結果として失敗してしまうプロジェクトを多く見てきたことから、事業者側の立場から「標準パッケージファースト」をプロジェクト方針としました。特に決済、送料計算はバグによる影響が甚大であることから極力カスタマイズを入れずに標準機能を利用することを徹底しました。こうすることで障害発生リスクを低減し、スケジュールおよびコスト圧縮が可能になるとともに、パルコ特有の機能開発にリソースを集中投下することで最適なプロジェクト進行ができると考えました。
富士ソフト・ecbeing社としても同じ方針に則り提案・推進をしてくれたことがプロジェクト成功のポイントでした。短期的に見ればカスタマイズした方が富士ソフトとしての開発費増が見込める要件があったとしても、その後の拡張性を考慮してパッケージ標準機能を有効活用した提案をしてくれたり、この開発はすべきではないという意見をくれたり、本当に信頼がおけるイコールパートナーとして並走いただけました。
それでも難解なプロジェクト課題が出ることがありますが、その解決にはパルコと富士ソフトで毎日のように数時間の会議を設けて徹底的にコミュニケーションを取ったり、パルコ内部でも各部門のリーダーが頻繁かつ深いコミュニケーションを取り、プロジェクト進行上の課題を迅速に解消してきました。また、工程移行時には必ず責任者レイヤーでのステアリングコミッティを行うことを提案・実行いただいたことで、会社間の認識齟齬やトラブルを最小限にし、関係者全員が最後まで良好な関係を保ちながらECリニューアルプロジェクトを完遂できました。
富士ソフトにして良かったこと
旧ECサイトの課題解消・リニューアル後の迅速かつ丁寧な対応
性能面の課題であったアクセス集中時の安定性が劇的に改善しました。新ECサイトリリース以降、殆ど増強を行っていませんがサイト停止を伴うような問題は発生しておらずインフラは安定稼働を続けていますし、アプリケーションの致命的な障害もなく、追加カスタマイズ後も大きなトラブルなく運用ができています。
これはプロジェクト初期段階にしっかりとインフラのサイジング計画を立てたことと、アプリケーション開発では要件定義書、設計書のレビューと修正を入念に繰り返したことが功を奏しているのだと実感しています。富士ソフトの開発工程はきっちりと標準化されていることで開発担当者による品質のブレも少なく、パルコとしても設計書レビューがしやすく大変助かっています。
リニューアル後の保守面・運用面における対応も満足のいくものであり、各種相談や調査依頼に対しても十分かつ迅速に対応していただいています。
技術メンバーに入れ替わりが発生する際も、ナレッジ・状況の引き継ぎをしっかり行っていただくことで、運用上の影響を感じさせない体制の強みを感じました。また、新ECサイトリリース後の追加カスタマイズについても、富士ソフトおよびecbeing社の豊富な他社事例の活用によるコスト圧縮や品質確保をしてもらうことで大変助かっており、富士ソフト×ecbeingの強みを改めて実感しています。
今後について
エンタメ事業でのEC活用と海外展開
今後の展望については2つの目標があります。
1つ目はエンタメ事業でのEC活用を促進し、年数回の全社企画(キャラクターなどのコラボ商品)や劇場、音楽、映画館、出版、コラボレーションカフェ、ゲームなどの独自コンテンツをECで販売してエンタメ事業をさらに発展させていきたいです。
2つ目は越境ECの展開です。
パルコは渋谷PARCOに代表されるようにカルチャー分野での注目度が高く、訪日客による売上が拡大しています。パルコの発信する文化、カルチャーは確実に外国人への需要はあると考えていますので、ECを外国人需要の窓口とすべく富士ソフト・ecbeingから提案をもらいながらより良いECサイトへと進化させていきたいと考えています。
【富士ソフトより】高度なビジネスパートナー化を目指して
富士ソフトはEC事業以外にも幅広い技術領域で高い知見を持っておりますので、パルコ様のICTにおける最も信頼のおけるビジネスパートナーになるべく、今後も継続した改善・提案を進めていきたいと考えてます。
お客様プロフィール
株式会社パルコ(英文表記 PARCO CO.,LTD.)
https://www.parco.co.jp/(新しいタブで開く)- 所在地
- 東京都渋谷区神泉町8-16 渋谷ファーストプレイス
- 設立
- 1953年(昭和28年)2月13日
- 資本金
- 343億67百万円(2024年2月末日現在)
- 資本金
- 343億67百万円(2024年2月末日現在)
- 従業員数
- 社員数 666名(2024年2月末日現在)